<更新記録>
劇団SSP 「Up With Future 〜Synchronizer〜」 @日暮里 d-倉庫 2014/02/26
劇団PEOPLE PURPLE 「サヨナラの物語」 @新宿シアターモリエール 2014/01/26
MS2 「ダイヤモンドダスト・ドリーム」 @中野ザ・ポケット 2014/01/07
セブンスキャッスル 「人狼 ザ・ライブプレイングシアター #08:MISSION The Castle Job」 @上野ストアハウス 2013/12/30
9-States 「それなりにハッピー」 @下北沢 OFF・OFFシアター 2013/12/27
梅パン 「いなづま」 @池袋シアターグリーン BASE THEATER 2013/12/23
ネコ脱出 「人生快速」 @下北沢 「劇」小劇場 2013/12/22
メガロザ 「靴下にカミソリ」 @新宿タイニイアリス 2013/12/20
※本文中に激しくネタバレ含みます!
上演中の公演についてこれから観劇予定の方は閲覧ご遠慮ください。
カプセル兵団 番外公演
「ゾンビ×幽霊×宇宙人 オール恐怖大行進」
2012/07/23更新 ≪八幡山ワーサルシアター≫ ≪カプセル兵団≫ ≪2012/07≫
カプセル兵団 番外公演 「ゾンビ×幽霊×宇宙人 オール恐怖大行進」 【脚本・演出】 吉久直志 【キャスト】 ノーマルバージョン: 吉久直志・周晴奈・瀬谷和弘・岡田勇輔・工藤沙緒梨・森澤碧音(DanceCompanyMKMDC)・ 遠藤公太郎・林潔・小林美穂・仁木紘・若林辰也(優演隊)・神里まつり・福山渚・ 中森康仁(株式会社碗) バカバージョン: 吉久直志・周晴奈・青木清四郎・庄章子・中山泰香・北出浩二(team SPITFIRE)・ 熊手竜久馬(虹の素)・五十嵐勝平・石神まゆみ・大場トシヒロ・渕井達也・谷口明日菜・ 國崎馨(スターダス・21)・西村太一(ジャングルベル・シアター) 【日程】 2012年7月12日(木) 〜 22日(日) 【場所】 八幡山ワーサルシアター 【チケット】 前売・当日 2,800円 2バージョンセット券 5,000円 ※14日〜16日限り、中学生以下3名までの同伴無料 【公式HP】 カプセル兵団 公式HP ============================ ゾンビに追いかけられた若者たちが逃げ込んだ屋敷は、有名な心霊スポットだった・・・。 屋敷の中で起きる怪奇現象の数々。 外にはゾンビ、家の中には幽霊が待ち構える絶体絶命の状況へ 様々な人々が逃げ込んでくる。 はたしてこの状況を打破することはできるのか!? 新しい演劇の可能性に挑戦し続ける劇団、カプセル兵団が 「飛び出す演劇」「ビジュアルイマジネーション」に続き挑戦するのは「ダブル演出」!! 同じ脚本を使い『ホラー』と『コメディ』相反するジャンルの作品を作り上げる! 超実験的シチュエーションホラーコメディ。 以上が公式HPより転載した公演詳細。 ノーマルバージョン、バカバージョン両方を観たが、 まぁ、普通に面白かった。 シチュエーションコメディとしてスピーディーに展開していて、 笑わせどころの数も質も良し。 頭を使わずに目に映るものを純粋に楽しめばいいという、単純な作品に仕上がっていた。 いや、うん、十分面白いと思う。 そのへんの劇団が作る作品の水準にはちゃんと達している。 ・・・しかしやはりこれは言いたい。 カプセル兵団ってもっとスゴい事やってくれる団体じゃなかったっけ? 「え!?マジで!?」みたいな演出を毎回見せてくれる団体じゃなかったっけ? これは高望みし過ぎだろうか。 「カプセル兵団の作品」を期待していた者としては今回の作品、不満が多かった。 まずはストーリー的な部分。 「オール恐怖大行進」というわりには、恐怖を演出できていたのは序盤の迫り来るゾンビぐらい。 