日々是劇評

関東圏内で観劇した舞台について率直に感想を書いています。
自分用の備忘録みたいなもんなんで遠慮なく辛口な批評もしています。

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神奈川県演劇連盟プロデュース公演 「踏切があがるとき」  @KAAT 神奈川芸術劇場 大スタジオ 2013/05/05

※本文中に激しくネタバレ含みます!
 上演中の公演についてこれから観劇予定の方は閲覧ご遠慮ください。


神奈川県演劇連盟プロデュース公演
「踏切があがるとき」

2013/05/05更新  ≪KAAT 神奈川芸術劇場 大スタジオ≫ ≪神奈川県演劇連盟≫ ≪2013/05

神奈川県演劇連盟プロデュース公演 「踏切があがるとき」

神奈川県演劇連盟プロデュース公演 「踏切があがるとき」

【脚本】
緑慎一郎(演劇プロデュース『螺旋階段』) 

【演出】
土井宏晃(風雲かぼちゃの馬車) 

【キャスト】
遠藤仁志(放映新社)、大島寛史(チリアクターズ)、岡本みゆき(劇団麦の会)、
織田裕之、こゆきパンティー、しうまい(横須賀市民劇場プロジェクト)、
鈴木舜・サムスン(劇団裸眼と眼鏡)、高橋裕一(劇団!王子の実験室)、
田代真佐美(演劇プロデュース『螺旋階段』)、田中勝彦(ヨコスカ・ベアフット・シアター)、
仲尾玲二(G/9-Project)、橋本敬介(劇団三日月座)、前田佳寿美、
緑慎一郎(演劇プロデュース『螺旋階段』)、宮上綾、村井彩子、
山科幽閉(吾戯徒企画)、山本悦子(劇団河童座)、山元洋一

【日程】
2013年5月3日(金)〜5月5日(日)

【会場】
KAAT 神奈川芸術劇場 大スタジオ

【チケット料金】
前売  2,500円
当日  2,800円

【公式HP】
http://kenenren.org/project/takinkaat.aspx

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父は国鉄で働いていた。1987年国鉄は民営化される。
その狭間で起きていた国鉄労働組合の闘争。
父は闘争に敗れ堕ちていく。働いていた姿すら覚えていない息子は
父の生きた道を父の知り合いの証言を頼りに紐解いていく。
遠くで聞こえる踏切の音、父は何を息子に残したのか。


息子とその婚約者が父の古い友人と偶然に出くわし、
過去の父の生き様を回想シーンとして展開していく構成だ。


自分は国労のストが起きていた時代をよく知らないため、
正直言ってストに命をかけている人々の姿がいまいちピンとこなかった。
国労闘争自体がどうしても乱暴な強硬手段であるため、
それを行うに至った人々の想いが理解できないと共感しづらいのだ。
自分の勉強不足によるところもあるが、
もうちょっと若年層を引きこむ工夫を施してくれると嬉しかったなぁ。


しかし作品としては残念な部分が目立ってしまっていた。


まず演出だが、KAATの大ホールという大きな舞台で
なんでこんなこじんまりとした舞台の使い方をしたのであろうか。
幅は7間以上あるにも関わらず、全体で広く使っているシーンはごく一部。
ほとんどは上手、中央、下手にエリアを3分割しそれぞれ順番に使用するだけ。
広い舞台を狭く使って、しかもその狭いエリアに人を詰め込んで距離の近い芝居をするので
観ていて滑稽で仕方がなかった。
もし劇場にもったいないおばけがいたとしたら憑かれて殺されると思う(笑)
これだったらSTスポットでもできなくないじゃん(笑)

あと音の使い方。
シーン切替に踏切の音やら電車の走行音を使うのはあまり効果的でないように思った。
確かに「電車」を題材にした作品なのでそういった演出をしたい気持ちはわかるが、
日常会話シーンのつなぎとしては不向きだと思う。
ここぞという時に使うのは1発使うのはいいけど、ちょっと乱発しすぎな感があったしね。

良いシーンでかかるそれっぽいBGMも、選曲・タイミングが微妙。
このへんは趣味の領域でもあると思うが、やっぱり「んんっ?」と思う部分が多かった。


そして役者も声質が良い人が揃ってはいたのだが、
どうも男性陣に棒読み役者が多かった。
セリフ読みが単調というだけではなく、全く相手のセリフを受けていないのだ。
さらにずっと奥手奥足などそっちのけで真横を向いてしゃべっているのに
良い台詞だけ客席向いてしっかりキメにくるもんだから、
全体を通してなんだかセリフの発表会みたいになっていた。
あとずっと仁王立ちでしかセリフしゃべれない人も。

逆に女性陣は好感の持てるセリフ回しができる役者が多く、
特に奥さん役の村井彩子は特別光る演技をしていたように思う。
最後の独白までに人物描写のシーンが少なかったのがもったいない部分ではあるが。
奥さんの人物描写がもっと序盤から行われていれば、
もっともっと心を動かされる独白シーンになっていたのでは。


神奈川県演劇連盟プロデュースと銘打って
こんな良いハコで公演打つんだから、
正直もう2、3歩上のレベルを目指してほしいと思った。


 

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