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Broadway musical 「Little Women 若草物語」 @日暮里 d-倉庫 2012/12/30
(企)劇団思い出づくり 「青春オブラート/背徳の恋は散りゆく薔薇の如く」 @参宮橋トランスミッション 2012/12/25
劇団お座敷コブラ 10畳目公演 「&1night」 @ラゾーナ川崎プラザソル 2012/12/04
※本文中に激しくネタバレ含みます!
上演中の公演についてこれから観劇予定の方は閲覧ご遠慮ください。
Broadway musical
「Little Women 若草物語」
2012/12/30更新 ≪日暮里 d-倉庫≫ ≪Broadway musical≫ ≪2012/12≫
Broadway musical 「Little Women 若草物語」 【作】 Allan Knee 【演出】 藤倉梓 【キャスト】 星・月 ダブルキャスト 《星》 ジョー 北川理恵 マーチ夫人 水野里香 ベア教授 梶雅人 ローリー 飯田惣一郎 メグ 原宏美 ベス 大胡愛恵 エイミー 加藤万葉 ブルック 黒沼亮 マーチ叔母 嶋村みのり 《月》 ジョー 島田彩 マーチ夫人 内田智子 ベア教授 菊地まさはる ローリー 染谷洸太 メグ 瀬戸早妃 ベス 鈴木貴子 エイミー 梅原早紀 ブルック 佐藤弘樹 マーチ叔母 嶋村みのり ☆友情出演 ローレンス 江上真悟 【日程】 2012年12月27日〜31日 全10ステージ 【会場】 d-倉庫 【チケット】 前売・当日 4,000円 全席自由席 【公式ブログ】 公演公式ブログ ============================ 男勝りのジョーは世界的な作家になるため、ニューヨークへ単身乗り込み、 作品を出版社に送る日々を過ごしている。 しかし戻る返事は「不採用!」「不採用!!」「不採用!!!」 辛くなって思い出したのは母と四人の姉妹で過ごした懐かしい日々。 消えることない夢への情熱の原点を呼び起こす。 原作はLouisa May Alcottの名作『若草物語』。 友情、愛情、喧嘩、別れ…そして幸せとは何なのかを四人の姉妹の人生から問いかける。 この冬、藤倉梓の演出でお贈りする寒さも吹き飛ばす エキサイティングでハートフルなブロードウェイミュージカル! 以上、公式ブログからあらすじを抜粋。 休憩込みで上演時間は2時間40分にも及ぶ作品だったが、 お客を引き込む力があって最後まで飽きずに鑑賞することができた。 序盤のシーンでマイクの調子が悪かったのか音バランスが悪くて、 台詞や歌詞が聞こえづらい箇所が多いシーンがあったが、 気になったのはそれぐらいで、全体的に演出・構成・役者ともに良いクオリティだったと思う。 ミュージカルというとキャストが多い上に、それぞれにそこそこ見せ場が与えられている為、 メインのお話が薄くなってしまうパターンが多いのだが、 この作品はあくまで主役の次女ジョーを見せることに重きを置いていたので メインストーリーにきっちり感情移入することができた。 それでいてジョーをとりまく人間がみな魅力的で、 誰を見ていても飽きない。 これは「若草物語」の脚本そのものの功績も大きいが、 演じていた役者達個人の魅力による部分も多いであろう。 伸び伸びと与えられた役を躍動感を持って演じていて、とても好感が持てた。 次にこの団体が何かやるなら是非それも見てみたいと思った。 あ、でもここの団体名って一体何なんだろう? 「Broadway musical」ってのは団体名というよりプロデュース名って感じだし。 せっかくしっかりした作品を作っているんだから そのへんの団体名は明確に名乗ったほうがお客にとってもいいのになと思った。
(企)劇団思い出づくり
「青春オブラート/背徳の恋は散りゆく薔薇の如く」
2012/12/25更新 ≪参宮橋トランスミッション≫ ≪(企)劇団思い出づくり≫ ≪2012/12≫
