日々是劇評

関東圏内で観劇した舞台について率直に感想を書いています。
自分用の備忘録みたいなもんなんで遠慮なく辛口な批評もしています。

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8割世界 「そこで、ガムを噛めィ!!」  @中野テアトルBONBON 2013/11/03
天才劇団バカバッカ vol.10 「ウェルカム・ホーム」  @中野テアトルBONBON 2013/04/27

※本文中に激しくネタバレ含みます!
 上演中の公演についてこれから観劇予定の方は閲覧ご遠慮ください。


8割世界
「そこで、ガムを噛めィ!!」

2013/11/03更新  ≪中野テアトルBONBON≫ ≪8割世界≫ ≪2013/11

8割世界 「そこで、ガムを噛めィ!!」 8割世界 「そこで、ガムを噛めィ!!」

8割世界 「そこで、ガムを噛めィ!!」

【作・演出】
鈴木雄太と8割世界

【キャスト】
日高ゆい(8割世界看板女優)、小早島モル、小林21種類、石田依巳架(以上、8割世界)、
北川竜二、奥山智恵野(プロダクションMAP)、小松金太郎(TheDustyWalls)、
佐倉一芯(TheDustyWalls)、中村章吾(プロダクション・タンク)、
中村匡亮(PEACE)、跳川雄大、村田佑輔(誠-Pro)

【スタッフ】
舞台監督: 海老原翠
照明: 千田実(CHIDA OFFICE)
音響: 井上直裕(atSound)
舞台装置: 村上薫
衣装: 小泉美都
宣伝美術: 福井信明(HOPBOX)、鈴木匠
パンフレットデザイン: 丸山ひとみ
振付: 白石拓也
制作: 8割世界、RealHeaven

【日程】
2013年10月30日(水)〜11月4日(月)

【会場】
中野テアトルBONBON

【チケット料金】
前売  3,300円
当日  3,500円
ペア割  6,100円

【公式HP】
http://www.8warisekai.com/

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草野球チーム「東松原ドラゴンライオンズ」は、
明日「梅ヶ丘バレッツ」との試合を控えていた。

対戦成績は0勝26敗と実力に大きな差があったが、
その日は監督の手術の成功を願う験担ぎとして、どうしても勝利したい。
そのために新戦力・武士沢を招き入れ、
勝利への念入りなシミュレーションを行うメンバーたち。

翌日、試合開始。
相手チームの豪腕ピッチャーを前に、
攻撃面ではシミュレーション通りに事が運ばなかったが、
守備面は上手く機能して予定通りの展開。
3回終了まではゼロスコアの接戦を繰り広げていた。

しかし後半は地力の差が出て大量失点。
監督の手術が痔の手術だったということも判明して、
最終回を前にして、メンバー間には完全にあきらめムードが漂う。

そこに飛び出た武士沢の一喝。
目が覚めたメンバー達は、
「とにかく1点取って、昨日までの無様な俺達に勝利しよう!」
という想いで一丸となる。

残念ながら点を取ることはできずに試合終了となるが、
正式にチームに入団する意志を告げた武士沢。
明日からより上を目指して歩き出すことになったチーム。
大団円。



ざっくりと書くとこんな感じのお話で、
上演時間は1時間50分。


ジャンル的にはドタバタコメディになるのだろうが、
なんだか全体的にガチャガチャしていて、テンポも悪く、
あまり素直に楽しめなかった。

役者の演技はかなり過剰気味で、声も張り過ぎ、顔の表情がんばり過ぎ。
脚本自体が笑いを狙いに行き過ぎてる部分も手伝って、
全体的にわざとらしい感じが充満してしまっていた。
これでは、コメディというよりはコントだ。

その物語の中を一生懸命生きている人間達がいてコメディは成立する。
狙って笑いを取りにいっている空気がお客に伝わった時点で
それはアウトになってしまう。


脚本もちょっと微妙。
なんだかしっくりこない部分が多かったように思う。


まずメンバーそれぞれの野球に対する温度が見えてこない。
この人達の中で野球ってなんなんだろう?
勝負ってなんなんだろう?

