日々是劇評

関東圏内で観劇した舞台について率直に感想を書いています。
自分用の備忘録みたいなもんなんで遠慮なく辛口な批評もしています。

絞り込み 記事更新日=「2013/02」

劇団扉座第52回公演 「つか版・忠臣蔵 スカイツリー篇 Returns」  @すみだパークスタジオ 2013/02/28
The Dusty Walls 「スペース合コン&スペース合コン BEYOND」  @王子小劇場 2013/02/27
アトリエ・ダンカン プロデュース 「教授」  @シアターコクーン 2013/02/25
いと、まほろば 「もうひとつのOVER THE MONOCHROME RAINBOW」  @ラゾーナ川崎プラザソル 2013/02/21
47ENGINE 2013新春公演 「幕末純情伝」  @新宿タイニイアリス 2013/02/03

※本文中に激しくネタバレ含みます!
 上演中の公演についてこれから観劇予定の方は閲覧ご遠慮ください。


劇団扉座第52回公演
「つか版・忠臣蔵 スカイツリー篇 Returns」

2013/02/28更新  ≪すみだパークスタジオ≫ ≪劇団扉座≫ ≪2013/02

劇団扉座第52回公演 「つか版・忠臣蔵 スカイツリー篇 Returns」 劇団扉座第52回公演 「つか版・忠臣蔵 スカイツリー篇 Returns」

劇団扉座第52回公演 「つか版・忠臣蔵 スカイツリー篇 Returns」

【原作】
つかこうへい

【脚本・演出】
横内謙介

【キャスト】
山本亨、武田義晴、掛札拓郎、岡森諦、中原三千代、伴美奈子、犬飼淳治、
高橋麻理、累央、鈴木利典、上原健太、川西佑佳、江原由夏、上土井敦、
新原武、串間保彦、藤本貴行、江花実里、吉田有希、松本亮、松原海児、
高嶋綾香、野田翔太、比嘉奈津子、酒寄拓、久保田芽衣、

【日程】
2013年
2月19日(火)〜3月3日(日)

【会場】
すみだパークスタジオ

【チケット料金】
前売券 3000円
当日券 3500円
学生券 2500円
墨田区民割引 前売2500円/当日3000円

【公式ホームページ】
http://www.tobiraza.co.jp/

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故・つかこうへいの名作を扉座の横内謙介が再構築。
つか作品の常連であった山本亨や武田義晴を客演に迎えて
つかこうへいをオマージュしつつも独自の作品を作り上げている。

物語は主人公・宝井其角が近松門左衛門に出会うところから。
自分で裏工作を仕組んで民衆を操り事件を起こし、
それをいち早く舞台化することによって話題をかっさらおうという
提案を近松から受けて、それを引き受ける其角。

其角が事を大きくするのは松の廊下での刃傷沙汰事件。
吉良上野介が寛大なために大した事件として騒がれていなかったその事件を、
うまく騒ぎ立てて吉良上野介を仇討つべき敵に仕立て、
皆に討ち入りを起こすように促す。

しかしそのはずが、実は浅井内匠頭の妻の阿久利は其角の元恋人。
内匠頭の切腹後、赤穂の土地と民を守ろうと必死に奔走する阿久利。
しかし其角の筋書き通りに討ち入りが起これば赤穂は滅びる。

赤穂の為に自分の身を犠牲にして変態公家に嫁に行く阿久利。
赤穂の事よりも阿久利のためにそれを阻止したい其角と赤穂浪士達。
阿久利に忠誠を誓うが故にその行動を止められない大石内蔵介。
いろんな思いが交錯する中で、藩士達の決意表明や大石説得が行われ、
ついには討ち入りが決行、阿久利の奪還に成功する。
しかしそこで其角を待っていた結末は・・・。


といった感じのお話。
人間関係が複雑な話だとあらすじって書きづらい(汗)


