<更新記録>
劇団SSP 「Up With Future 〜Synchronizer〜」 @日暮里 d-倉庫 2014/02/26
劇団PEOPLE PURPLE 「サヨナラの物語」 @新宿シアターモリエール 2014/01/26
MS2 「ダイヤモンドダスト・ドリーム」 @中野ザ・ポケット 2014/01/07
セブンスキャッスル 「人狼 ザ・ライブプレイングシアター #08:MISSION The Castle Job」 @上野ストアハウス 2013/12/30
9-States 「それなりにハッピー」 @下北沢 OFF・OFFシアター 2013/12/27
梅パン 「いなづま」 @池袋シアターグリーン BASE THEATER 2013/12/23
ネコ脱出 「人生快速」 @下北沢 「劇」小劇場 2013/12/22
メガロザ 「靴下にカミソリ」 @新宿タイニイアリス 2013/12/20
※本文中に激しくネタバレ含みます!
上演中の公演についてこれから観劇予定の方は閲覧ご遠慮ください。
川崎インキュベーター主催公演
「光る時間(ひかるとき)」
2012/08/17更新 ≪ラゾーナ川崎プラザソル≫ ≪川崎インキュベーター≫ ≪2012/08≫
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川崎インキュベーター主催公演 「光る時間(ひかるとき)」 【脚本】 渡辺えり 【演出】 秋葉舞滝子(SPIRAL MOON) 【キャスト】 星達也、鈴木千賀子、延田知香、城戸啓佑、宇野仁美、西村めぐみ、滝沢信、後藤隆宣、 赤嶺鬼若、ひとみまさこ(A)、中野聡子(B)、為平康規(A)、五来英顕(B) 【日程】 2012年 8月10日(金)19:30(A) 8月11日(土)14:00(A)、18:00(B) 8月12日(日)14:00(B) 【会場】 ラゾーナ川崎プラザソル 【チケット】 前売・当日 3,000円 川崎市民・川崎インキュベーター会員・60歳以上 2,500円 全席自由席 【公式ブログ】 川崎インキュベーター「光る時間」 公式ブログ ============================ 舞台はとある旅館の一室から。 姉とその弟夫婦が自分達の両親をねぎらうために家族旅行で訪れていた。 父が70歳の誕生日であるためその誕生祝いも兼ねていた。 しかしタイミングが悪く、旅館はいたるところで工事中、 部屋の中も騒音がひどくてとてもくつろげる状況ではない。 せっかくの家族旅行がうまくいかない弟はずっと機嫌が悪い。 そこに父の友人を名乗る老人たちが次々と現れて勝手に宴会を始めてしまう。 父が自分で呼び集めたらしいが、半分ボケているため本人はそれを思い出せない。 母はいつものことだからと納得し、姉弟は家族水いらずのはずなのにと困惑。 話が進むうちに、彼らは戦時中に生死を共にした友人達だとわかり、当時の回想シーンへ。 友人の戦死や兄の収監とその死、爆撃される工場への理不尽な待機命令。 工場で死の危機を乗り越えたときにされた約束が、 実はこの70歳の誕生日に果たされるものだということがわかる。 ざっくり言うとそんな感じのお話。 舞台は旅館の8畳間が中央奥に作られており、 上手や下手の脇のほうはただの暗い空間。 前半1時間の旅館シーンの間はこの状態が続くのだが、正直寂しい感じがした。 これだけ大きなハコでこういうセットを組むと視覚的に非常に遠く見えてしまうし、 脇の暗い空間に意味が全くないため、空間の無駄遣いにしか思えなくて残念。 戦時中の回想シーンに入ると奥の壁パネルが倒れて 屋根の上になるという仕掛けがされていた。 その仕掛けはダイナミックで転換も早くて 「おおっ」と思った。 ベタではあるが、しっかりと作られた良い装置だと思う。 脇の空間はここからはサスを入れて登場人物の独白などに使われているのだが、 これはイマイチ効果的には思えず。 もっと小さな劇場でやって脇の空間なんてなくしてしまったほうが良かったのではないだろうか。 もしプラザソルでやらなければいけないという制約があったのなら、 もうちょっと違う舞台装置の構成を考えるべきだと思う。 話的には序盤でお客を掴めなかったのが痛手だったように感じた。 70歳の老人を演じる役者が軒並み20代か30代にしか見えなかったという 見た目の問題もあったたが、どちらかというと会話が回っていなかったのが大きな問題。 振り回す立場、振り回される立場が明確になっていて そのやりとりの妙で笑わせることができる部分がいっぱいあるのに それを取りこぼしまくっているのだ。 台詞の投げ方が上手い役者が少なかったせいでもあるが、 なにより振り回される弟が「怒り」を前面に押し出し過ぎているのが大きな原因だと思う。 漫才でツッコミがブチ切れていたら笑えないのと一緒。 振り回される側は「怒り」以外で「振り回されている」を表現しなければ見ている側は笑えない。 そのため老人の横暴に弟がただキレまくっているという、 見ていてただ居心地の悪いシーンになっていた。 コメディとまでは言わないが、お客が楽しくドタバタを見れるように仕上げられれば良かったのに。 これでは弟はもちろん、振り回している側の老人達も悪に見えてしまい、 お客は彼らに嫌悪感しか感じなくなってしまう。 そして老人達に悪い印象を持たれたまま回想シーンに入ってしまっては、 そこで生きる彼らの若い姿に共感なんて得ようもない。 後半の回想シーンが大事なはずなのに、 この時点で作品として全体的に破綻してしまうのだ。 実際どうしても自分は登場人物達に感情移入ができず、 どんなに良い台詞を聞いてもイマイチ心に響いてくることはなかった。 伝えたいメッセージがあるからこそ、この時期にこの作品を演ったのだと思うのだが・・・。 なんだか残念な仕上がりの作品になっていたように感じた。 あと父役と、若い頃の父役を別の役者が演じていたのはどういった事情だったのだろうか。 趣味の問題、演出の都合、政治的な事情、いろいろあるだろうが、 この点についてだけは、100%同じ役者が演じるべきであったと断言したい。 別人で演じ分けることで作品が持つ意味はゼロであろう。 見ていていろいろ疑問符が出てしまった作品だった。 個人的な要望として、あまり戦争物の作品でコケてほしくない気持ちがある。 忘れてはいけないものだから、それの伝え方ももう少し丁寧にしっかりやってほしいと思った。