日々是劇評

関東圏内で観劇した舞台について率直に感想を書いています。
自分用の備忘録みたいなもんなんで遠慮なく辛口な批評もしています。

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The Dusty Walls 「スペース合コン&スペース合コン BEYOND」  @王子小劇場 2013/02/27

※本文中に激しくネタバレ含みます!
 上演中の公演についてこれから観劇予定の方は閲覧ご遠慮ください。


The Dusty Walls
「スペース合コン&スペース合コン BEYOND」

2013/02/27更新  ≪王子小劇場≫ ≪The Dusty Walls≫ ≪2013/02

The Dusty Walls 「スペース合コン&スペース合コン BEYOND」

The Dusty Walls 「スペース合コン&スペース合コン BEYOND」

【作・演出】
瀬戸宏一

【キャスト】
スペース合コン:
三井智映子、後藤和、鈴木亜里紗、鈴木若菜、岡崎恵、
小松金太郎、西郷豊、佐倉一芯、小林達明、横田裕市、
大門嵩、池村匡紀、松田輝一、アンソニー

スペース合コン BEYOND:
西郷豊、佐倉一芯、小林達明、小松金太郎、池村匡紀、
松田輝一、大門嵩、横田裕市、後藤和、坂本大河、菅山望、
丹羽隆博、林愛子、辻明佳、瀬戸宏一、G.V.ハイジマン、
鈴木亜里紗、千行星、岡崎恵、泊ヶ山まりな、佐々木実来、
鈴木若菜、三井智映子

【日程】
2013年2月16日(土)〜25日(月)

【会場】
王子小劇場

【チケット料金】
前売券  3,800円
当日券  4,300円
セット券 7,000円
リピーター割引 3,500円

【公式HP】
http://the-dusty-walls.net/

==================================

2年前に上演された「スペース合コン」の再演と、
その続編「スペース合コン BEYOND」との同時上演。
それぞれ90分程度のドタバタコメディー。

「スペース合コン」は、
男が絶滅して女性だけになってしまった星の人間と、
女が絶滅して男性だけになってしまった星の人間が
それぞれ種の保存のために、相手を自分の母星にお持ち帰りすべく、
様々な作戦を立てて合コンに挑むお話。

「スペース合コン BEYOND」はそれから数年後のお話で、
いまだ女性を求めて旅する男性たちが、
セレブ合コンをしたがっている女王の話に身分を偽って乗っかり、
そこにゲームの中の住人が絡んできたりしてドタバタやりつつも、
最終的に本当の愛を知る、みたいなお話。


2本とも観たが、どちらも普通に面白かった。


まず「スペース合コン」だが、お互いに異性に対して全く知識がなく、
過去のデータベースを参考にしたりするのだがそれがズレていたりして、
そこからくるいろんなすれ違いが非常に面白い。
間違った異性の知識に翻弄される若者達の描き方が秀逸。

ドタバタコメディの絶対必要条件は「登場人物が一生懸命生きていること」だと自分は思う。
人からみたらおかしな行動でも、当の本人達は大真面目で、一生懸命がんばっている。
でも残念ながら常識から少しだけズレているため、はちゃめちゃな状況になってしまう、
見ている側からすれば、その一生懸命さのすれ違いが滑稽で笑えるのだ。

その点でみれば、脚本の時点で「種の存続をかけて合コンに臨む」という設定があるので
登場人物各々の一生懸命さが滲み出ていて面白い展開になっていたと思う。

最終的に「種の保存」という目的に溺れ「愛する」という過程が欠如していたことに気付き、
それに目覚めて登場人物全員が各々キスして終了という、
シンプルでそれでいて深いような、そんな終わり方も好感が持てた。


次に「スペース合コン BEYOND」だが、
「スペース合コン」が霞むぐらいにレベルが高くて面白かった。

とにかく主要キャラの個性がハンパない。
男性キャストは前作からほぼ引き継いで同じ役なのだが、
それぞれ個性がかなり際立たされており、新キャラもかなり濃い。
特にダーティーさが格段に増した男艦長と女王ツボーネは夢に出るレベルである(笑)

こちらもいろんな思惑がいろんなすれ違いをしてドタバタして、
最終的にはやっぱり愛に目覚めて全員キスして終わりという、
前作を踏襲したスッキリした終わり方だった。


2作とも観たときに、圧倒的に「スペース合コン BEYOND」のほうが面白かった。
客席の笑い声から感じる限りでは、おそらく両方観た誰もがそういう感想を抱くと思う。

その主な原因は女性キャストの発声の甘さであろう。
出演していた女性陣は声のシャープさに欠けていて、
声量はあるのに何言ってるかわかんないキャストが多かった。

「スペース合コン」はしゃべっているセリフ内容の面白さ、つまりテキスト的な面白さ、
「BEYOND」はシチュエーションやアクションなどの視覚的な面白さの比重が高かったと思う。

どちらの作品もめまぐるしい早口テンポで展開するのだが、
テキスト的な面白さの比重が高い「スペース合コン」においては
聞き取りづらいセリフの存在はかなりマイナスに働いていた。
セリフをお客にいちいち脳内補完させてしまっていては、笑ってもらえない。
特に「スペース合コン」は冒頭から女性だけの会話のシーンが多いので、
導入部分でお客をしっかり引き込めていなかったのは、ちょっと惜しいなと思った。

逆に「BEYOND」においては話のメインに絡む役者は男性が多くて、
なおかつ視覚的で頭を使わなくても笑えるネタが多かったため素直に入っていくことができた。
セリフの聞き取りやすさで、全体の印象がここまで変わるんだなと再確認。
やっぱり基本って本当に大事なことだと思う。


2本とも「BEYOND」並のクオリティだったなら良かったが、
「スペース合コン」単体で観たら3,800円はちょっと高いかもしれない。
初演よりチケット代が倍近く高くなっているのも気になる点。
なんだろうね、大人の事情ってやつ?

でも間違いなく最近の小劇場界では力を感じる団体である。
今後もどんどん発展させて、質の良いコメディを作り上げていってもらいたい。


 

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