(企)劇団思い出づくり 「青春オブラート/背徳の恋は散りゆく薔薇の如く」 【作・演出】 クリスチーネ香田 【キャスト】 井上恵亮(劇団夢神楽)、榎本早、大庭光皓、如月せいいちろー(ウラダイコク) 木曽川大地、久保木優穂、小原へい太(劇団ORIGINAL COLOR)、 坂井春翔、佐藤大地、しろ(YOROZU屋(本店))、関口義人(譚倶楽部) 空瀬彩佳、武田明子、谷山千晴、堤 喬嗣、寺島八雲 真崎優介(YA-Link9)、碧愛樹、遊紀、夕、若林辰也(優演隊)、他 【日程】 2012年12月19(水)〜23(日) 【会場】 参宮橋TRANCE MISSION 【チケット】 前売 2,500円 当日 3,000円 全席自由席・1ドリンク付 【公式ブログ】 (企)劇団思い出づくり ============================ 「背徳の恋は散りゆく薔薇の如く」、「青春オブラート」という作品の2本立て。 「背徳の恋は散りゆく薔薇の如く」はRPGの世界観をそのまんま持ち込んだSFで、 剣と魔法を駆使して勇者達パーティーが魔王討伐のため城に乗り込んだところからのお話。 魔王と魔法を使えるがために人からも嫌われてしまった少女の愛情劇。 「青春オブラート」はタイムマシンや地獄から生き返る装置を巡って繰り広げられる ドタバタナンセンスコメディって感じの作品。 ・・・・(-。- ) フゥー。 団体名が「思い出づくり」って段階である程度覚悟はしていたのだが、 正直言って劇評を書くに値しない作品クオリティだった。 1本目の「背徳…」は笑いなしの真面目なファンタジー愛情劇。 魔王と結ばれることなく死んでしまった少女が輪廻転生して勇者になり、 再び結ばれるために魔王討伐を名目に会いに来るって話の設定は悪くなかったのだが、 構成として見せ方がイマイチ。 設定の良さのわりには心を打つものが少なかった。 役者スキルの面でいうと、会話テンポが悪すぎるし、棒読みの役者が多過ぎ。 サスにはうまく入れなくてしょっちゅうズレてるし、前向き芝居の技術も低いし・・・。 役者というよりは素人を集めた企画公演なのか? ゲーム的なHP・MPゲージをバックにスクリーン表示して それに合わせて役者が動く演出は最初は「おっ」と思ったが、 そこから劇的な変化は見せてくれなかったし、何度も繰り返されて逆に萎えてしまった。 劇中で演出としては完全に浮いていたし。 あと歌。 やはり一定の歌唱レベルがある者だけに歌ってほしい。 素人に毛が生えた程度のソロ曲はお客の心を萎えさせるだけである。 SFの世界観のなかで突然取り出すハンドマイクもめちゃめちゃ違和感あるしね。 ムービングライト3台も出動させるほどお金があるなら ピンマイクぐらい人数分用意しても良かったのでは? 次に「青春…」なのだが、こちらはシリアスだった1本目の雰囲気を完全に吹き飛ばす セオリー破りのドタバタコメディ。 役者の出トチリをいじったり、照明が勝手に明かりを消したり、 舞台上に音響機材を持ってきて遊んだり、 カーテンコール後に出番を忘れ去られた役者が出てきて怒ったり。 いわゆる演劇のセオリーをあえて破ってボケとして提示してくるタイプのコメディ、 あ、コメディというよりはコントに近くなるのかな? しかしこれもクオリティが低く、笑うに笑えないレベルのネタばかりだった。 こういうのはいかにハプニング・アドリブ的に見せれるかどうかに全てがかかっている。 しかしどのネタも台本にあることを段取りでやっているのが ひしひしと伝わってきて面白くない。 そもそもセオリー破りが成立する役者が少なすぎるのも痛い。 前にどこかの公演の記事でも同様のことを書いたが、 セオリー破りは『セオリーを守れる者』が『巧妙に破る』から面白いのである。 『セオリー通りのことをする技量がない者』が『セオリーを守らない』のとはわけが違う。 最近これがわからない団体が増えてきたような気がする。 ああ、悲しや。 いちおう企画としては旗揚げ公演らしいが、 おそらくアンケートにはかなり手厳しい批評や、罵倒にも近い感想もあったはずだ。 「思い出づくり」で終わらずに、次はきっちり「作品づくり」に徹してもらいたい。