松任谷由実「リフレインが叫んでる」を主題歌として起用し、
ド派手な照明と爆音の音響効果、激しいマイクパフォーマンス、
早口でまくし立てながらも客席に面を切ってしゃべる役者の演技スタイル。
全てがつかこうへいをリスペクトして作られているなという印象を受けた。
役者は皆汗だくのツバ飛ばしまくりで怒涛のテンション(笑)

そのクオリティはもうさすがとしかいいようがない。
面白い脚本、考え抜かれた演出、実力のある役者、これらを全て揃えれば
ここまで見事な芝居ができるんだよというお手本のような作品。

其角と近松の長ゼリフの掛け合いは見事だし、
吉良上野介のテンションの起伏が激しい怪演は笑わずにはいられないし、
何より赤穂藩士たちそれぞれの泥臭い生き様が美しくてしかたない。

そんな魅力ある人々が各々の決意で立ち上がり、討ち入りに臨む。
そこで「リフレインが叫んでる」がかかったときには鳥肌が立った。
これからしばらくはこの曲を耳にするたびに
「・・・!」って感傷的な想いになってしまいそうだ(笑)

また随所随所でみられる、他のつか作品オマージュも良かった。
座っている人間を花束で殴りつける(熱海殺人事件のワンシーン)など、
思わずニヤリとなってしまう仕掛けが多数。
ホント、ずるい演出だよ(笑)


観劇後にこれほど満足感と充実感が残った芝居は久しぶりかもしれない。
「ほんとにこれチケット代3000円でいいの?」と疑ってしまった。
軽く倍の価値は十分にある作品といっていい。

力のあった劇団が次々なくなっていく世知辛い昨今だが、
この扉座にはいつまでも活躍していてもらいたい。


 


The Dusty Walls
「スペース合コン&スペース合コン BEYOND」

2013/02/27更新  ≪王子小劇場≫ ≪The Dusty Walls≫ ≪2013/02

The Dusty Walls 「スペース合コン&スペース合コン BEYOND」

The Dusty Walls 「スペース合コン&スペース合コン BEYOND」

【作・演出】
瀬戸宏一

【キャスト】
スペース合コン:
三井智映子、後藤和、鈴木亜里紗、鈴木若菜、岡崎恵、
小松金太郎、西郷豊、佐倉一芯、小林達明、横田裕市、
大門嵩、池村匡紀、松田輝一、アンソニー

スペース合コン BEYOND:
西郷豊、佐倉一芯、小林達明、小松金太郎、池村匡紀、
松田輝一、大門嵩、横田裕市、後藤和、坂本大河、菅山望、
丹羽隆博、林愛子、辻明佳、瀬戸宏一、G.V.ハイジマン、
鈴木亜里紗、千行星、岡崎恵、泊ヶ山まりな、佐々木実来、
鈴木若菜、三井智映子

【日程】
2013年2月16日(土)〜25日(月)

【会場】
王子小劇場

【チケット料金】
前売券  3,800円
当日券  4,300円
セット券 7,000円
リピーター割引 3,500円

【公式HP】
http://the-dusty-walls.net/

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2年前に上演された「スペース合コン」の再演と、
その続編「スペース合コン BEYOND」との同時上演。
それぞれ90分程度のドタバタコメディー。

「スペース合コン」は、
男が絶滅して女性だけになってしまった星の人間と、
女が絶滅して男性だけになってしまった星の人間が
それぞれ種の保存のために、相手を自分の母星にお持ち帰りすべく、
様々な作戦を立てて合コンに挑むお話。

「スペース合コン BEYOND」はそれから数年後のお話で、
いまだ女性を求めて旅する男性たちが、
セレブ合コンをしたがっている女王の話に身分を偽って乗っかり、
そこにゲームの中の住人が絡んできたりしてドタバタやりつつも、
最終的に本当の愛を知る、みたいなお話。


