日々是劇評

関東圏内で観劇した舞台について率直に感想を書いています。
自分用の備忘録みたいなもんなんで遠慮なく辛口な批評もしています。

絞り込み 記事更新日=「2012/05」

人衣企画プロデュース公演 「やっぱりカフェが好き」  @ラゾーナ川崎プラザソル 2012/05/27
HIME企画 1st Stage 「NINE to KNUCKLE DOWN」  @中野MOMO 2012/05/22
流星揚羽 第7回公演 「緋旗青風嵐記」  @池袋シアターグリーン BOX in BOX 2012/05/18

※本文中に激しくネタバレ含みます!
 上演中の公演についてこれから観劇予定の方は閲覧ご遠慮ください。


人衣企画プロデュース公演
「やっぱりカフェが好き」

2012/05/27更新  ≪ラゾーナ川崎プラザソル≫ ≪人衣企画≫ ≪2012/05

人衣企画プロデュース公演 「やっぱりカフェが好き」

人衣企画プロデュース公演 「やっぱりカフェが好き」

【脚本】
江頭美智留(劇団クロックガールズ)

【演出】
高坂雄貴(いと、まほろば)

【キャスト】
青木 梨乃、安藤 友美、大嶋 伸治、大貫 真代、大山 武史、岡本 伊津美、小田 直輝、葛西 祥太、
斉藤 慎介、齋藤 弘樹、坂本 大河、佐々木 義紀、里見 駿、佐山 知範、銀 元太、高橋 良行、
殿 あまね、永田 瑛、長井 鈴菜、根本 玲那、馬場 日菜子、廣田 亜也加、藤原 理恵子、
美川 奈穂、宮内 結、守屋 惠美、山藤 桃子

【日程】
2012年5月
23日(水)19:00【\(^o^)/】
24日(木)19:00【/(^o^)\】
25日(金)14:00【\(^o^)/】19:00【/(^o^)\】
26日(土)13:00【/(^o^)\】18:00【\(^o^)/】
27日(日)13:00【\(^o^)/】18:00【/(^o^)\】

【場所】
ラゾーナ川崎プラザソル

【チケット】
前売 3,000円
当日 3,500円
両チーム通しチケット 5,000円

============================

川崎にありながらも見栄で「カフェ代官山」と名乗る喫茶店。
店内はいつもガラガラで閑古鳥状態。
そんな状況を打開すべくマスターとバイト君が斬新な喫茶店のアイデアを捻出する。
それらのアイデアひとつひとつをオムニバス形式で短編構成的に繰り広げていく。
韓流ドラマなりきり喫茶、お見合い喫茶、擬似家族喫茶などなど。
最終話ではカフェに関わった人々が全員集合して閉店パーティーを行うが、
劇団喫茶ならぬ、喫茶店劇団を立ち上げることになって、めでたしめでたし。


脚本はかの「ごくせん」や「1リットルの涙」を手がけた江頭美智留氏。
期待が持てるかと思っての観劇だったが見事にカウンターパンチを喰らってしまった。
いくらなんでもクオリティが低すぎる。


まずは脚本に関して。
短編構成にしたのは効果的でなかったのではないだろうか。

さびれた喫茶店を盛り上げるために試行錯誤していくメインテーマがあるにも関わらず、
それぞれの話は完全に独立していてほとんど結びつかず、
全話に通して登場する店長達も人間的成長もしなければ人間関係の発展も見受けられない。
そもそもお店のためのアイデアの試行錯誤も真剣にやっている感が薄く、
見ていてちっとも共感できないのだ。
最後に登場人物全員出して、「なんだかうまくまとまりました、チャンチャン♪」では
あまりにお粗末な展開だと思う。

唯一、話として比較的まとまっていた家族喫茶の話をもっと膨らませて、
1本の90分芝居を作ったほうが良かったのでは?


次に演出面。
演劇のセオリーを破ったかなり破天荒な演出だった。

現代劇にも関わらず、当たり前のようにイロモノが多数登場するのだ。
冒頭ではGガンダムの司会の人を模したキャラクターが語り、
ダンボール製の地獄大使、ダンボール製の巨神兵とクシャナなんかも出てくる。
小ネタでは聖闘士星矢ぶっとび、プリキュア、ライダーキック、ワンダースワンなど
アニメやゲーム寄りの嗜好が見えるものが非常に多かった。
とにかく小ネタ満載で、小ネタ見せるために脚本にストーリー足してると思われる部分も多数。

個人的にはセオリー破りの作品は見慣れているし、好きでもある。
しかしセオリーを破るなら、セオリーを破るだけの「何か」が必須である。
その「何か」というのは、例えば底抜けに面白いとか、度肝を抜かれるとか、何でも良いのだが、
この作品に関して言えば、そういった惹かれる要素は全くなし。
ただ「セオリーを破っただけ」で終わってしまっているのだ。
これではお客はただ引いてしまうだけである。


そして役者面。
オーディションで集めたらしいが、技術レベルが低い役者が多すぎる。
30人近くキャストがいて、見れる演技をする役者がたった数人というのは正直キツイ。

