日々是劇評

関東圏内で観劇した舞台について率直に感想を書いています。
自分用の備忘録みたいなもんなんで遠慮なく辛口な批評もしています。

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青少年のための芝居塾2013 「光る航跡」  @神奈川県立青少年センター ホール 2013/08/18
芝居塾記念公演 「紅い海、剣と十字架 天草四郎物語」  @神奈川県立青少年センター ホール 2012/08/20

※本文中に激しくネタバレ含みます!
 上演中の公演についてこれから観劇予定の方は閲覧ご遠慮ください。


青少年のための芝居塾2013
「光る航跡」

2013/08/18更新  ≪神奈川県立青少年センター ホール≫ ≪青少年のための芝居塾≫ ≪2013/08

青少年のための芝居塾2013 「光る航跡」 青少年のための芝居塾2013 「光る航跡」

青少年のための芝居塾2013 「光る航跡」

【作】
くまでたくま

【演出】
笹浦暢大

【キャスト】
明石直也、あめみやさやか、新井楓、荒木優里奈、伊沢奈々
石川美裕、伊藤南咲、上田優美、上田幸侍(チリアクターズ)、靭矢陽子
江隈浩太、尾井瞳美、大関奈緒子(湘南テアトロ☆デラルテ)
太田優希、大矢亜子、小山内詩音(WIND)、葛西凜乃、片野伶香
香取唯、神島栞、河合国広、川西玉枝(よこはま壱座)、木ノ下郁子
木下春香、木原育子、木村阿友美、熊澤泰介、熊手竜久馬(虹の素)
栗方ほのか、黒沢未来、小島花緒理、小林拓磨、斎藤陽子、
三枝ゆきの、咲本千夏(サンミュージックアカデミー)、迫田明愛
定常未歩、薩摩零、佐藤睦子、佐藤らな、佐藤隆介、志賀瑛帆
清水希帆、ジョイ、城間未来、鈴木翔子、鈴木初美、須田優海
須田優月、須山武、須山智子、高日陽向、竹村絵莉菜、寺尾弥宮
寺師葵、天藤旭、中島希望、永塚拓馬、西島美都子、西村颯騎
野崎陽子、野仲萌里、畑中樹里也、早坂楓香、林ひかり
平澤川澄(しーぱらさんとこ)、北条志穂、細川和幸、細木友菜
益子有輝、松下泉、松見絵梨香、水竹亜利沙、湊悠美、村川加苗
森紗英子、森本哲平、森山晶之、矢田千夏、柳田清孝、山岸優華
山口海登、山口佳央、山下萌、山本凜、横山葵子、吉澤萌
吉永麻美、吉山輝、渡部のぞみ、渡会いくみ、他

【日程】
2013年8月17日(土)、18日(日)

【会場】
神奈川県立青少年センターホール

【チケット料金】
前売・当日  2,000円
高校生以下  1,000円

【公式HP】
http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/p674661.html

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君は今年の夏はどこにいく?
僕らはひと月船の旅
今から150年前、開港当時の帆船で日本をぐるりとまわるのさ。
楽しい船の旅のはずだったのに、突然の嵐に見舞われて、たどりついたところはー。
(以上公式HPから抜粋)

たくさんの青少年達を乗せた船が嵐によって遭難し、
彼らは無人島に散り散りに漂流してしまう。

悲観にくれる者、希望を持って前向きに行動する者、
それが気に食わない者、恋心を抱くもの、現実から逃避したい者。
いろんな人間ドラマを描きつつ、
最終的には不思議なしゃべる鳥達の協力を経て、
見事島から脱出していく。


ざっくり書くとこんな感じのお話だった。
ホントざっくり過ぎるぐらいざっくりだが。
上演時間120分のミュージカル。


とりあえずオープニングシーンが見事。
船が嵐に遭っていままさに難破するというシーンなのだが、
舞台中央に設置された船のセットが盆でグルグルと周り、
その船の上で何十人もの人間が阿鼻叫喚(ちょっと違うか?笑)の歌を歌う。
そしてその周囲を荒波を表現するダンサーたちが踊り狂う。