2本とも観たが、どちらも普通に面白かった。


まず「スペース合コン」だが、お互いに異性に対して全く知識がなく、
過去のデータベースを参考にしたりするのだがそれがズレていたりして、
そこからくるいろんなすれ違いが非常に面白い。
間違った異性の知識に翻弄される若者達の描き方が秀逸。

ドタバタコメディの絶対必要条件は「登場人物が一生懸命生きていること」だと自分は思う。
人からみたらおかしな行動でも、当の本人達は大真面目で、一生懸命がんばっている。
でも残念ながら常識から少しだけズレているため、はちゃめちゃな状況になってしまう、
見ている側からすれば、その一生懸命さのすれ違いが滑稽で笑えるのだ。

その点でみれば、脚本の時点で「種の存続をかけて合コンに臨む」という設定があるので
登場人物各々の一生懸命さが滲み出ていて面白い展開になっていたと思う。

最終的に「種の保存」という目的に溺れ「愛する」という過程が欠如していたことに気付き、
それに目覚めて登場人物全員が各々キスして終了という、
シンプルでそれでいて深いような、そんな終わり方も好感が持てた。


次に「スペース合コン BEYOND」だが、
「スペース合コン」が霞むぐらいにレベルが高くて面白かった。

とにかく主要キャラの個性がハンパない。
男性キャストは前作からほぼ引き継いで同じ役なのだが、
それぞれ個性がかなり際立たされており、新キャラもかなり濃い。
特にダーティーさが格段に増した男艦長と女王ツボーネは夢に出るレベルである(笑)

こちらもいろんな思惑がいろんなすれ違いをしてドタバタして、
最終的にはやっぱり愛に目覚めて全員キスして終わりという、
前作を踏襲したスッキリした終わり方だった。


2作とも観たときに、圧倒的に「スペース合コン BEYOND」のほうが面白かった。
客席の笑い声から感じる限りでは、おそらく両方観た誰もがそういう感想を抱くと思う。

その主な原因は女性キャストの発声の甘さであろう。
出演していた女性陣は声のシャープさに欠けていて、
声量はあるのに何言ってるかわかんないキャストが多かった。

「スペース合コン」はしゃべっているセリフ内容の面白さ、つまりテキスト的な面白さ、
「BEYOND」はシチュエーションやアクションなどの視覚的な面白さの比重が高かったと思う。

どちらの作品もめまぐるしい早口テンポで展開するのだが、
テキスト的な面白さの比重が高い「スペース合コン」においては
聞き取りづらいセリフの存在はかなりマイナスに働いていた。
セリフをお客にいちいち脳内補完させてしまっていては、笑ってもらえない。
特に「スペース合コン」は冒頭から女性だけの会話のシーンが多いので、
導入部分でお客をしっかり引き込めていなかったのは、ちょっと惜しいなと思った。

逆に「BEYOND」においては話のメインに絡む役者は男性が多くて、
なおかつ視覚的で頭を使わなくても笑えるネタが多かったため素直に入っていくことができた。
セリフの聞き取りやすさで、全体の印象がここまで変わるんだなと再確認。
やっぱり基本って本当に大事なことだと思う。


2本とも「BEYOND」並のクオリティだったなら良かったが、
「スペース合コン」単体で観たら3,800円はちょっと高いかもしれない。
初演よりチケット代が倍近く高くなっているのも気になる点。
なんだろうね、大人の事情ってやつ?

