日々是劇評

関東圏内で観劇した舞台について率直に感想を書いています。
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ソラリネ。#10 「止むに止まれず!」  @上野ストアハウス 2013/11/01

※本文中に激しくネタバレ含みます!
 上演中の公演についてこれから観劇予定の方は閲覧ご遠慮ください。


ソラリネ。#10
「止むに止まれず!」

2013/11/01更新  ≪上野ストアハウス≫ ≪ソラリネ。≫ ≪2013/11

ソラリネ。#10 「止むに止まれず!」

ソラリネ。#10 「止むに止まれず!」

【作・演出】
佐藤秀一(3LDK)

【キャスト】
剛たつひと(ケイ☆サイド)、大坂のどか、木村慎一(弾丸MAMAER)、
藤島琴弥、服部あつえ、山口真理映、馬庭良介、天野哲也、辻創太郎、
庭山美保、永作あいり、田口治、山田真由子、永井友加里、kino、
肥田強志、重見将臣、齋藤伸明、篠田恵理

【スタッフ】
舞台監督: 吉川尚志
照明: 吉田雅史、谷地あゆみ(アイコニクス)
音響: 滝口美幸
舞台美術: 門馬雄太郎
ヘアメイク: 結城小百合、田中幸実
スチール: 原圭吾
衣装: 森千晶
方言指導: 松島圭二郎
宣伝美術: 平井辰夫
制作: 坂上裕美(AsPLUS)
制作協力: 安由利子
プロデューサー: 森友ひかり
企画・製作: ソラリネ。

【日程】
2013年10月30日(水)〜11月4日(月)

【会場】
上野ストアハウス

【チケット料金】
前売  4,200円
当日  4,500円
最前列かぶりつき席 5,000円

【公式HP】
http://sorarine.com/

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舞台は広島県、とあるお好み焼き屋さんの居間。

そこでは頑固で昔気質な父・正隆、
のんびりとした天然お姉さん系の長女・はるか、
男勝りの性格でざっくばらんな性格の末妹・ひとみ、
住み込みの従業員の青年・中田が住んでいた。
母はすでに他界していて、長男・あきらは東京に出て行ったきり。

ある日突然、音信不通だったあきらから連絡が入る。
婚約者を連れて一緒に帰省するとのことだった。

しかし戻ってきた「あきら」は性転換して、
完全に女性となっていたのだった。
しかも男性の婚約者・真一を連れてきた上に、
あきらは真一に過去の自分をカミングアウトしていない。
その事実を真っ先に知ったひとみと中田は大慌て。

なかなか秘密を言い出せないあきらを尻目に、
誤解が誤解を生んで状況はどんどん悪化していく。

父やはるかは、女性の姿のあきらをあきらの婚約者と勘違いして、
さらに真一の事をひとみの婚約者だと勘違いしてしまうし、
たまたまやってきたひとみの彼氏・藤田は、
ひとみと真一が結婚すると誤解して怒り狂ってしまうし、
あきらにまだ未練がある元カノ・ゆきは、
あきら本人をあきらの婚約者と勘違いして敵意を剥き出しにするし。

これ以上ないぐらいに家の中はドタバタしてしまう。
決意したあきらは全てを全員の前でカミングアウトする。

最初は父も真一もあきらに対して否定的な態度をとっていたが、
話をしていくうちにその理解を得る。
父親としての立派な姿を見せる父。

しかし、その父にも実は新しい恋愛相手がいて・・・
全員総ツッコミ。
幕。


ざっくりと書くとだいたいこんな感じのお話。
上演時間は約2時間。
ジャンル的には、ハートフル・ドタバタコメディといったところか。


誤解が誤解を生むドタバタコメディ作品はすでに世の中に無数にあるが、
その中でも群を抜いて素晴らしかったと思う。

とにかく誤解の量がハンパない(笑)

婚約者を連れて帰ってくる長男が実は性転換していて、
しかも婚約相手として男性を連れ帰ってくるという状況だけで
すでに家庭は大混乱確定のはずだ。

そこに二重、三重、四重、五重の誤解が重なって、
ドタバタが、もう本当に笑うしかない状況にまで発展していくその滑稽な様子は
観ていてメチャクチャおもしろかった。

たまたま全ての誤解の現場に立ち会っていて
全事実を把握している中田が右往左往している姿は、
見事にお客の気持ちを代弁していて素晴らしかったと思う。
「俺はこの家の全てを知っている!」ってセリフでは大爆笑してしまった。


あきらが真実をカミングアウトしたところからは
空気が一転してシリアスモードに。

その内容は良かったが、展開がなかなか前に進まなくてちょっとタルく感じてしまった。
前半の誤解によって作られた複雑な人間関係からくるドタバタ。
それを理解するために、お客の脳の回転速度はマックスまで引き上がっている。
その脳の回転速度に対して終盤のスローペース展開は
ちょっとそぐわないかなと思う。

まぁ、真面目なシーンをじっくりしっかりと演じたからからこそ、
ラストの軽快なオチが生きてくるって部分もあるのだが。
難しいね、演劇って。


あと個人的にはキャストの広島弁がちょっと気持ち悪く感じてしまった。
広島県の中でも地域差はあるのだろうが、
自分が知っている広島弁とは違いを感じた部分が多くて違和感があった。
まぁ、気にするには些細過ぎることなんだけど。


練りに練られた計算高い脚本、しっかりと作られたセット、
さらに役者の地力も高かったこともあって、非常に良い作品だったと思う。

次回公演を楽しみに待ちたい。


 

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