日々是劇評

関東圏内で観劇した舞台について率直に感想を書いています。
自分用の備忘録みたいなもんなんで遠慮なく辛口な批評もしています。

<更新記録>

劇団SSP 「Up With Future 〜Synchronizer〜」  @日暮里 d-倉庫 2014/02/26
劇団PEOPLE PURPLE 「サヨナラの物語」  @新宿シアターモリエール 2014/01/26
MS2 「ダイヤモンドダスト・ドリーム」  @中野ザ・ポケット 2014/01/07
セブンスキャッスル 「人狼 ザ・ライブプレイングシアター #08:MISSION The Castle Job」  @上野ストアハウス 2013/12/30
9-States 「それなりにハッピー」  @下北沢 OFF・OFFシアター 2013/12/27
梅パン 「いなづま」  @池袋シアターグリーン BASE THEATER 2013/12/23
ネコ脱出 「人生快速」  @下北沢 「劇」小劇場 2013/12/22
メガロザ 「靴下にカミソリ」  @新宿タイニイアリス 2013/12/20

※本文中に激しくネタバレ含みます!
 上演中の公演についてこれから観劇予定の方は閲覧ご遠慮ください。


座・あおきぐみプロデュースvol3
「異人伝」

2013/12/02更新  ≪本願寺ブディストホール≫ ≪座・あおきぐみ≫ ≪2013/12

座・あおきぐみプロデュースvol3 「異人伝」

座・あおきぐみプロデュースvol3 「異人伝」

【作・演出】
青木淳高(座・あおきぐみ)

【キャスト】
阿沙花、伊藤未央、大橋勇太、岡田典子、岡田美樹、加藤由香子、金澤辰典、
菊川聖羅、篠崎章宏、巣山孝幸、崎智絵里、玉城海、橋本里沙、春宮茉由、
和田士季、橋詰昌弘、昼田富彦、津村英哲、とうふ、東野行恭、中川智美、
西川ゆき依、原田久仁茂

【スタッフ】
舞台監督: 鹿島樹(森羅演劇空間)
照明: 岡田潤之
音響: team HonBan
殺陣指導: 津村英哲(ツムラ組)
方言協力: 玉城栄子、松堂シヅエ
宣伝美術: 荒川温子(L'aube Produced by Bridge for Flappers)
制作: 阿部真弓

【日程】
2013年11月29日(金)〜12月1日(日)

【会場】
本願寺ブディストホール

【チケット料金】
一般  3,000円

【公式HP】
http://aokigumi.net/

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とある架空の島国のお話。
この島では2つの民族が共存していた。

片方の民族は竜神教を信仰していたが、その僧正がもう片方の民族に暗殺されてしまう。
竜神教の民族は、相手の民族を「鬼」と勝手に呼称し忌み嫌い、島から追い出す。

それから10年後、「貿易を始めたい」との申し出を受けて島にきた鬼たち。
しかしその呼び出しは陰謀で、彼らは島民たちに命を狙われてしまう。
鬼に理解のある富一家にかくまってもらう鬼たち。

一方、現・竜神教僧正の妹である凪に仕える勇龍は、
仲間とはぐれてしまった鬼・タリクと出会う。
10年前に鬼の少年を斬ってしまったことを悔やんでいた勇龍。
なかなかタリクに心を開けない。

再度島民たちの襲撃を受け、
貿易話が僧正の罠であったことを悟った鬼たち。
船を燃やされ退路を失った彼らは竜神教の本部に乗り込んでいく。

そこで鬼たちの前に立ちはだかる勇龍だったが、
鬼と呼ばれる彼らが自分達人間と何も変わらないことを目の当たりにして、
自分が守りたいものを守るという信念に従い、僧正に刀を向けることに。

前・僧正の暗殺さえも陰謀であったことが判明したり、
僧正の側近・左梗が裏切ったりで状況は一変するが、
最終的には島民、鬼たちは分かり合い、民族の壁はなくなり平和が訪れる。

幕。


だいたいこんな感じのストーリー。
上演時間はしっかり確認してなかったけど、たぶん120分前後だった気がする。


島民は標準の日本語をしゃべり、鬼は全く別の言語をしゃべる(首里方言を基にしたものらしい)。
まったく違う言語をしゃべる民族同士が争い、そして和解していくお話。

いやー、難しいね。

劇中でお互いの民族の言葉が通じないという表現は演出上ほしいところだが、
鬼の言葉をお客さえも理解できない点は作品にとって大きな負荷になる。
映画と違って舞台では字幕を表示することもできないので、
民族の言語の差を出しつつ、お客にも話の筋を理解をさせるそのバランスが本当に難しい。

実際、物語の導入で鬼たちが緊迫してがなり立てているシーンでは
本当に何をしゃべっているのかわからず、
もう観るの放棄しようかなってぐらいにキツイ時間に感じた。
客席に座っていて、まるで舞台側に無視されてるような感覚にさえ思えてしまうのだ。

島民と鬼の会話だったり、固有名詞が増えてくる中盤以降は会話内容が推測できるようになるだが。
しかし、それでも脳内の翻訳機能を使って「変換作業」というワンステップが入ってくるため
素直に物語自体を楽しむ邪魔になっているのは変わりない。

何かしらそのあたり工夫が必要だなと思った。


あと語り部の存在意義が謎すぎる。
この島を見守る竜神様的な設定だったようだが・・・必要?
シーン内で高めた温度が、あの無感情な語りが入るたびにリセットされてる感があって、
個人的にはその存在が好きになれなかった。
どうしてもやりたかったなら登場人物の独白の挿入でも良かったのでは。


役者間の実力差がかなり大きかったが、そこはちゃんと配役でカバーしていた。
デキる人がちゃんと話を引っ張るべきポジションについていたし、
笑いなんかも狙えるスキルのある人だけが狙って、きちんと拾っていたので良いと思う。
凪の要所要所の力の抜けた演技や、親衛隊のバカさ加減は楽しかった。

ただ、アクションは・・・左梗以外の人のスキルがいくらなんでも低すぎ(汗)
上半身だけで剣を振るう人が目立つし、役者の動きのキメが甘いから、SEが非常に入れずらそう。
(まぁ、音響のサンプラーもお世辞にもスキルが高いようには思えなかったが)
魅せれない殺陣シーンなら見せないほうが作品としてはよっぽどいい。


話の筋は王道だしテーマもいいと思うのだが、
竜神様から授かった勇龍にしか抜けない剣とか、
凪と勇龍の許婚設定とか、
10年前に捕らわれてから敵側に寝返っている右梗とか、
掘り下げが足りてなくて、存在自体が冗長に思えてしまう部分も見受けられた。

あれだけ卑劣な悪の大ボスキャラで通してた僧正が
ラストで「私は間違っていたのか…」って都合よく改心するのもちょっと。
それはさすがに無理だろうよ(苦笑)


脚本・演出・役者ともに惜しい部分がいっぱい。
いろいろ書いたが、別に駄作ではない。
もっともっと考え悩み抜いて、プロとしてのクオリティの舞台に仕上げてほしい。

次に期待。


 

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