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らちゃかん第16回公演 「アイム、ホーム」 @浅草橋アドリブ小劇場 2013/08/10
らちゃかん 第15回公演 「鎌ヶ谷中年ヒーロー」 @池袋シアターグリーン BASE THEATER 2013/01/21
※本文中に激しくネタバレ含みます!
上演中の公演についてこれから観劇予定の方は閲覧ご遠慮ください。
らちゃかん第16回公演
「アイム、ホーム」
2013/08/10更新 ≪浅草橋アドリブ小劇場≫ ≪らちゃかん≫ ≪2013/08≫
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らちゃかん第16回公演 「アイム、ホーム」 【作】 藤田英明 【演出】 荒井志乃 【キャスト】 浜田えみこ、荒井志乃、藤田英明、高野ちん太郎、中島つづみ、 三浦ヤスタカ、市田ヲサム、永峰あや、綱川敦、影山美香 【日程】 2013年8月9日(金)〜11日(日) 【会場】 浅草橋アドリブ小劇場 【チケット料金】 前売 3,000円 当日 3,500円 公開ゲネ 1,000円 【公式HP】 http://racha-can.sakura.ne.jp/ ========================================== 老舗のせんべえ屋で暮らす、さちと祖父と愛犬。 両親は他界、姉は行方知れず、彼氏は霊能商法に引っかかるダメ人間、 せんべえ屋と作家業の二足のわらじを履いているさちは色々限界に達していた。 おかげでせんべえ屋はずっと臨時休業、作家業のほうもスランプ状態。 そこに、なんと行方知れずだった姉が突然帰ってくる。 姉はせんべえ屋を再開させようと奮闘するが、 さちは無責任に行方をくらませていた姉が許せずにケンカばかり。 さらにそこに死んでいた両親の霊が「お盆だから」という理由で現れる。 しかもこの幽霊たちは元気でピンピンしていて、 姉やさちに恋心を抱く編集者を交えていろいろとドタバタを繰り広げる。 その活気の中に、昔の温かかった家庭を思い出し、 口では文句を言いながらも心を開いていくさち。 お盆も終わりに近づき、両親があの世に帰る前日。 姉の衝撃の告白。 その後、家族との別れに涙するが、 ダメ彼氏と絶縁し、編集者の不器用ながらも真っ直ぐな愛を受け入れたさちは、 仕事にも恋にも前向きに生きていく。 また次の盆を、再び家族と過ごせる時間を待ちながら。 といった感じのストーリー。 上演時間は90分。 頭を使わずに気楽な感じで見れるホームコメディーで、 笑えるけど感動してほっこりできる作品だった。 この団体はこのジャンルの作品が本当にうまい。 所属メンバーのラインナップからして家族モノが向いているのかもしれない。 父母・兄弟・姉妹それぞれの役にハマる人材が揃っていし、 一人一人の技量もしっかりしている。 両親や姉たちのドタバタした騒動の中で、 主人公であるさちの感情の変化が如実に見えるのが良かった。 最初はずっと不機嫌な表情をしていて「イヤな奴」であった人間が、 徐々に心を開いていき、最後には号泣しながらの最高の笑顔を見せてくれる。 こういうのは、やはり素直に胸を打つ。 中盤、さちはみんなの前では決して楽しそうな顔をしないが、 1人の時間になったときに、わずかだけ微笑みを見せる。 こういうの好きだなぁ、個人的に。 あと会話内容が、ざっくりとしていて無駄に飾っていないのが良かった。 脚本に無駄に臭いセリフや、感動を押し付けるようなセリフを作っていない。 家族間の会話で飾ったセリフが入っていたらそりゃあウソだものね。 実際、現実での家族の会話なんて雑なもんだ。 でも何かが繋がっている、それが家族。 これを芝居の中でちゃんと見せれるということは素晴らしいことだと思う。 初日だったこともあってか全体的に役者に固さが見えて、 お客さんもちょっとノリ辛そうだったのは残念かな。 ところどころ爆笑をさらえそうな箇所でミスってた感があった。 あと犬と猫のシーンは、ちょっと方向性が中途半端かも。 きっちり真面目に仕上げるか、大暴れして爆笑かっさらうぐらいのテイストにするか、 どっちかにしたほうが良かったかなぁと。 ちょうどシーズンだし、家族モノでほっこりしたい人には是非勧めたい作品だった。 また次に期待。
