<更新記録>
劇団SSP 「Up With Future 〜Synchronizer〜」 @日暮里 d-倉庫 2014/02/26
劇団PEOPLE PURPLE 「サヨナラの物語」 @新宿シアターモリエール 2014/01/26
MS2 「ダイヤモンドダスト・ドリーム」 @中野ザ・ポケット 2014/01/07
セブンスキャッスル 「人狼 ザ・ライブプレイングシアター #08:MISSION The Castle Job」 @上野ストアハウス 2013/12/30
9-States 「それなりにハッピー」 @下北沢 OFF・OFFシアター 2013/12/27
梅パン 「いなづま」 @池袋シアターグリーン BASE THEATER 2013/12/23
ネコ脱出 「人生快速」 @下北沢 「劇」小劇場 2013/12/22
メガロザ 「靴下にカミソリ」 @新宿タイニイアリス 2013/12/20
※本文中に激しくネタバレ含みます!
上演中の公演についてこれから観劇予定の方は閲覧ご遠慮ください。
劇団SSP
「Up With Future 〜Synchronizer〜」
2014/02/26更新 ≪日暮里 d-倉庫≫ ≪劇団SSP≫ ≪2014/02≫
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劇団SSP 「Up With Future 〜Synchronizer〜」 【脚本・演出】 杉本仕主也 【キャスト】 石渡秀一、神楽坂清一朗(劇団J.A.M!)、鈴木征爾、武田信大、野口俊丞、橋本恵祐、 福嶋孝幸、よっし、竹中さやか(Theatre劇団子)、坪田后加(劇団BDP)、本郷裕美、 丸山ちな都、箕輪菜穂江、杉本仕主也 【スタッフ】 舞台監督: 林大介、山本愛 照明: 佐瀬三恵子 音響: 杉山碧 映像: 練生川真理 宣伝美術: 稲垣佳奈美 ダンス振付: 宇津味彩 歌唱指導: 縣政愛 【日程】 2014年2月26日(木)〜3月2日(日) 【会場】 日暮里d-倉庫 【チケット料金】 前売 3,000円 当日 3,500円 初日・平日昼割 2500円 【公式サイト】 http://www.ssp2009.com/top.html ========================================== 営業の仕事が冴えない主人公。 自分の不甲斐なさに嫌気がさしていたところに謎の男が現れ、 その手により主人公は異世界にワープしてしまう。 ワープした先は剣と魔法で戦う世界。 主人公は救世主と称され、出会った仲間とともにいろんなトラブルを解決していく。 その中で、現実世界と異世界にドッペルゲンガーのようにそれぞれ別の人間がいることを知る。 仲間の死を乗り越えてながらも敵を倒し、現実世界に帰ってきた主人公。 異世界で行動を共にした仲間(の別の人間)と現実で再開し大団円。 だいたいこんな感じのお話。 上演時間は2時間20分くらいだったかな。 とりあえず冗長な部分が多すぎて、 とてつもなく体感時間が長いなと思った。 歌あり、ダンスあり、アクションあり、 さらには人体の不思議をテーマにした暗示のコーナーあり。 ストーリーも主軸以外に小粒なエピソードが多過ぎ。 これらが見事に絡み合っているのなら良いのだが、どれも独立してる印象。 ブツ切りのひたすら長いパフォーマンスに、見てる側としては飽食気味になってしまった。 見せたいものをもっと選定して絞り、2時間程度に収められていたなら もっとスカッと見れると思うのだが。 あと主人公が成長していく姿を描いている作品なのに、 途中でテレパシー慣れしてないという理由で うまく会話できないように描写をするのはもったいなかったと思う。 なんというか、見た目として知的障害者のように見えるのだ(例えのチョイスが悪かったらすいません)。 その後ハキハキしゃべれるようになった主人公は 現実世界でのネガティブさの名残のない異常にハイテンションなお祭り男に。 冒頭の落ちこぼれから、片言しゃべりの知的障害者に、そしてハイテンションお祭り男、 その流れは主人公の成長というよりは、ただの多重人格者にしか見えない。 