「監督の手術の成功を願って絶対勝たないといけない」という想いはものすごいのに、
ミーティング中の空気はどう考えてもおふざけテンションだし、
なんだか居酒屋で騒ぐ大学生サークルみたいな空気。
審判に金を渡して買収というスポーツマンにあるまじき発想を平気でするし、
試合で大差をつけられ監督の手術も大したことないと知ったあとは、
「記念に完全試合されようぜ」なんて言い出す始末。

でも武士沢に喝を入れられた後は、異常に気合入りまくり。
しかしあくまで大差をつけられている相手チームを倒すのではなく、
とりあえず1点取ることが昨日までの自分に勝つことだとして頑張る。

あなたたち野球好きなの?
勝負ってものをどういうふうに考えてるの?
こんな人達を観ていても率直に共感できないし、応援できない。
これではラストがどんなに劇的で感動的な展開をしようと
こちらの胸には響いてはこない。


あと武士沢が性転換しているという設定。
性転換した理由とか、その苦悩とか、いろいろ掘り下げれる部分があると思うのだが、
そのへんは一切触れずにストーリーが展開する。
おかげで、あってもなくても全く差し支えのない薄っぺらな設定になってしまっていた。
これではラストに良い決めゼリフを言うためだけに作った、
とってつけた設定に見えてしまう。


監督の奥さんや、新人くんの存在意義のなさも気になった。
こういうコメディものでは、一見役立たずな人が意外なキーマンになるものなのだが、
本当に最後までいてもいなくてもいいような、置物のような存在に。
あまりの存在の必要性のなさに違和感が。


代打を願い出た武士沢の行動も疑問。
彼女(彼)の性格ならどんなに手が深刻な状態だったとしても、
バットを手に縛り付けてでも打席に立つと思うのだが。
代打候補が新人とマネージャーしか残っていない状況ならなおさらだ。
ちょっと話の展開がご都合主義かなと思ってしまった。

そして最後の黒人さんネタはいったい。
いらないでしょソレ(苦笑)。


厳しいことをつらつらと書いてしまったが、
会議室のセットが短時間で野球場に転換するシーンや、
ノリのいい音楽で試合を表現したダンスシーンなどは本当に良かった。
きちんと魅せれる部分をちゃんと持っているのだから、
それを他の部分にも繋げていけたらいいなと思う。

次に期待。


 


天才劇団バカバッカ vol.10
「ウェルカム・ホーム」

2013/04/27更新  ≪中野テアトルBONBON≫ ≪天才劇団バカバッカ≫ ≪2013/04

天才劇団バカバッカ vol.10 「ウェルカム・ホーム」 天才劇団バカバッカ vol.10 「ウェルカム・ホーム」

天才劇団バカバッカ vol.10 「ウェルカム・ホーム」

【脚本】
ゆるボーイゆるガール

【演出】
桐野翼

【キャスト】
木村昴、野村龍一、岩井七世(イトーカンパニー)、柊瑠美(ファザーズコーポレーション)、
田中美晴(アミューズ)、梨里杏(レプロエンタテインメント)、若林時英(レプロエンタテインメント)、
レノ聡、熊野直哉、ZiNEZ(digress-lab)、久仁明(RUF)、木下俊、加藤美佐(アトミックモンキー)、
田部圭介、小川逹也(劇団ジャイアント・キリング)、佐々木翼、真嶋一歌(リジッター企画)、
津賀保乃、竹内拓也、木村ゆめこ、村井みゆき、高野宗大(演劇集団白紙)、海口ゆみ、
轟もよこ (劇団未成年)、田村将一、桜弓正和(アヴィクション)、東慶光、吉留明日香、
横内のぞみ、脇田美帆、山田勇亮(劇団今夜が山田)、池田大樹、佐藤シャミーナ、
筒井亜由貴(ヰ常集団Un≠i)、木村萠子

