日々是劇評

関東圏内で観劇した舞台について率直に感想を書いています。
自分用の備忘録みたいなもんなんで遠慮なく辛口な批評もしています。

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劇団扉座 「アトムへの伝言」  @新宿 紀伊国屋ホール 2013/07/05

※本文中に激しくネタバレ含みます!
 上演中の公演についてこれから観劇予定の方は閲覧ご遠慮ください。


劇団扉座
「アトムへの伝言」

2013/07/05更新  ≪新宿 紀伊国屋ホール≫ ≪劇団扉座≫ ≪2013/07

劇団扉座 「アトムへの伝言」

劇団扉座 「アトムへの伝言」

【脚本・演出】
内謙介

【キャスト】
岡森諦、六角精児、山中崇史、野口かおる(客演)、中原三千代、
伴美奈子、犬飼淳治、高橋麻理、鈴木利典、高木トモユキ、江原由夏、
上土井敦、新原武、松本亮、松原海児、野田翔太、比嘉奈津子、塩屋愛実

【日程】
2013年7月3日(水)〜7日(日)

【会場】
紀伊国屋ホール

【チケット料金】
一般  4,500円
学生  3,000円
※当日券は500円増

ミナクルステージ割(7/3の回) 3,000円

【公式HP】
http://www.tobiraza.co.jp/

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天才・柳博士率いる森の里科学研究所は、
世界初のコメディアン・ヒューマノイドの開発に成功!
その名は「カッパ」。

世界に笑いをもたらす為、華々しく誕生したカッパだが、
肝心の科学者たちは笑いを知らない。
そこで伝説の漫才師「海老乃家ラッパ」のもとへ、
カッパともども弟子入りすることになる。

しかしカッパには重大な欠点があることが判明する。
暴言や暴力を禁じられているカッパは、激しいツッコミができないのだ。
そこにはかつて研究したロボットが軍事利用されてしまったことを
悔やんでいる科学者たちの、平和への強い想いが秘められていた。

カッパの完成を望む科学者たちはラッパの要望を受け、
暴言・暴力のセーフティーを甘くする。
しかし、ある日ラッパをゆすりに来た元・同門たちの横暴に耐えかねて、
カッパは彼らに暴力を振るってしまい、
それがマスコミ沙汰になってしまう。

カッパの廃棄処分が決定してしまうが、
ラッパは、どうせなら持ちネタの「地雷コント」を本物の地雷でやって
華々しく散るのがいいのではないかと提案する。
ロボットとして、芸人として。

そしてカッパは全国の人間が見守る中、
「地雷コント」を披露して観衆を爆笑の渦に巻き込んだ後、
はかなく粉々に散っていった・・・。


ざっくり書くとこんな感じのあらすじ。


最先端のロボット工学に対してやってることは昭和のベタベタなお笑い、
笑いが非常に多い中で奥底から時折顔を出す深い悲しみ。
本来真逆であろうことが非常にうまく融合されていて、
素晴らしい作品だと思った。


テレビでもおなじみの六角精児の存在感はとてつもないし、
メインどころを張っている役者それぞれの個性はどれも魅力的で、
どの登場人物にも好感が持てた。

個人的にはカッパが人間臭すぎて、
もうちょっとだけロボットロボットしててもよかったかなとは思ったけど。
でもそれでも非常に良い演技をしていたと思う。


演出としてすごいなと思ったのはシーンの緩急のつけ方。

シックな会話で物語が始まったかと思えば、
河童の格好をしたカッパが怒涛の笑いを展開して場を巻いたり、
テンポの良い稽古のシーンを見せたかと思えば、
カッパへの愛着に耽る研究者達の果てしない沈黙を見せたり。

「ジェットコースターのように緩急を」っていう例えがあまり好きではないが、
まさにそれに近いようなテンポのコントロールで
観ている側の心を上下左右に揺さぶりかけてくる芝居は、やはり面白い。
これは演出の力でもあるし、役者の力でもあるだろう。

ラストシーンの「地雷コント」で観客を本当に腹の底から笑わせ、
笑わせ切ったところで突然「カチッ!」と入る地雷の起動音。
そしてお別れの言葉を述べた後、沈黙の中ゆっくりと闇に溶けていくカッパ。
いやー、こういう揺さぶり方はズルいね(笑)


楽しくて、面白くて、悲しくて、
そして科学のあり方、人間としてのあり方に問いかけを発する、
奥の深い素晴らしい舞台だった。


P.S.
作品とは関係ないのだが、今回客層が非常に気になった。

木曜夜の回だったのだが、
20歳前後の若い子たちが集団で観に来ていて、
自分の周囲にそれがたくさん固まって座っていた。
大学、もしくはタレント系の養成所の授業の一環なのだろうか。

会話の内容から察するに彼らは招待扱いで来ているらしかったが、
どうやら半強制的に観に来させられたようで、開演前から、
 『えー、2時間もあんの?』
 『あー、いますぐ(終演時間の)21時になんねーかなー』
などと周囲に聞こえる声量で言いたい放題だった。

しかもその観劇中のマナーもひどく、
上演中はまるで自宅でテレビにつっこむかのごとく地声でしゃべり続け、
一度よその人に注意されても声が小声になるだけ。

そして終演後にはこれまた大きな声で一言。
 『お前アンケートに住所書いてんの?いらなくね?
  だって、金払ってまで観に来ないでしょ?』


正規のチケット料金を払って観劇している立場としては、
不愉快以外の何物でもなかった。
せっかくいい内容の芝居観てるのに完全に台無し。

マナーが悪い彼らを責めるべきか?
そんな彼らを劇場に足を運ばせた指導者を責めるべきか?
そんな指導者に招待を出してる運営を責めるべきか?

招待に関してはいろいろ大人の事情があるだろうが、
それはもっとしっかり吟味してやってほしいと切に願う。


 

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