観ていてとても共感できる存在には成り得なかった。 (それ以降からの心情の流れは良いのだけども) 「希望を持って立ち上がり可能性を信じて突き進め」的な 前向きなスローガンを掲げた作風は嫌いじゃない。 ただ、これは王道であり、ベタでもあり、言い方を変えれば「ありきたり」「安直」とも言う。 「ありきたり」や「安直」と思われないためには、突き抜けたクオリティを提示するしかない。 厳しい言い方をすると、現状「可能性を信じて突き進んで結果が出た作品」とは言い難い。 脚本や演出の点で首をかしげる部分は多いし、役者の演技力も総じて低め。 やっていることの説得力を出すためにも、もっともっと上のクオリティを追求してほしいと思った。 次に期待。
劇団PEOPLE PURPLE
「サヨナラの物語」
2014/01/26更新 ≪新宿シアターモリエール≫ ≪劇団PEOPLE PURPLE≫ ≪2014/01≫
劇団PEOPLE PURPLE 「サヨナラの物語」 【脚本・演出】 宇田学 【キャスト】 植村好宏、森下ひさえ、柏村有美、濱谷晃年、吉井ミワ、片山誠子、 谷野まりえ、楠瀬アキ、伊部夢花、奈古あゆ未、野村亮太、柳川奈央、 嶋田彩華、吉見茉莉奈、金田侑大、金田怜奈、 菅野良一 (演劇集団キャラメルボックス)、泉祐介(放映新社)、他 【スタッフ】 舞台監督: 青野守浩 照明: 三浦あさ子 音響: 児島塁 (Quantum Leap*)、今里愛(株式会社エスエフシー) 小道具: ナゴ 衣装: 伊部夢花 【日程】 2014年1月23日(木)〜1月26日(日) 【会場】 新宿シアターモリエール 【チケット料金】 前売 4,200円 当日 4,600円 【公式ブログ】 http://people-purple.com/ ========================================== 小説家を目指している赤川。 しかし彼の原稿を受け取ってくれる出版社はおらず、 バイトで食いつなぎながら妻子を養っている苦しい生活を送っていた。 そんなとき自分が病気で余命がないことを知らされる。 自分が家族のために何も残せないことを焦った赤川は、 必死に出版社に自分の原稿を持ち込んで本にしてくれるように懇願するが、聞き入れてもらえない。 そんなとき突如現れたレンと名乗る女性編集者が、 赤川の原稿で本を出版したいという話を持ちかける。 レンは実は赤川が幼少期に飼っていた犬の魂が恩返しに具現化して現れた存在であった。 レンの後押しを受けた赤川は残された時間を家族とともに過ごし、 家族についての本を書き上げる。 そして妻に別れをつげ、永遠の眠りに。 赤川の死後、本屋に並んだ彼の最後の作品を手に人々は彼への思いに耽る。 幕。 だいたいこんな感じのお話。 上演時間はほぼ2時間ぐらいだった。 主人公がキャラメルボックスの菅野良一であり、 脚本も現代モノのファンタジーだったため、 終演後はなんとなくキャラメルボックスの作品を観たなぁって印象が残った。 関西の団体らしいので普段の作風は知らないが、 いつも大体こういうテイストの芝居をやっているのだろうか。 物語の早い段階で病気が判明し、そこから妻へ打ち明けて実家の父に打ち明けて、と お涙頂戴のシーンが立て続けに続くのがちょっとアレだったかな。 客席は鼻水をすする音で充満していたが、 同じような悲しみのシーンの連続に、観ていて疲れてしまった感はある。 作り手のほうからの「ココいま感動的なシーンです!」って提示が強すぎるのかもしれない。 さらっと淡白にやってくれたほうが心にズシリとくることもあるので、 そういう手法との使い分けがあればより良かったのではないかなと思う。 役者は個性的なキャラが揃っていて、 それぞれ目を引く演技をするし、笑いの取り方が巧い人も多いなと思った。 このメンバーならだいたいどんな芝居やってもハズレは作らなそうな、そんな安心感のある役者陣。 個人的に惜しいなと思ったのは、 赤川ファミリーのエピソードと、母を介護する女の子のエピソードがほとんどリンクしていなかった点。 どちらも幼少期の飼い犬が恩返しに現れるという部分で共通項はあるが、 まったく別の話の2本オムニバス作品みたいに見えてしまったので、 もう少しお互いの話が絡み合っていたほうが深みがあって良かったかもしれない。 話の筋はただでさえシンプルであったし。 しかし、見ているお客の心を大きく動かしたからこそのダブルコール。 関西が活動拠点のようだが、関西で続けるにしろ、東京に進出していくにしろ、 これからの活動が楽しみに思える団体だなと感じた。 次に期待。
