日々是劇評

関東圏内で観劇した舞台について率直に感想を書いています。
自分用の備忘録みたいなもんなんで遠慮なく辛口な批評もしています。

絞り込み 団体=「劇団熱血天使」

劇団熱血天使 第8回公演 「春雪雷風 志ver 最後の二人」  @日暮里 d-倉庫 2013/07/20
劇団熱血天使 第7回公演 「一筆入魂 締切追うもの、追われるもの」  @八幡山ワーサルシアター 2013/04/21

※本文中に激しくネタバレ含みます!
 上演中の公演についてこれから観劇予定の方は閲覧ご遠慮ください。


劇団熱血天使 第8回公演
「春雪雷風 志ver 最後の二人」

2013/07/20更新  ≪日暮里 d-倉庫≫ ≪劇団熱血天使≫ ≪2013/07

劇団熱血天使 第8回公演 「春雪雷風 志ver 最後の二人」 劇団熱血天使 第8回公演 「春雪雷風 志ver 最後の二人」

劇団熱血天使 第8回公演 「春雪雷風 志ver 最後の二人」

【脚本】
水谷暖人

【演出】
菅沼萌絵

【キャスト】
高山史也、三橋忠史(劇団熱血天使)、金澤洋之(劇団熱血天使)、田山楽、
越前屋由隆(もんもちプロジェクト)、鈴木紀進(劇団熱血天使)、千代祐一郎
古田龍(演劇集団 激突撃破)、佐藤彌(81プロデュース)、岩永ゆい(プロダクションタンク)
大坂真璃子(劇団熱血天使)、丹呉麻里江

【ダンサー】
長澤仙明、春夏冬哲、落司さとこ、笠川奈美(もんもちプロジェクト)

【日程】
2013年7月11日(木)〜21日(日)

【会場】
日暮里d-倉庫

【チケット料金】
前売  3,300円(2公演セット券6,000円)
当日  3,500円
※学生はそれぞれ500円引き

【公式HP】
http://ameblo.jp/nekketsu-tenshi/

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幕末モノの物語を「志ver」と「華ver」の2つに分けて上演。
「志」は幕末から伊藤博文総理大臣就任までの話を男性中心に描き、
「華」は幕末の男達を支えた女たちの頂上決定戦を描いたコメディだったらしい。

今回自分は「志」のみを観た。


この物語でスポットが当たっている人物は
伊藤博文、山県有朋、大久保利通、桂小五郎あたり。
彼らも十分に幕末から明治維新にかけての重要人物ではあるが、
やはりどうしてもこの時代の物語では陰に埋もれがちなライン。

あえて坂本龍馬や西郷隆盛あたりの最も目立った人物を出さずに
埋もれがちな彼らのみで話を進めているのは面白いなと思った。

ただ、やや史実を丁寧になぞりすぎていた感があって、
どうしても歴史の教科書のダイジェストっぽくなってしまっていたのは残念。
次の展開に対してのワクワク感がない脚本はちょっと辛い。
もうちょっと話に肉付けしても良かったんじゃないかと。


あと演出の不在感がとてつもなく強かった。

明かりが変わって、役者が2、3人出てきて会話して、会話が終わったら明かりが変わる。
これを淡々と繰り返しているだけで、シーンがひたすら単調。
ネタ交えて笑わせるところ、ガッチリとキメるべきところなど、
メリハリがあるべきところがふわっとしていて、どうも締まりがないのだ。

稽古中、外から観ている人を立てないで役者だけで作ってきたのかなと思うぐらいに、
第三者に演出されている感が全然なかった。
うーん、なんだろう?
自分で「これだ!」という確固たるものを提示せずに、
役者から提出してきたものをチョイスして作るタイプの演出家なのだろうか?

「このシーンはこう見せたい!だからこんなふうに演出つけた!」みたいな
演出の強い意志が感じられるシーンがほとんどないため、
どうしてもメリハリがなくて全体としてのっぺりしてしまっていた。


そして、役者がどうも頑張り過ぎて空回っている感が目立っていたのが残念。
演じる側の「熱い時代を生きた熱い男達の姿を届けたい!」という想いが凄く感じられて
それはそれでいいのだが、力を抜くべき箇所でも力が入りすぎて、
常にテンションの高い位置で平坦な演技をしてしまっていたように思う。

今回の芝居に関しては、演者は「熱く見せよう」なんて思わなくて良かったのではないか。
だって、別に幕末の彼らは「熱く生きよう」と思って生きていたのではないのだから。
その時代を彼らは彼らなりに必死に生きただけ。
その生き様が、後世の私たちに熱く見えている、ただそれだけなのだ。

シンプルに彼ら自身にただ成りきって物語を綴れば、
それだけで十分に熱い物語になったのではないだろうかと思う。


あと演技を自分だけでやりすぎかな。
女性キャストはそうでもなかったが、男性キャストはほとんどがそう。

相手あってこその会話。
相手の想いをしっかり受け取ってこそ、それを踏まえた自分の想いが生まれる。
それを見せられて初めてお客は心が動く。
どうも各々が「自宅で作ってきた熱いセリフの吐き方」を実践しているだけに見えてしまった。
このやり方は必ず会話の中でボロが出るし、お客は敏感にそれに気付く。