幕が開いた瞬間から展開されるそのパワフルなシーンに
観客はグイグイと引きこまれていくだろう。
初っ端の「掴み」ってやつを自分は重要視しているのだが、
その点では本当によくできたオープニングだと思う。

マイクの音レベルに問題があるのか、発声に問題があるのか、
役者のセリフがほとんど聞き取れなかったのは残念だが。
まぁ、見た目で何をやってるかはわかるので脳内補完はできるけども。


そこからは一旦シーンは落ち着いて、
漂流前の、みんなが船に乗り込むところから。
このシーンがそれぞれの役の自己紹介的な時間になるのだが、
とりあえずキャスト多い(笑)

意図的にセリフで名前を呼ばせ合っているのは見て取れたが、
それでもさすがに覚えきれない(汗)
まぁ、大人数でそれぞれにそれなりのセリフをって趣旨の作品だから
そのへんは仕方ないのかもしれない。

ちょっとキラキラネームっぽい人が多かったのは気になったけども。
イマドキの小学生ってもう皆こんな感じ??(笑)

もう少し名前に暗黙的な関連性を放り込むと覚えやすくて良かったかもと思う。
「あおい」と「みどり」がケンカしてるとか、
このグループの子はみんな花の名前が含まれてる、とかさ。
ネーミングにそういう些細な共通項を含んでもらえるだけで
お客の登場人物覚えに大きな差が出る。
普通の公演でそれをやると露骨であざといが、
これ系の100人芝居ならそれぐらいやっても良いかなと。


ストーリーはそこから島を散策、全員合流、脱出の流れになるのだが、
盛り上がりが全体的にいま一つだったのは残念。
青少年たちの心の衝突を描いているのだが、

「みんなでがんばろう!」
   ↓
「なんでそんな楽観的なんだ!」
   ↓
「みんなでがんばろう!」
   ↓
「もうイヤ!お前仕切んな」

って感じで話がいつまでも前に進まないのだ。
話が前に進まないいざこざシーンが長時間あるので、見ているほうは退屈してしまう。
いっぱい揉めるわりには一曲歌が入るだけでアッサリ解決してしまったりするので、
難題が解決したときの安堵感みたいなものもないし。
うーん、なんだか見ていてあまりワクワクしない展開の脚本だと思った。


中盤の鳥達のダンス・歌唱シーンは鮮やかで良かったが、
過去の回想シーンまで全て歌で説明的にやってしまうのはちょっとアレかなと。


全体を通してみたときに、演出に光るものが多いなと思った作品。
また役者レベルは芝居塾という団体の性質上もあって
勿論厳しい物差で評価することはしないが、
ダンスや歌の練習量の多さははっきりと見てとれる。

残念だったのはソロパートを歌う役者の歌唱力。
芝居塾生ではない大人のキャストの歌唱力が低いのはやはり目をつむれない。
下手くそなソロパートがミュージカルにとっていかに致命的であるか。
それは演出・演者全てが理解していてほしい。

また次に期待。


 


芝居塾記念公演
「紅い海、剣と十字架 天草四郎物語」

2012/08/20更新  ≪神奈川県立青少年センター ホール≫ ≪青少年のための芝居塾≫ ≪2012/08

芝居塾記念公演 「紅い海、剣と十字架 天草四郎物語」

芝居塾記念公演 「紅い海、剣と十字架 天草四郎物語」

【演出】
土井宏晃

【脚本】
重信臣聡

【キャスト】
菅本生、眞野基範、凪達矢、米澤良樹、堀浩隆、亜耶野、高橋範行、
須佐光昭、宮内咲希子、村上亮、山内琴実、秋山静、秋吉徹、織田裕之、
小林祐美、村井彩子、相澤亜紀、飯塚美花、石島英一、岩本恵、植松南美、
内田雄馬、大貫真代、海谷奈津実、木下恵美、木下春香、工藤正平、
坂口裕美、坂田奈津希、佐々木龍馬、渋谷由利香、鈴木翔子、鈴木美帆、
高橋広行、田黒杏海、田島利佳、橘沙和、田中清志郎、豊田結、西村隆主、
能勢さや、野中春菜、萩原詩穂、早川蓉子、林田淳、披岸克哉、二子石純、
松下泉、丸山夏輝、南千春、宮本綾乃、柳沢光華、和田志郎