劇団お座敷コブラ 10畳目公演
「&1night」
2012/12/04更新 ≪ラゾーナ川崎プラザソル≫ ≪劇団お座敷コブラ≫ ≪2012/12≫
劇団お座敷コブラ 10畳目公演 「&1night」 【作・演出】 伊藤裕一 【キャスト】 古林一誠、佐藤李発、伊藤裕一、海野亮平、梅澤裕介、岡崎涼子(HIME企画)、 金崎匠(演劇ユニットパラレロニズム)、小林千紘(劇団アニマル王子)、 佐藤みつよ(劇団夢幻)、残間統、四條友起子、関口空子、早乙女敬良 土許麻衣(ワタナベエンターテイメントカレッジ)、中井剛志、中田豪一、 橋本我矛威(子供脳みそ)、林充晃(流星揚羽)、藤宮潤(B-Box)、 MORIZOU、山田せいら(優企画) 【日替わりゲスト】 佐藤朱(青ニプロダクション)、芝井美香(スターダス21)、堀達治 【日程】 2012年11月28日(水)〜12月2日(日) 【場所】 ラゾーナ川崎プラザソル 【チケット】 前売 3,000円 当日 3,500円 全席自由席 【公式HP】 お座敷コブラ公式HP ============================ 過去に幼馴染を失ってしまった悲しみで眠れない体になってしまったアラジン。 悪行にも心が痛まないぐらいにその性格はひねくれてしまっていた。 陰謀で心身を狂わされてしまった王、 その陰謀を持って国家の転覆を狙う側近と科学者、 元盗賊の親衛隊とそのかつての仲間だった盗賊たち、 遠方から帰国してきた王の弟で世界を股に掛けるシンドバット、 偶然にもランプの中から呼び出されたランプの魔人、 様々なキャラクターが織り成すファンタジー活劇。 王の側近の魔の手から姫を守るために アラジン、ランプの魔人、親衛隊、盗賊、シンドバッドが結託して戦っていく。 いつも以上にざっくりとしたあらすじ紹介でなんだかアレだが、 非常に人間関係が複雑に組み立てられていたお話だったもので。 具体的なあらすじは書いていたらキリがない(笑) まぁ、いつものお座敷コブラといった感じで、 ファンタジー色満載の冒険活劇って雰囲気のお芝居だった。 笑いあり涙ありダンスありアクションありのテンションの高いお芝居。 冒頭のオープニングシーンの作りなどは流石の一言で、 センスのいいハイテンポの曲の中で大人数がめまぐるしく入り乱れるシーンは 観ていると否が応でもテンションが高まる。 このあたりの構成の仕方はこの劇団は本当にうまい。 ただその後しばらくはあまり魅力的な役者が出てこないため 正直言って失速感はいなめなかった。 ランプの魔人やシンドバッドが出てくるまではちょっとタルかったなぁ。 彼らが出てきてからは一気にシーンの密度が上がって面白くなっていったけども。 ストーリー的には側近の陰謀とか、 袂を分けて敵同士になってしまったかつての仲間とか、 とにかく終始ベタで王道な展開。 それが別に悪いわけではないが、オリジナリティーのあるドキッとさせる要素が もうちょっとあると良かったかなとは思う。 死なせるなって願い事で本当に死ねなくなって現代まで生きちゃうとか、 「ダブリンの鐘つきカビ人間」そのまんまだしね。 全体的にどこかで観たことあるお話の詰め合わせ感が強かったなぁ。 あと個人的に日替わりゲストの使い方がビミョーかなと。 どういう意図でラストの編集者ポジションに配置したのかがわからなかった。 ゲストを期待してきたお客にとってはボリュームの面で期待ハズレだろうし。 ストーリーテラー的なことをさせたいなら序盤でも出番を与えてもよかったのでは? 全体的にちゃんとまとまっているし、地力も高い劇団。 ただしここ最近の作品は大体観ている自分としては、 ちょっと去年ぐらいから停滞気味な気がする。 爆発的な飛躍を期待したい。