ダンスの挿入の仕方は良かった。
アンサンブルダンサーが役者の感情や戦争状況を表現するような、
カプセル兵団などでよくやってる演出に似た手法だが、
ダンサーの質も高くてとても効果的だったと思う。

エンディングのダンスもしっかり作り込んであって良かったが、
芝居とダンスの質の差を考えると、
今回はダンスに払ったチケット代3,300円だなって印象だった。

芝居部分の根本的なレベルアップを期待したい。


 


劇団熱血天使 第7回公演
「一筆入魂 締切追うもの、追われるもの」

2013/04/21更新  ≪八幡山ワーサルシアター≫ ≪劇団熱血天使≫ ≪2013/04

劇団熱血天使 第7回公演 「一筆入魂 締切追うもの、追われるもの」 劇団熱血天使 第7回公演 「一筆入魂 締切追うもの、追われるもの」

劇団熱血天使 第7回公演 「一筆入魂 締切追うもの、追われるもの」

【作】
水谷暖人

【演出】
高橋祐介

【キャスト】
大坂真璃子、金澤洋之、菅沼萌恵、鈴木紀進、大柿誠、
北川瞬((株)SPARK)、菅沼哲、高山史也、田山楽、丹呉麻里江
水口早香、三橋忠史(ダブルアップエンタテインメント)、宮尾知里
吉田彩花

【日程】
2013年4月17日(水)〜21日(日)

【会場】
八幡山ワーサルシアター

【チケット料金】
一般   \3000
学生   \2800
平日割・初日割 一般2,800/学生2,500

【公式HP】
http://ameblo.jp/nekketsu-tenshi/

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芥川龍之介が新思潮を刊行する1914年前後のお話。
創作に対しての芥川、菊池、久米、松岡らのそれぞれの想い、
彼らに関わる編集者や婚約者、妻の想い、
それらをうまく絡めた人間ドラマを
「無名作家達の一日」、「或る求婚者の話」、「締切戦争」、「話の育て方」の
4本立てのオムニバスで上演している。


チラシやパンフにはオムニバスと書いてあったが、
実際にはこの4つの話に出てくる登場人物は共通で、時系列もそのまま並んでいるところから、
4場構成の1つの演劇作品といったほうがいいかもしれない。

1話目は、書きたい作品と売れる作品との確執、
そしてその才能に悩む若者たちの話。
2話目は、友人の婚約者に執拗に言い寄られる作家のドタバタ劇。
3話目は、締め切りに終われる作家を囲む編集者達と妻とファンの、
これまた多人数型のドタバタ劇。
4話目は、自分の才能がなかなか認められず作家の道をくじけそうになっている若者を
珈琲店の女将が叱咤激励する話。


個人的には2話目のコントチックなおもしろおかしいやりとりが好きだった。
登場する3人の役者はどれも個性的でおもしろく、
ボケとツッコミのテンポの良さは非常に秀逸で、大いに笑わせてもらった。

作品としてのまとまりが一番良かったのは3話目かな。
締め切りを守らせつつも作家を持ち上げたり、作家の将来を考えたりしている編集者達、
作家の一ファンで、その作家をダメにしないためにいろんな努力をみせる女性、
作家の妻という立場のおかげで締め切り前のドタバタ騒動に巻き込まれている奥さんの心情。
そしてアイデア不足に悩み苦しむ作家本人。
たぶん、観ていたお客さんも実際に登場人物のどれかに近い立場で仕事をしていると思うので、
どこかのポジションに感情移入できたのではなかろうか。

1話目は正直イマイチ。
会話劇なのに妙に元気にハキハキと声を張り上げる役者が多くてちょっとゲンナリしてしまった。
登場人物が沢山いたわりには引っ張れる役者は不在で、
お客を惹きつけなければいけない1話目としては残念な仕上がりに感じてしまった。

4話目は珈琲店の女将の安定した演技力に支えられて
すっきりとまとまっていた。
登場人物の役割とキャラ立てがしっかりしていたせいもあるだろう。
見やすいし、話的にもしんみりと心に染み込んでくる良いお話。

全話通して全体的にみれば、しっかりと作られていてテンポもよくて
素直に楽しめる作品だったと思う。


ちょっとだけ気になったのは「一筆入魂」というタイトル。
最後の話のまとめを平たく言うと、
「苦しいことをなぜ続けることができるのか、それは今日だけはがんばるを毎日続ける」
といった旨の内容だったのだが(ちょっと平た過ぎる言い方で語弊がありそうだが)
自分が持っている「一筆入魂」という単語のイメージとはちょっと遠い気がした。
その点だけ観劇後に違和感として残っちゃったかな。

しっかりとした地力のある集団だと思った。
次の公演も楽しみにしたい。


 

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