【日程】
2013年4月18日(木)〜29日(月)

【場所】
中野テアトルBONBON

【チケット】
前売  3,000円
当日  3,500円
一周目割 2,800円
平日マチネ割 2,800円
学生  2,000円

【公式HP】
http://www.t-bakabakka.com/

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阿佐ヶ谷に住む大家族の藤田家(10人兄妹と母親)。
かつてはテレビ番組で取り上げられて人気を博したが、
ヤラセが発覚しそのせいでいじめなどに合い、いまでは借金に怯える生活。
家族の心もバラバラになっていた。

そこに再びテレビ出演の話が舞い込む。
以前の番組でひどい思いをした家族は最初はその話を渋るが、
借金のこともあって出演を決めることに。
今回は最初から「フェイク・ドキュメンタリー」と銘打っているので
ヤラセだと弾圧を受けることもない。

兄弟3人目にあたる充は、番組があくまでフィクションということを利用して、
テレビの中でそれぞれ兄妹の本音を思いっきりぶちまける行動に出る。
しかし母親の亡き父への思いを聞いて、
何もかもぶち壊すはずの予定が、逆に家族の気持ちがまとまることに。
めでたしめでたし。



ざっくり書くとこんな感じの話かな。

上演時間は約120分。
35人ものキャストが出演する、ダンスあり歌ありのドタバタ劇だった。


テーマとしては非常に面白いものを感じた。
テレビで華やかに取り上げられる大家族番組の裏側の苦悩や、
兄妹それぞれのポジションからくる想いを描写している。
最終的には社会的な問題にまでテーマが波及していくので、
見終わってからもいろいろと考えさせられるものがある。

演歌とラップをコラボしたシーンなどはクオリティが高かったし、
舞台装置や照明、音響も丁寧に作りこまれていた。


うーん、それだけに惜しいと思った。
いま1歩、気持ちが引き込まれないのだ。

役者の技量はかなりバラつきがあって、
正直言ってつらいシーンはけっこうあった。
ネタでスベッてる箇所が多くて、その度に客席の温度が下がってしまっていた。

あと序盤から兄弟が一人ずつ順番にしゃべる展開が多すぎる。
自己紹介シーン、ラップシーンと続いただけでお腹いっぱいのところに、
終盤の兄弟一人一人の苦悩独白の時間はけっこうキツイ。
4人目ぐらいの時点で「あと6人もコレ続くのか。。。」とゲンナリしてしまった。

しかも兄弟それぞれが抱えていた問題って、
本音をぶちまけただけで結局なにも解決していないのでは・・・?
最後の円満なハッピーエンドにちょっと違和感を感じてしまった。
ラストの充の逮捕のエピソードも急すぎて取ってつけた感があったし。

きっちり作り上げられた作品ではあったのだが、
このように気になる部分がちょこちょこ目立ってしまって、
なんだかあまり「面白い」って感覚で見れなかった。
それがちょっと残念。

出来がいいのに面白くないってのは一番もったいないパターン。
こういうのってホントにちょっとしたことで変わると思うので、
是非そういう変化を期待したいと思う。


P.S.
気になっている点がひとつ。
こりっちの「観てきた!」のページなのだが、
先週眺めた時点ではそこそこ酷評もあり、星の数も少なかった。
しかし今日の時点では、13のレビューが寄せられ星平均4.6という高評価。
ほとんどの人が星5をつけていた。

趣味・嗜好はもちろん人それぞれだが、
ここまでみんながみんな5をつける作品とは正直思えないのだが・・・。
(自分は後方の席で観ていたので客席の空気がわかる状態だったが、
 上演中に集中力切れてる人はかなりいたし)

そしていくつかあった酷評が消えていること。
消えた理由っていったい何?

・・・何か考えたくないこと考えちゃうなぁ。


 

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