でも間違いなく最近の小劇場界では力を感じる団体である。
今後もどんどん発展させて、質の良いコメディを作り上げていってもらいたい。


 


アトリエ・ダンカン プロデュース
「教授」

2013/02/25更新  ≪シアターコクーン≫ ≪アトリエ・ダンカン≫ ≪2013/02

アトリエ・ダンカン プロデュース 「教授」

アトリエ・ダンカン プロデュース 「教授」

【原作】
五木寛之著: わが人生の歌がたり

【脚本構成・演出】
鈴木勝秀

【キャスト】
椎名桔平、田中麗奈、高橋一生、岡田浩暉、坂田聡、伊達暁、佐々木喜英、上條恒彦、中村中

【日替わりトークゲスト】
中尾ミエ、木の実ナナ、佐々木喜英、鈴木雅之、山崎ハコ、元ちとせ、園まり、
坂井邦先、由紀さおり、松原健之、クミコ、加藤登紀子、五木寛之、石井一孝、
山崎育三郎、一青窈、ジェロ、尾藤イサオ、岡田浩暉、上條恒彦

【日程】
2013年
2月7日(木)〜24日(日) 全22回公演

【会場】
シアターコクーン

【チケット料金】
S席 8,500円
A席 7,000円
コクーンシート 5,000円

【公式HP】
http://www.duncan.co.jp/web/stage/professor/

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時代は1960年代の、安保闘争や労働争議が活発な日本。
学生運動の騒動から逃げてきた2人の学生が逃げ込んだ部屋、
それは寄生虫の研究をする変わり者の大学教授(椎名桔平)だった。
彼の展開する持論に引かれた学生(田中麗奈)は
その後、その研究室に入って彼の元で助手として働くことになる。

教授に淡い想いを描きながらもその想いはなかなか届かない。
一方で教授は、過去に戦死した親友から恋人を奪ってしまったことを悔やみ、
寄生虫を体内に飼うことで死を近づけ続けている。

高度経済成長期のめまぐりしく変わる環境の中、
いろんな人間関係が絡んだ切なくも愛おしい物語。


まぁ、ざっくり言うとそんな感じのお芝居。

舞台奥の壁にはピアノのオケスペースが設置されていて、
劇中では中村中が生演奏で歌と伴奏を披露してくれていた。
あと手前は基本的に平舞台で、移動可能な寄生虫標本の棚が3つと、
イス代わりの箱がいくつか。
非常にシンプルな舞台だ。


自分は原作を読んでいないので、元々そういう構成の話なのか、
それとも鈴木勝秀氏が今回構成したのかわからないが、
序盤の安保闘争についての主張の話がとにかくしんどかった。

長いし、くどいし、感情に任せすぎていて、聞いていてひたすら疲れる。
演劇作品の冒頭シーンからいきなりコレをやるのはどうかと思った。
お客としては別にアジ演説を聞きに劇場にきたわけじゃないんだが・・・(汗)
観たいのは安保闘争の中で揺れ動く人間の感情であって、
安保闘争の解説ではない。

話が進んで、躍動感ある男性陣のシーンになるとかなり持ち直し、
他のお客もそのあたりから舞台に引き込まれていったように感じる。
椎名桔平、坂田聡、上条恒彦あたりの砕けてナチュラルなのに、
それでいて味のある演技には好感を持つ。


ただ、そのあたりから気になり始めたのは場転。
舞台上にある大きな棚をいろんな配置に変えて場転を表現しているのだが、
さっきと違うってだけでその棚の配置にまったく意味を見出せないし、
ブルーライト暗転で役者がもたもた動かす意味もわからない。
しかもそのとき流れているBGMはまるで電波があわないラジオのノイズのような耳障りな音。
何を意図してこういう場転にしたのか全く理解できなかった。
終演後にロビーを出るまでに雑踏の中でいろんな感想を耳にしたが、
みな口を揃えて「あの雑音は何?」ってことばかり言っていた。

うーん、せっかくピアノのオケがあって、作品テーマに昭和歌謡が含まれているんだから
何かしら演奏するとか歌うとかの場転でいいと思うのだが・・・。
なんであんな風にしてしまったのだろう。


話が終盤に入ると、助手の告白があったり、
教授の息子が教授に対して殺意を持って現れたり、
いろいろと展開はするが、まぁベタにうまくいってチャンチャンって感じの終わり方。
最近ひねくれた展開をする芝居を観すぎたせいか、ちょっと物足りなく感じてしまった。
まぁ、ベタでもいいんだけどね(笑)

