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Platform 第4回公演 「とらわれのみ。」 @pit北/区域 2013/12/03
※本文中に激しくネタバレ含みます!
上演中の公演についてこれから観劇予定の方は閲覧ご遠慮ください。
Platform 第4回公演
「とらわれのみ。」
2013/12/03更新 ≪pit北/区域≫ ≪Platform≫ ≪2013/12≫
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Platform 第4回公演 「とらわれのみ。」 【構成・演出】 住吉美紅 【キャスト】 住吉美紅、早さきえこ、安見謙一郎、戸草内淳基、斉藤慎介(以上、Platform)、 干場明日実(東京オレンジ)、三浦麻理恵(47ENGINE)、江島ゆき、忍翔、小原敬生 【スタッフ】 舞台監督: 鷲尾亮太 照明: 佐藤歩 音響: 村上美月 制作: 小島尚子、干場明日実、斉藤慎介、嶋拓哉、谷陽歩、大沼由加理 広報: 畑野芳正 衣装小道具: 戸草内淳基 舞台美術: 早さきえこ 物販プロデューサー: 安見謙一郎 映像撮影: 滝沢浩司 裁判アドバイザー: 辻周典 演出助手: 安見謙一郎、小原敬生 【日程】 2013年11月29日(金)〜12月1日(日) 【会場】 pit北/区域 【チケット料金】 一般 2,800円 リピーター割 2,300円 5回通し券 10,000円 【公式HP】 http://www.plafo.info/ ========================================== 「ある晴れた日のことです。 わたしは、とらわれのみとなりました。」 突如捕らえられた主人公は 観客が判決を下す「即興裁判」にかけられ、 有罪ならば囚人、無罪ならば刑務官としての人生を歩む。 反転する正義、浸食し合う境界。 日替わり主人公と4人の女囚と2人の刑務官が織り成す 閉ざされた世界の春夏秋冬。 以上が公式HPに記載されていたあらすじ。 物語は前半の裁判シーンと後半の監獄シーンに分かれており、 おおまかな筋書き以外は(それすらもほとんどないが)全て即興で演じて作っていく。 ラストシーンさえ決められていないため、 どんな幕の閉じ方をするかはお客どころか演じ手さえもわからない。 企画としては非常におもしろいものだと思う。 インプロ界の動向を詳しく知っているわけではないので これが目新しい趣向なのか、それとも昔からやってることなのかは知らない。 しかしお客も演じ手も十分に楽しめる構成であるし、 物語の横への振り幅が∞に近いので、 演じ手次第でとんでもない神作品に化ける可能性も秘めている。 お客から事前に一言ゼリフを集める手法も良かったと思う。 開演前にお客は自分の好きなセリフ(テーマは用意されている)をカードで提出、 それを劇中で役者がここぞというときに無作為で一枚引いて、そのセリフを口に出す。 状況にぴったりのセリフが飛び出せばその奇跡に感心して客は沸くし、 見当違いのセリフが飛び出してもその滑稽さで客が沸く。 そしてお客に自分が作品に参加している感を与えて、作品に対して前傾姿勢にさせる。 よくできた手法だ。 ただ、企画自体は素晴らしいと思うのだが、 課題があるなぁと思ったのはその演じ手たち。 前半の裁判シーンは見事なぐらいに話が、テンポ良くかつ愉快に展開し、 インプロ作品として非常にクオリティの高いものであった。 しかし物語が後半の刑務所シーンに入るとグダグダに。 演じ手がお互いに探り合って、展開に迷い、 観ているこっちが心配になってしまうような状況になっていた。 まぁ、もちろん即興なので、その回によってアタリハズレはあるだろう。 神が降りたような奇跡の展開をみせる回もあるだろうし、 残念ながらそうならない回だってあるだろう。 しかしお客は基本的にはその1回しか見ない。 たとえ神が降りなかったとしても、それなりの水準のものを提示できる力が求められる。 裁判シーンはうまくいって、刑務所シーンはグダる、 これは物語のガイドラインの大小の差によるものだと思う。 裁判であれば、裁判官が進行役を務め、検察と弁護人が交互にしゃべるという、 いわゆる決められた一つの「ガイドライン」がある。 これは富士山の登山道に張られたロープのようなもので、 それによって山を楽しむ自由度は下がるが、道に迷うことなく山頂まで行くことができる。 しかし刑務所シーンでは守らなければいけない「ガイドライン」がほとんどなく、 山の例えでいうならば、ロープも登山道もない状況だった。 どんなルートで山頂を目指してもいいが、遭難の確率はグンと跳ね上がる。 前半ぐらいのガイドラインがあれば大丈夫、 後半ぐらいのガイドラインなら厳しい。 つまり演じ手のスキルが現状でそういう水準であったということであろう。 完全な自由度の中ではどうしていいかわからず迷走してしまう。 力量不足が露呈した形だ。 ただ、もちろんガイドラインがなくても成立させられるスキルを持つのが理想ではあるが、 個人的には前半ぐらいのガイドラインがあっても作品としては十分だと思う。 即興として難易度の高いことをやってるかどうかより、楽しいものを見せてくれるかどうか、 一般のお客さんはそういうもんだと思うし。 あと、これは直感的に感じたことだが、 演じ手に自己中な人多い? 自分が提示した展開プランを、すでに破綻が見えているのにゴリ押しし、 他の演じ手の提示したプランは即否定する、そんな時間がものすごく目立った。 「イエスアンド法」なんてのはもう古い手法なのかもしれないが、 さすがに「ノー」が多過ぎて気になった。 チームで作品作りではなく、個人で作品作ろうとしてる感じ。 こういう人はわかりやすく、人とセリフ被るね。 相手が何をやりたいかを汲む気がないから、相手のセリフ終わりを感じ取れずに喰っちゃう。 相手のことを考えずに自分ペースで演じようとするから、そのセリフを喰われちゃう。 セリフ被りの回数と、その人の自己中レベルって、 おもしろいぐらいに比例するんだなぁと思って、違う意味で興味深く観察してしまった。 あ、もうひとつ気付いたのは、男性と女性の状況説明方法の違い。 演劇では状況や設定を何らかの形でお客に伝えなければいけないわけだが、 男性キャストは、短い一言もしくはワンアクションで簡潔に伝えたがる。 女性キャストは、長い説明台詞で伝えたがる。 この違いがものすごく顕著だった。 たまたまこの座組のメンバーがそう偏っていただけなのか、 それとも男性女性それぞれの本能的な部分なのか、それはわからないが。 どっちも一長一短あるから良し悪しはないけれども。 あ、すいません、そう感じたってだけの話で劇評でもなんでもないです。 前述したが企画は非常に面白いものだと思う。 あとは演じ手次第。 インプロはスキルも求められるし、お客に好かれるタレント性も求められる。 特に後者のほうはとてつもなく重要で、同時にとてつもなく難しい部分でもある。 追求してより上を目指してほしい。 次に期待。