幽霊はそのへんのお化け屋敷程度の演出でしかないし、そのシーンも少ない。 宇宙人にいたっては完全に登場時からギャグ要素でしかない。 (個人的には感情が読めないリトルグレイみたいなのを期待していたのだが) そしてそのあたりから完全に話がコメディ的にまとまり始めてしまい、 それまで怯えていたはずの登場人物が、ゾンビも幽霊も全く恐れないモードになってしまったのだ。 いくらコメディーを目指していたにしても、それまでの恐怖が途中でなかったことになってしまうのは やはりいただけない部分だと思う。 観ていたこちらも、序盤はその世界観と迫りくる恐怖にちゃんと引き込まれていたのに、 途中から急に現実味のないギャグ世界としてしか見れなくなってしまった。 そうなってしまうと、事件解決に向けて行動している彼らからは全く必死さが伝わってこなくなり、 ストーリー全体が急速に陳腐で薄っぺらいものになってしまう。 あと脚本にご都合主義部分やツッコミどころが多過ぎる。 宇宙人を噛むだけでゾンビ化が治ったり、 何の医療設備もない場所で特効薬が作れたり、 幽霊が館と無関係なのに地縛霊だったり、 序盤あんなに恐怖だったゾンビを、終盤は皆あっさりかいくぐって行動していたり、 工業高校の生徒がいとも簡単に故障したUFO直せたり...etc。 コメディだから細かいトコはいいや、って目をつぶってもよい量を超え過ぎていた感がある。 これも話が陳腐に感じられてしまう要因になってしまった。 そしてラストの幽霊との約束を果たすシーン。 シーンとしては良くできているし感動もできる。 しかし個人的にこの作品の中ではものすごく浮いているように感じてしまった。 ホラーコメディってことなら最後にこのような形で感動を盛り込む必要はあったのだろうか? 焼肉定食をいままさに食べ終わりそうなタイミングで「あ、これサービスです」って 大きな海老天を出されたような、そんな感じの蛇足感。 そもそも幽霊が劇中で影が薄かったのもあってか、 余計に無理やり感動要素を付け足したような印象を受けてしまった。 脚本、もしかしてだいぶ迷走したのだろうか? 実際どうだったのかはわからないが、 まとめ方に苦労してとりあえずこういう着地点におさまったって感じがする。 次に演出面。 「ノーマルバージョンとバカバージョンの2パターンの演出!」 というのが売り文句だったのだが、 蓋を開けてみれば小ネタを詰め込んでいるかどうか、ってだけの違いだった。 「全く違う演出」って言葉を取り違えると肩透かしをくらってしまう。 そして出来としてはノーマルに関しては全く問題がないのだが、 バカのほうはちょっと難アリかなと思った。 元々コメディ要素が多い台本にも関わらず強引に小ネタを入れてきているので 台本上の本来の笑い所を殺している場所が多かった。 あとギャグの多さによって登場人物の真剣さがなくなるので 館に追い込まれている緊迫感が皆無になり、ストーリーに引き込まれづらい。 そのわりに終盤はまとめに入るためなのか極端にギャグが控えめになり、 ノーマルと同じように繰り広げられるラストの感動シーンにものすごく違和感を感じてしまう。 このへんがおもになんだかなぁと思ってしまった点。 ノーマルを先に観た後でのバカならパロディ版として楽しめる気がするが、 観る順番が逆だったり、バカだけしか観ない人は楽しみづらいのではないだろうか。 うーん、このあたりどうなんだろう。。。 長々と書いてしまったが、先にも書いたとおり十分面白い作品だった。 しかしこの劇団の持っている自力からすると、 今回の作品はいつものクオリティまで届かなかった 『失敗作』 に思える。 バージョン分けなどせずに、十分に時間と労力をかけて、 1本の作品を作ってほしかったなぁというのが正直な感想だ。 目線が厳し過ぎるかもしれない。 しかし、カプセル兵団だからこそ、もっともっと上のレベルを期待したい。 絶対にそれができる集団のはずなのだ。