MS2
「ダイヤモンドダスト・ドリーム」
2014/01/07更新 ≪中野ザ・ポケット≫ ≪MS2≫ ≪2014/01≫
MS2 「ダイヤモンドダスト・ドリーム」 【脚本・演出】 鷲田照幸 【キャスト】 深澤佑樹・秋山莉奈・齊藤涼祐・鈴木克昌・本東地勝 福田千明・堀畑杏奈・鍋本帆乃香・小澤輝大・秋月幸太郎 芹沢愛美・水沼佐和子・堀江夏希・佐藤聖也・渡邉康輝 Sheena・吉田直弥・白鳥ユリカ・金沢貴史・栗原幸子 三輪恵・野ア塁・田中実穂・羽川桜和子・蒔村三枝子 【日程】 2014年1月7日(火)〜1月12日(日) 【会場】 中野ザ・ポケット 【チケット料金】 一般 3,900円 【公式ブログ】 http://ms2ms2.blog.fc2.com/ ========================================== 東京の劇団で活動する主人公の青年が久しぶりに故郷に帰ってくる。 しかし彼は役者の厳しい道に挫折しかけていた。 そんなことは知らない元同級生は勝手に計らって、 地元の高校の演劇部を巻き込んだ町おこしの演劇事業の指導をすることに。 演目はシェイクスピアの「夏の夜の夢」で、しかもしかもミュージカル仕立て。 全国大会常連のお嬢様校と勝負をして仲間に引き入れ、 いろんな困難を乗り越えてミュージカルの上演を目指す。 無事に公演を成功させたとき、メンバー達はそれぞれの道を見出していた。 そのとき、何十年に1度しか起きないダイヤモンドダストが発生して彼らを祝福する。 だいたいこんな感じのお話。 上演時間は1時間50分ぐらいだった。 いやー、荒い。 若いといったほうがいいのだろうか。 それとも浅いといったほうがいいのだろうか。 ストーリー展開がいくらなんでもご都合主義すぎで、アラも目立つ。 風呂敷を広げすぎて話の筋が全くまとまってないのだ。 主人公の役者としての苦悩、昔好意をもっていた後輩との関係、同級生の病気、 町おこしと理事長(だっけ?)の想い、元ダンサーの掃除のおばちゃん、 お嬢様校との対決、公演とその成否。 詰め込んだ要素が多すぎて、広く浅くとっちらかってしまっていたように思う。 演出も暗転が多くてゲンナリ。 転換をクロスでやらない意味がわからない。 あと選曲と曲のきっかけも微妙だった。 役者は何人かできる人が混じっていて、 それだけにもったいなく感じる部分が多かった。 あと、これは完全に個人的な意見。 見ていて不愉快に思ったのは、登場人物達が「芝居ナメてる」ように見える点。 「お嬢様校と○○できます」なんていう詐欺まがいの看板で部員を勧誘し、 実際それで入部してきた男たちはこぞって恋愛して、カップルが5組も6組も成立するのだ。 いったいナニに情熱を燃やしている人達のお話なのだか。 そんな姿が観ている側の心を動かすことはない。 さらには、本番当日にディミートリアス役とヘレナ役の生徒2人が仮病を使い、 その代役としてそれぞれの高校の顧問達を板に上げる(主人公とヒロイン)。 恋人役を彼らに演じさせてお互いの心に火をつけようというのだ。 周りはそれに積極的に協力し、終演後もそれについてはお咎めなし。 ・・・これまで練習してきた生徒はそれでいいの? 急遽代役を立てたことで作品のクオリティは下がるけどそれでいいの? もう一度いう、それは芝居ナメてる。 もちろんフィクションの話なので、その中の登場人物にどうこう言ってもしかたがないのだが、 この『芝居ナメてる行為だらけの登場人物が描く青春群像劇』を、 脚本家が演劇作品として成立すると思って書いているのなら、閉口としかいいようがない。 自分が知っている『芝居に対して真摯な人間』なら、絶対にこんな本は書かない。 いつものごとく『次に期待』で文を〆たいところだが、 次は・・・ないな。