あ、あと椎名桔平がキャスティングとして、ちょっと若過ぎると思ったのは自分だけ?
年齢を上げるようなメイクはある程度していたんだろうけども、2階席から観るとまったく見えないから、
劇中で歳の差を話題にする話になったときなんかに違和感を覚えてしまった。
だって立ち姿からだけだと、フレッシュでしっかりしてるように見えるから(笑)


全体的にみると、悪くないけど別に良くもないかな、みたいな感じ。
そんな漠然とした感想を持ってしまった。
椎名桔平や田中麗奈は熱演だったと思うし、ノスタルジックな空気もいい感じだったけど・・・
なんだか心はあまり揺さぶられなかった。

内容的にも、もしかしたらコクーンのような大劇場より
小劇場でやったほうがいいタイプの芝居なのかもしれない。
それだと抱いた感想も全然変わったかも。


 


いと、まほろば
「もうひとつのOVER THE MONOCHROME RAINBOW」

2013/02/21更新  ≪ラゾーナ川崎プラザソル≫ ≪いと、まほろば≫ ≪2013/02

いと、まほろば 「もうひとつのOVER THE MONOCHROME RAINBOW」

いと、まほろば 「もうひとつのOVER THE MONOCHROME RAINBOW」

【原作】
福田裕彦

【構成・演出】
高坂雄貴

【キャスト】
高坂雄貴、栗山良介、齋藤弘樹、大山武史、安見謙一郎(UDATSU)、平井永恵、
宮内結、本多薙尋、山梨谷梨(劇団ビタミン大使ABC)、高橋笑里(UDATSU)、
新川泉、藤崎奈央、白石トモコ、久世卓矢、鈴木アルマルベス僚、
菱沼優衣(演劇集団THE素倶楽夢)、森サチ子

【日程】
2013年2月15日(金)〜17日(日)

【会場】
川崎ラゾーナプラザソル

【チケット料金】
一般 3000円
川崎市民・川崎インキュベーター割引 2500円
高校生以下、65歳以上 2000円
(それぞれ当日500円増し)

【公式HP】
いと、まほろば本営

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浜田省吾のゲーム「OVER THE MONOCHROME RAINBOW」を舞台化。

カラオケで浜田省吾を歌っていたら何故か異世界に召還されてしまう。
異世界では勇者ハマダショウゴを呼び寄せたつもりだったが、
実際呼び寄せられたのはただの浜田省吾ファン。

いろんなアニメやマンガのネタが散りばめられた世界をファンが冒険して
巨大な魔物を歌で退治して、めでたしめでたしって感じのお話。


あらすじとしては超ざっくりだが、まぁ大体こんな感じである。


うーん、かなり型破りのコント芝居。
ストーリー的には前述したとおり、異世界に呼び出された1人の男がその世界を歌で救うってだけで、
それ以外はコント詰め合わせみたいな内容の90分だった。

コントとしてのクオリティはちょっと微妙かな。
笑えるところと笑えないところが半々の、それぐらいのクオリティ。
ローラの物真似とラーメン次郎ネタはなかなか面白かったが。


しかしさすがにアニメネタが多過ぎた。
幽遊白書ネタが非常に多く、あとは機動戦士ガンダム、ドラゴンボール、名探偵コナンなどなど。
ナウシカのクシャナらしきものもいたかな?
あとゲームのストリートファイターとか。

自分はそこそこアニメやゲームもついていけるほうだと思うが、
それでもきょとんとしてしまうネタはたくさんあった。
普通の観劇客は果たしてどこまでついていけていたのであろうか?

