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梅パン 「いなづま」 @池袋シアターグリーン BASE THEATER 2013/12/23
※本文中に激しくネタバレ含みます!
上演中の公演についてこれから観劇予定の方は閲覧ご遠慮ください。
梅パン
「いなづま」
2013/12/23更新 ≪池袋シアターグリーン BASE THEATER≫ ≪梅パン≫ ≪2013/12≫
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梅パン 「いなづま」 【脚本】 大江和希 【演出】 高江智陽 【キャスト】 山之内力哉、檜垣文子、星野好美、藤田力、佐上ユウ、岩佐久、西岡みあ、 田村朋世、山田健介、小玉賢太、牧野未来、大岸明日香、百石義典、斉藤七瀬、 鬼塚眞澄(N.A.C)、宮沢なお(AIN'T)、鎌田健嗣(BEEMinc)、柳田雅宏(N.A.C) 【スタッフ】 舞台監督:S-CASE 音響:許斐祐 照明:(有)マーキュリー 宣伝美術:藤田侑加 制作:藤田侑加・大城 【日程】 2013年12月20日(金)〜12月23日(月) 【会場】 池袋シアターグリーン BASE THEATER 【チケット料金】 一般 3,000円 【公式ブログ】 http://1st.geocities.jp/mero_mero_meronpan/ ========================================== 少し片田舎の一軒家。 夫婦それぞれの友人や後輩、狂った隣人、夫の母親が次々出入りして、 繰り広げられていく重厚なお話。 幼いときに弟と死別したことをずっと引きずっている妻・美加子。 悠一の前妻・雪絵の幻に苦しみながらもそれを乗り越え、 夫・悠一と共に手をとって前に進んでいく。 大体こんな感じのお話。 まぁ、いつもながら漠然とし過ぎていて、なんのあらすじ説明にもなっていないが(笑) 舞台は両面客席の囲み舞台になっていた。 中央に3畳程度の台があり、手動で回転させることができる仕組み。 この劇場でこういうふうなトリッキーな舞台装置ってのは珍しいかもしれない。 作品自体は、うーん、ちょっとチグハグかなって印象。 脚本はセリフが綺麗で整っていて、言葉のチョイスも良かったと思う。 ただ全体的にピックアップポイントを散らしすぎていて、 最終的にそれぞれのエピソードが小粒な上にまとまっていない印象だった。 メインとなる部分は間違いなく妻に関するエピソードなのだが、 夫の後輩や妻の友人の恋愛事情を描写している時間が長く、 しかもそれがメインエピソードから独立し過ぎている。 もうちょっとそれぞれのエピソードが絡み合うような構成だったらなぁと思った。 それと過去に死んだ弟の霊(?)と、思い込みで作られた前妻。 お客から直感的に見るとどちらも幽霊的な存在なのだが、 片方は誰にも視覚的には見えない、でも妻に声を届けることはできる本当に幽霊的な存在、 もう片方は実際には思い込みで幻なんだけど、人の目にも見える存在。 外面的な扱いは近いのに、内面的には全く異質なこの存在が2つ同時に登場するのは 作品としてやや煩雑で雑多な気がする。 どちらか片方だけに絞ってもっと濃密な描写をしたほうが良かったのではないだろうか。 あと弟の霊が前妻の幻をなんとかしてくれちゃう展開、 妻が自分の力で困難を乗り越えたって感じがしなくて個人的にはイヤかな。 そのせいで、その後の妻の良いセリフがあまり心に響いてこなかった。 その直後にあった本物の前妻が訪問してくるシーン。 シーン単体としては面白かったが、作品全体として見るといらないエピソードだったように思う。 後輩の結婚成就のエピソードと合わせて、ちょっと冗長的かなと。 演出面で気になったのは、脚本とのマッチのしていなさ。 役者のスキルの問題なのかもしれないが、もっと写実的な会話劇で良かったのではないだろうか。 素で静かにしゃべって十分おもしろいセリフなのに、役者たちの演技が元気良すぎな印象。 回転盆もテレビでいうカメラワークとしての使い方しかされていなかったが、 これはあくまで視覚的な、エンターテイメント部分での要素である。 心情の描写が中心となる今回の脚本で採用する演出法ではなかったように思う。 これのせいで暗転時間が延びている印象もあったし。 コロスたちがロック解除してヒモ引っ張って盆回してまたロックするって作業の画も美しくないし。 役者は何人か巧い人がいたのだが、全体的には若い役者の比重が高く、 大学生のサークル演劇って空気が強かったのが残念。 うわべのテンションだけの会話劇ほどおもしろくないものはない。 地に足のついた、しっかりと腰の座った演技を魅せてほしい。 今回のような脚本では特に。 なんかいろいろ惜しいなぁって舞台。 この全体的なチグハグ感さえまとめられれば化けるような気もするのだが。 また次に期待。