【日程】
2012年
8月18日(土)、19日(日)

【会場】
神奈川県立青少年センター ホール

【チケット】
前売・当日 2,500円
高校生以下 1,000円
全席自由席

【公式ページ】
青少年のための芝居塾 公式ページ

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天草の乱のお話。

キリシタンが弾圧を受ける世の中で、天草四郎が人々の象徴になる。
しかし四郎の恩師であるジョアン宣教師が幕府に処罰されてしまったりと
状況は日々悪化していく一方。
最終的には篭城していた砦も幕府に攻め入られ、民衆ともども天に召される。

天草四郎が宮本武蔵の娘、凛と出会って恋に落ちたりなどの
オリジナル部分もあるが、基本的には世間で知られる天草の乱の史実通り。
人々の信仰、それ以上に生きながらえたいという感情、それを指揮する人間、
裏切る人間、いろんな人間の生き様を描いたミュージカル。

まぁ大体こんな感じの作品だった。


青少年のための芝居塾というのは、
一般公募で集めた青少年に、演技だけでなく裏方の仕事などを学ばせながら
ひとつの作品を作っていく創造型の事業である。

今回の作品は、神奈川で活動している「風雲かぼちゃの馬車」を責任集団とし、
合同でひとつの芝居を作り上げるというスタイルをとっているものなのだ。

そのため出演するキャストは若い10代20代の者が多く、
正直言って技量は皆高くはない。
そのため、それほど期待して見に行ったわけではないというのが本音だ。


しかしその期待は良い意味で裏切られた。

開幕と同時に始まる民衆の歌。
天草四郎を中心とした、弾圧に苦しむキリシタン農民の歌なのだが、
感情をむき出しにしたその歌はこちらの感情を大きく鷲掴みにしてきた。
思わず鳥肌がたつぐらいだった。

その後の芝居部分ではやはり技量不足の面が目立つところも多かったのだが、
感情を思いっきり解放して客席にガンガン飛ばしてくる皆の演技は評価したい。
演技としては下手なのかもしれない、
しかし間違いなくこちらの心を動かしてくる何かがあるのだ。

これは演出の力でもあると思う。
盆を使った場転もスピーディーで鮮やかだし、
民衆がうじゃうじゃいる多人数シーンも整っていて見やすい。
普通は多人数のシーンというのは綺麗に作り上げるのが難しいものなのだが、
きちんと整っていて、しかもその整理の仕方もあざとくないのだ。
だからこそ飛ばしてくる感情が遮蔽されることなくこちらまで届いてくる。


ただ、とても残念に思ったのはソロを歌う人間の歌唱力。
ミュージカルとしてソロを歌って許されるレベルの歌唱力を持つ人間が
ほとんどいないのはちょっとキツイ。
とくにメインの天草四郎や右衛門作が歌うたびに場が萎えるのは致命的に思った。

ちなみにこのソロで歌うような大きい役 (つまりオイシイ役) は
ほとんど塾生ではなく、風雲かぼちゃの馬車の人間が演じていた。
メインの役は実力のある者が演じないと芝居として成立しないのはわかるが、
それほど彼らが演技力・歌唱力についてズバ抜けている印象はなかった。
どちらかというと天草四郎役なんかは「なぜ彼が主役?」って思えるぐらい。

もっと芝居塾の塾生に大きな役をやらせてあげても良かったのでは?
将来を見据えたチャンスを与えるという意味でも。
もちろん私はこの企画公演の内情を把握しているわけではないので、
所詮何も知らない外部の人間の一意見でしかないが。


 

◎日々是劇評

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