セリフは叫び声的な聞き取り辛いトーンを多用する人が多く、
単語の立て方、相手との距離の取り方など、見ていて気になる部分が盛り沢山。
あと、とにかく止まってしゃべれない役者の多さにびっくりした。
テンションと自分の感情に任せて気持ち良く演技していて、
それが他からどう見えているかを自覚できていないのがよくわかる演技。

役者として当たり前の技術があまりに備わっていなくて、
セオリー破るどころかセオリーさえできねぇんじゃねぇかテメェと言いたくなる。
(↑言い方汚いけど自分が感じた率直な感想です)


最後に制作面で1点。

この公演はダブルチームなのだが、そのチーム表記がコレ。
【\(^o^)/】【/(^o^)\】
読めないし間違えろと言わんばかりに似た表記になっている。
脚本、演出、企画、いったいどの部署が発案したの知らないが、
制作はこれGoサイン出しちゃダメじゃない?

しかも後になって初めてこの表記の読み方がわかったが、
【\(^o^)/】ナンテコッタバージョン
【/(^o^)\】オワタバージョン
というらしい。
これは劇場に設置されていた看板と、前説・後説でしか知らされない。
公式HPにもビラにも当パンにも記載されていないのだ。
いくらなんでもそれはお粗末だろう。


この人衣企画は今回が旗揚げだったらしいが、
いったい何を目指した企画だったのだろう?

正統派ドラマで名の通った脚本家を使い、
自分の嗜好ゴリ押しのコントを作る演出家を使い、
まだ実力の伴っていない若手役者を大勢使い、
誰に何を見せたかったのだろう。

失礼な言い方だが、企画として二回目があるとはとても思えない。
企画サイドがこの公演を本心でどう考えているのか。
機会があるなら聞いてみたいものだ。


 


HIME企画 1st Stage
「NINE to KNUCKLE DOWN」

2012/05/22更新  ≪中野MOMO≫ ≪HIME企画≫ ≪2012/05

HIME企画 1st Stage 「NINE to KNUCKLE DOWN」

HIME企画 1st Stage 「NINE to KNUCKLE DOWN(ナイン・トゥ・ナックル・ダウン)」

【脚本】
伊藤裕一(お座敷コブラ)

【演出】
岡崎涼子

【キャスト】
岡崎涼子、渕井達也、仁木紘、原田尚美、平田剛、大高史也、
鬼塚智子、山田うさぎ、石井隆平、石戸サダヨシ(劇団宇宙キャンパス/Re:Play)
帯包麻菜(張ち切れパンダ)、加藤千秋、藤宮潤(B-Box)、矢嶋美春

【日程】
2012年5月
17日(thu)◇19:00
18日(fri)◇14:00/◆19:00
19日(sat)◆14:00/◇19:00
20日(sun)◆14:00
◇鬼塚智子出演回
◆山田うさぎ出演回

【場所】
中野MOMO

【チケット】
前売り2800円
当日3000円
平日昼割2500円

============================

ただなんとなく日常を生きているだけの平凡な青年(主人公)。
ある日、国の秘密治安維持部隊の隠密作戦に巻き込まれて不幸にも命を落としてしまう。
秘宝ともいえる人工心臓を埋め込まれて命を取り留めた彼だが、
その秘密保持のため治安維持部隊のエージェントにならなければいけなくなる。
主人公にしか見ることのできない人工心臓の元となった女の子の意識(幽霊的な感じ)、
その姉、その姉に好意を持つもの、研究者、人工心臓を狙う悪の組織の者達、
いろんな人間関係を描きつつ、
秘密治安維持部隊と悪の組織の対決を描く。

まぁ、大体そんな感じのお話。


脚本をお座敷コブラの伊藤裕一氏が書いているだけあって、
「あれ?ここお座敷コブラ?」ってぐらいに仕上がりが似た作品になっていた。
演出もそういう方向を目指したのだろうか。

かなりベタなSF話なわけだが、脚本自体は良いと思う。
急すぎず遅すぎず、良いテンポで展開していくので話は頭に入ってくるし、
お客を裏切る展開こそないが、王道SFって感じで楽に観ることができた。

しかしそのSFの世界観をお客に理解させる作業をはしょっていたのはかなりのマイナスだと思う。
この作品、内容がかなりアニメよりの世界なのだ。

アクションシーンはほとんど銃を使わない肉弾戦、
電撃を放つグローブや、指輪をモチーフにした多機能な兵器、大鎌などのアニメ的な武器、
正義側も悪側も隠密行動にはまるで向いていないカッコつけ系の衣装、
ピンチになると目覚めるエヴァ暴走みたいな力、
大事なはずの心臓を、手で簡単に鷲掴みで引き抜くムチャクチャぶり・・・etc。
これらは「こういう作品なんだ」っていうのを理解した上で見れば「設定」として成立するが、
世界観を理解していない状態でいきなり見せられれば「ツッコミどころ」でしかない。
最悪、厨二病作品にしか受け取られないことだってある。

