<更新記録>
劇団SSP 「Up With Future 〜Synchronizer〜」 @日暮里 d-倉庫 2014/02/26
劇団PEOPLE PURPLE 「サヨナラの物語」 @新宿シアターモリエール 2014/01/26
MS2 「ダイヤモンドダスト・ドリーム」 @中野ザ・ポケット 2014/01/07
セブンスキャッスル 「人狼 ザ・ライブプレイングシアター #08:MISSION The Castle Job」 @上野ストアハウス 2013/12/30
9-States 「それなりにハッピー」 @下北沢 OFF・OFFシアター 2013/12/27
梅パン 「いなづま」 @池袋シアターグリーン BASE THEATER 2013/12/23
ネコ脱出 「人生快速」 @下北沢 「劇」小劇場 2013/12/22
メガロザ 「靴下にカミソリ」 @新宿タイニイアリス 2013/12/20
※本文中に激しくネタバレ含みます!
上演中の公演についてこれから観劇予定の方は閲覧ご遠慮ください。
DULL-COLORED POP プロデュース
「最後の精神分析-フロイトvsルイス-」
2013/10/06更新 ≪日暮里 d-倉庫≫ ≪DULL-COLORED POP≫ ≪2013/10≫
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DULL-COLORED POP プロデュース 「最後の精神分析-フロイトvsルイス-」 【脚本】 マーク・セント・ジャーメイン 【翻訳・演出】 谷賢一 【キャスト】 石丸幹二、木場勝己 【日程】 2013年10月4日(金)〜13日(日) 【会場】 日暮里 d-倉庫 【チケット料金】 一般 5,000円 学生 2,500円 【公式ブログ】 http://www.dcpop.org/ ========================================== 精神分析の祖ジークムント・フロイト、 ファンタジー作家C・S・ルイス。 もしこの2人が実際に出会い、 神の存在の有無について大激論したとしたら? 第二次世界大戦中でいつ空爆が来るかも分からないという状況で、 一つの部屋の中で繰り広げられる重厚で聡明な論戦。 たった2人だけで行われる90分の会話劇。 ざっくり書くとこんな感じのお話。 まず役者が素晴らしかった。 木場勝己の偏屈で頑固な、でもどこかお茶目なフロイト、 石丸幹二の知的でユーモラスで勝気だけど、どこか繊細なルイス。 たった2人の人間がひたすらしゃべっているだけの芝居で ここまで引き込まれるのは、まず彼ら役者の力があってこそだ。 登場から遅刻への皮肉と責任転嫁の応酬をするような、 まさに水と油のような対照的な性格の2人。 彼らは、聡明で知的な論争を繰り広げながらも、 ただの言葉の揚げ足とりのような子供っぽいを見せたりして笑いを誘う。 彼らの会話ならば、2時間でも3時間でも見ていられるなと思った。 終盤、口蓋の癌で先がなく自殺を考えているフロイトの考えに、 一旦は2人の戦いは収束するような気配を見せつつも、 最後まで議論に決着は付かず。 「長い歴史の中でいまだに解明されていない事実を、 この小さな部屋で1日考えて結論づけようとすることは狂っている」 と言うルイス。 それに対してフロイトが 「考えることをやめてしまうことのほうが狂っている」 とゆっくり返す部分がとても印象に残った。 あれだけ皮肉や罵倒の飛び交う議論をし、 最後まで全く歩み寄りを見せなかった二人だが、 このやりとりの後にゆっくりと握手を交わす。 言葉では言い表せない複雑な感情が充満した空間に、目頭が熱くなった。 彼らはこの瞬間に「最高の友人」になったのではないだろうか。 作品としてお客に提示するテーマなどは全くなく、 ただひたすら議論している90分。 それも決着しようもない不毛な議論。 それなのに、観劇後に確実に何かをずしりと心の奥に刻んでくる作品だった。 拍手。