そういったアニメネタに加えて内輪ネタも多数。
一部のお客だけがそれに爆笑して、その周りは引いてしまっているような状況になっていた。

お客にとって自分がわからないネタを放り込まれるってのは、非常に嫌なものだと思う。
だってそれって「わからない人は知らん!わかる人だけわかればいい!」ってことだもの。
お金払って観に来てるのに、自分が客として無視されてるみたいで嫌悪感を抱いてしまう。

もちろん100%のお客が理解できるネタなんてのは理想論でしかないが、
せめて「だいたいの人が分かるレベル」のものをやってほしい。
観に来ているお客は「アニメオタ向け」とは全く聞かされていないのだから。


もしマニアックなネタで勝負していきたいなら、
公演タイトルもチラシの宣伝文句もそういうことがわかるものにするべきではないだろうか。
マニアックな客層のみを集めて、そのお客が楽しめるのであれば、
それはちゃんとイベント事業として成立するわけだし。
「OVER THE MONOCHROME RAINBOW」を期待して観に来たら
内容はアニメネタ満載の幽遊白書だった、ってのはやっぱり頂けない(苦笑)


ウケる客層が極端に狭いが、面白いことをやっているとは思う。
しかしそれだけに宣伝方法を間違えるとお客を大きく裏切りかねないジャンル。
そのへんをどううまくやっていくかが問題かなと感じた。


 


47ENGINE 2013新春公演
「幕末純情伝」

2013/02/03更新  ≪新宿タイニイアリス≫ ≪47ENGINE≫ ≪2013/02

47ENGINE 2013新春公演 「幕末純情伝」

47 ENGINE 2013新春公演 「幕末純情伝」

【脚本】
つかこうへい

【演出】
村崎三雷

【キャスト】
三木美毅 村岡典文 宮川浩明 川瀬忠行 高山範彦 本多摂 伊藤佳範
楮山啓介 永里健太朗 中道宏幸 臼井章悟 吉田一寿 猿橋祐子 高野将吉
間根山雄太 貴田みどり 青木友成 布佐良幸 竜牙 塩田竜也 鈴木雄三 
古畑恵介 田邊久乃 金野愛弓 金城ちえ 金城舞子 佐藤茉衣 小浦明日香

【日程】
2013年1月25日(金)〜2月3日(日)

【会場】
新宿タイニイアイス

【チケット料金】
前売3000円、当日3300円
※平日昼の回は500円割引

【公式HP】
47ENGINE公式HP

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言わずと知れたつかこうへいの名作。
幕末の時代、沖田総司が女であるという設定で描かれた
史実とは近いようで遠いパラレルストーリー。

死の病を背負いながらも新撰組隊士として働く沖田総司。
敵の立場である坂本龍馬は沖田にぞっこんで激しいアタックをかけ続ける。
沖田はすでに土方と恋仲であるが、土方の「国のためではなく自分達のため」という
賛同し難い考えに迷い、逆に龍馬の理想に揺れ動かされる沖田。

自らが成し遂げた大政奉還後に捨駒にされた龍馬は命を狙われることになる。
その暗殺指令を命じられるのはなんと沖田。
2人の恋の行方は・・・。


つかこうへいの幕末純情伝。
映画化もされている超有名戯曲だ。
一昨年につかこうへいが亡くなったこともあって
この数年だけでもかなりの数の団体がこれを上演したのではないだろうか。

いろんな団体が「幕末純情伝」を上演すれば、もちろんピンからキリまで出てくる。
その中でこの47ENGINEがやった「幕末純情伝」は非常に良い部類ではなかろうか。
元々つか作品をやりなれている団体というのもあってか、
演出も役者も脚本の魅せ方をちゃんと知っているなという印象を受けた。

早い口調でテンポをあげてどんどんシーンを展開させ、
激しいテンションで喜怒哀楽をキレよく表現し、
舞台上をあっちへこっちへ走り回る。
下ネタを多数放り込みながらも、それが役としてリアルであるため不思議とやらしくない。
そして最後には圧倒的な感動を与える。