SF映画を見れば、必ず冒頭で世界観を表現する時間が設けられているはずだ。
たとえば近未来SFなら、壮大な建造物がずらーっと並ぶ景観、タイヤのない浮かぶ乗り物、
2足歩行で歩くロボットたち、音声で料理も洗顔もやってくれるハイテク機器など。
ファンタジーSFなら、広大な大地とその上空を優雅に羽ばたく巨大なドラゴン、
森で自然と共存する原住民、魔法で火を起こしたり食べ物を出したりしている日常などなど。

この作品ではそういう「早い段階でお客に世界観を理解させる」作業が足りてなかった。
どんなムチャクチャな設定だろうが、それを世界観としてお客に認めさせてしまえば
その時点でお客は脚本の味方になってもらえるだけに、もっと大事にしてほしい部分だと思う。


あと気になったのは役者の個々の技量。
セリフをちゃんと聞かせることのできる役者が少なかった。
音量、間、スピード、トーン、単語の立て方、感情の乗せ方など、
セリフを吐く上でいろんな要素があるわけだが、いろいろと技量不足。

見せれる水準に至っていないセリフが発せられる度に、シーンの温度は確実に下がっていく。
テンポの良くどんどん展開させていくストーリー構成の作品なだけに、
この部分が大きな足枷になっていて残念に思った。

あと台本通りなのかアドリブなのかは知らないが、役ではなく役者本人でボケる系のネタ。
あれはその時点で役者本人がお客を引き込んで味方につけていて初めて成立する。
その技量がないならばやらないほうがいい。


いろいろ書いたが、総合的に決して悪い作品でなかった。
個性的な役者を集めている部分も評価できるし。
今回が旗揚げだということでこれからの成長に期待。


 


流星揚羽 第7回公演
「緋旗青風嵐記」

2012/05/18更新  ≪池袋シアターグリーン BOX in BOX≫ ≪流星揚羽≫ ≪2012/05

流星揚羽 第7回公演 「緋旗青風嵐記」

流星揚羽 第7回公演 「緋旗青風嵐記(ひのはたせいらんき)」

【作・演出】
松尾美香

【キャスト】
小川カズ、加藤智彩、林充晃、松尾美香、藤田英明(らちゃかん)、東田裕美、知江崎ハルカ、
江本和広(ヨコスカトイポップ)、手塚和典(ロスリスバーガー)、足立雄大郎(W-tool)、別所美和、
高野ちん太郎(らちゃかん)、大槻祐介、佐藤こてつ、森田竜介、鬼丸(音影)

【日程】
5月16日(水)  19:30〜
5月17日(木) 14:30〜/19:30〜
5月18日(金) 14:30〜/19:30〜
5月19日(土) 14:30〜/19:30〜  
5月20日(日) 13:30〜/17:30〜

【場所】
池袋シアターグリーン BOX in BOX

【チケット】
前売   3000円
当日   3300円
平日昼割 2500円(木・金の昼公演)

【公式HP】
http://ryuseiageha.gozaru.jp/

============================

時は幕末。
医者を目指す若者(主人公)と本売りの男が行商をしているとき、一人の異国人と出会う。
そのままドタバタ騒ぎに巻き込まれ役人に捕らえられてしまい、
その土地を治める女藩主と出会うことになる。
そこを襲撃してきた反乱者たち。
ひょんなことから反乱者たちと行動をともにすることになった主人公たちは
彼らの信念とその生き様に触れていく。
女でありながら藩主になった人間、それをなんとしても守りたい者、
かつての仲間のために自分の想いを貫きたい男、障害をかかえた男、
存在を認められなかった先代藩主の隠し子、自分の尊敬する異国の師を失った男など
様々な人間の想いが交錯する。


ざっくりとあらすじを書くとこんな感じかな。
幕末の動乱を描いた、笑いあり、涙あり、チャンバラありの時代物。

全体としてよくまとまっていたかと。
序盤で藤田英明演じる異国人がしっかりと場を温めていったため、
お客が早い段階で舞台に食いついていたように感じた。
「早くまたあの異国人出てこないかな」
こう思わせてくれる役者がいるかどうかで見易さが全然変わる。

ストーリーや人間関係も比較的シンプルに構成されていて好感が持てる。
最近このへんを必要以上に複雑に作りたがって失敗している劇団が多いので、
こういった王道でしっかりとものが作れるってことは本当に良いことだと思う。
まぁベタに作りすぎていて、ラストの展開はほぼ予想できてしまい、
盛り上がりがもう一歩だったって部分は残念ではあったが。
最後に旗が浮かぶシーンなんかではもっとゾクゾクさせてほしかった。

また元々この劇団はアクションをひとつのウリにしているのだが、
それが押し付けがましくないのも良い部分。
必要最低限の場面で、必要最低限の手数の殺陣のみ。
そのぶんひとつひとつのクオリティは高めだし、見ていて疲れない。
長々とだらついたアクションシーンが続くのが一番お客としてはしんどいので。

お客も呼べているし、固定ファンも多い雰囲気の劇団だった。
これからのさらなる発展に期待。


 

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