らちゃかん 第15回公演
「鎌ヶ谷中年ヒーロー」
2013/01/21更新 ≪池袋シアターグリーン BASE THEATER≫ ≪らちゃかん≫ ≪2013/01≫
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らちゃかん 第15回公演 「鎌ヶ谷中年ヒーロー」 【作・演出】 藤田英明 【キャスト】 高野ちん太郎、藤田英明、荒井志乃、三浦ヤスタカ、市田ヲサム、 中島つづみ、浜田えみこ、綱川敦、影山美香、中島希望(劇団ドアのぶ。)、 林充晃(流星揚羽)、佐藤こてつ、石山慶、永峰あや、大木剛広 OGA−SAN 【日程】 2013年1月17日(木)〜20日(日) 全7ステージ 【会場】 池袋シアターグリーン BASE THEATER 【チケット】 前売・当日 2,500円 全席自由席 【公式HP】 らちゃかん公式HP ============================ 近年ワンシチュエーションコメディを手掛けてきたらちゃかんが挑むのは、 なんとヒーロー物! 糖尿病を抱えた中年が、鎌ヶ谷を舞台にありがた迷惑な正義を振りかざす! 「俺の血糖値をナメんじゃねぇ!」 家族や友人を巻き込んで至上最高の決戦がいま幕を開ける! 以上、公式HPからあらすじを抜粋。 前回公演「よつあしダディ」が非常に面白かったので かなり期待して観に行ったのだが・・・正直うーんといったデキだった。 まず最初の前説。 ヒーローと悪役が出てきてちょっとしたショーを繰り広げるのだが、 トークもアクションもあまりにお粗末。 盛り上がりは全くなく、逆に観劇前のモチベーションをガクンと下げられてしまった。 この前説、小屋入りした時点での仕上がりをみても カットしようという気にはならなかったのだろうか? 本編と関係ないんだからカットしても全く支障ないのに。 クオリティ低くスベリ倒すような前説ならしないほうがマシだ。 そして本編。 ストーリーがちょっと。。。。 市長が市の特産物の梨に助成金を払いたくないために細菌の研究をして、 その細菌をばらまくことによって梨畑を全滅させる計画を立てる、 細菌は農家夫婦の嫁を人質にとって旦那に実行犯としてばらまかせる。 イヤイヤイヤイヤ(汗) やり方が面倒臭過ぎる上に足もつくでしょソレ。 そんなムチャクチャな。 完全に低学年向けアニメの悪の組織のやり方だよ。 ヒーローショーで悪の手下役ばかりやってきた冴えない中年が 現実でそういった悪(市長)に対してヒーローとして立ち向かうって話なのだが、 現実の悪をアニメの悪と同じレベルにしてしまっては話が台無しだと思う。 それだとそれに立ち向かう主人公までもが陳腐になってしまう。 そんな状況で主人公にヒーローへの想いを語られても感情移入できないよ。 あと芝居面では前半のタルさが異常だった。 放り込んでくる小ネタはどれもレベルが低くて笑えないし、 テンポがずっと悪く、観ていて気持ち悪くてしかたない。 ブッ飛んでて面白い奥さんの幽霊が出てくるまでは 見れるシーンがなさ過ぎて本当に辛かった。 隣のお客さん開始10分でイビキかきはじめたし。 前半にもっとお客を引き込む要素を盛り込んでほしかった。 後半はストーリーが大きく展開して盛り上がった感はあったが、 やはり前半のタルさが大きな足枷になって、終演後にそこまでの感動はなかった。 うーん、かなり期待して観にきただけに、今回のハズレ方はショックだったなぁ。 普段はシチュエーションコメディばかりやっていて、 こういうタイプの芝居はある種の挑戦だったのかもしれないが、 残念ながら今回は結果には結びつかなかったようだ。 個人的にはこの劇団はシチュエーションコメディに徹してほしいなと思った。 演出、脚本、役者の質をみる限りでは、 もう一度このタイプの芝居に挑戦したところでおそらくまた同じ結果なんじゃないかなと。 シチュエーションコメディというジャンルでしっかり武器を持った団体だと思うので その武器を捨てずに大事に磨いてほしい。