どれもこうやって文章にするのはたやすいが、
演出と役者にかなりの技量が必要な、難易度の高い作業だといえる。
それを見事にこなしていた彼らは素晴らしいと思った。

2時間40分、全く飽きる瞬間なく観れた作品だった。
これからもつかこうへい作品を愛し、上演し続けてほしい団体だと思った。


 

◎日々是劇評

劇場

APOCシアター
Art Theater かもめ座
KAAT 神奈川芸術劇場 ホール
KAAT 神奈川芸術劇場 大スタジオ
pit北/区域
RAFT @東中野
アサヒ・アートスクエア
アトリエだるま座
ザムザ阿佐ヶ谷
シアターコクーン
シアター風姿花伝
シリウス・ビー
すみだパークスタジオ
ラゾーナ川崎プラザソル
王子小劇場
下北沢 「劇」小劇場
下北沢 OFF・OFFシアター
下北沢 シアター711
下北沢駅前劇場
絵空箱
吉祥寺シアター
高円寺明石スタジオ
座・高円寺1
笹塚ファクトリー
参宮橋トランスミッション
上野ストアハウス
上野小劇場
新宿 スペース雑遊
新宿 紀伊国屋ホール
新宿サンモールスタジオ
新宿シアターサンモール
新宿シアターブラッツ
新宿シアターモリエール
新宿タイニイアリス
神奈川県立青少年センター ホール
神奈川県立青少年センター 多目的プラザ
赤坂レッドシアター
川崎H&Bシアター
浅草橋アドリブ小劇場
相鉄本多劇場
大倉山記念館 第四集会室
大和田伝承ホール
池袋 シアターKASSAI
池袋シアターグリーン BASE THEATER
池袋シアターグリーン BOX in BOX
中野HOPE
中野MOMO
中野ウエストエンド
中野ザ・ポケット
中野テアトルBONBON
東京芸術劇場 池袋シアターウエスト
東松原ブローダーハウス
日暮里 d-倉庫
八幡山ワーサルシアター
文京シビック小ホール
北池袋 新生館シアター
本願寺ブディストホール
夢の島公園 テント劇場
六行会ホール
和光大学ポプリホール
 →劇場毎一覧

団体

(企)劇団思い出づくり
47ENGINE
613
8割世界
9-States
A・M・D企画
aji
Broadway musical
CAP企画
COTA-rs
CP Project
DULL-COLORED POP
HIME企画
Human Art Theater
IQ5000
Kanikuso
LiveUpCapsules
MS2
Office Months
Oi-SCALE
OUT of WIT
Platform
Re:Play
SORAism company
Studio D2
STUDIO HeadZ
The Dusty Walls
アトリエ・ダンカン
いと、まほろば
ヴォードヴィルの会
オールアクトカンパニー
カプセル兵団
からふる
シノハラステージング
セブンスキャッスル
ソラリネ。
ナイロン100℃
ネコ脱出
メガロザ
らちゃかん
リトルプラネット
開幕ペナントレース
企画ユニットあいてむぼっくす
空想組曲
空想天象儀
芸術集団れんこんきすた
劇団IQ5000
劇団PEOPLE PURPLE
劇団SSP
劇団お座敷コブラ
劇団くりびつてんぎょう
劇団ニコルソンズ
劇団マチダックス
劇団メリーゴーランド
劇団宇宙キャンパス
劇団喫茶なごみ
劇団東京晴々
劇団熱血天使
劇団扉座
劇団離風霊船
座・あおきぐみ
子供脳みそ
神奈川県演劇連盟
人衣企画
青少年のための芝居塾
川崎インキュベーター
相模舞台同盟
張ち切れパンダ
天才劇団バカバッカ
東京都カリスマイル
虹の素
梅パン
風雲かぼちゃの馬車
平熱43度
野戦之月海筆子
立体再生ロロネッツ
立体親切
流星揚羽
緑慎一郎とミユキーズ
零’sRecord企画
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外部リンク

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