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9-States 「それなりにハッピー」 @下北沢 OFF・OFFシアター 2013/12/27
※本文中に激しくネタバレ含みます!
上演中の公演についてこれから観劇予定の方は閲覧ご遠慮ください。
9-States
「それなりにハッピー」
2013/12/27更新 ≪下北沢 OFF・OFFシアター≫ ≪9-States≫ ≪2013/12≫
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9-States 「それなりにハッピー」 【脚本・演出】 中村太陽 【キャスト】 山田青史、浅賀誠大、山田直人、大谷由梨佳、小池首領、戸枝尚、ヒロト、 倉垣まどか、市村彩子、倉垣まどか 【スタッフ】 舞台監督: 内山清人 照明: 高野由美絵 音響: 游也(stray sound) 舞台美術協力: 仁平祐也 演出協力: 本名直人 宣伝美術: し水しんたろう 選曲: コンソメ太郎(日本ハッピーエンド協会) 衣装: SH+ 映像記録: 桜井名人 企画: 『それなりにハッピー』企画実行委員会 制作協力: いちむらあやこ 製作: 9-States 【日程】 2013年12月25日(水)〜12月29日(月) 【会場】 下北沢OFF・OFFシアター 【チケット料金】 前売 2,800円 当日 3,000円 【公式ブログ】 http://9-states-hp.webnode.jp/ ========================================== 3年前に離婚した男・長島が娘と動物園で会う約束をしていた。 しかし急遽元妻から「また今度」と連絡を受けて会うことができない。 ずっとこんな先延ばしを続けられてきた長島は 「また今度」という言葉そのものに失望感を抱いていた。 そして長島は動物園の飼育園に務めるようになる。 動物の知識を得て娘に気に入られたい思いで。 一方、自分の気持ちをうまく前に出せない加藤は、 交際していた女性・沙織に別れを告げられてしまう。 落ち込んでいた加藤だが、勤め先の銀行に中国から研修員の男・王がやってくる。 身勝手で自己中心的な王は勝手に研修を指揮し、 銀行強盗対策のシミュレーションを実施、その勢いで発砲して騒ぎを起こしてしまう。 本物の銀行強盗事件と勘違いされて警察に包囲される加藤たち。 逃亡する、誰かを身代わりにする、などの意見が出されてその場は大混乱。 結局は警察に突入され、誤解は解けたものの大目玉を食らう。 騒動の中で加藤は、これまで自分の「人生の選択肢」に遭遇したときに、 何もしないという選択肢ばかり選んできたことに気付く。 前を向いて自分の気持ちをさらけ出し、沙織の元へ。 これらの騒動を動物園でも見るかのように楽しんでいる謎の人外の存在。 幕。 だいたいこんな感じのお話だった。 上演時間は1時間45分。 うー、ちょっとコレはどうにもならないな。 それぐらいにひどいクオリティだ。 脚本、演出、役者、どの面においても良い部分がみつからない。 一番ひどいのは脚本。 特に銀行での騒ぎの一連がひどかった。 研修員としてやってきた人間が勝手に研修を仕切り出して、 しかもそれが「銀行強盗コント」ってどういうことだ。 ホイホイと銃が出てくるし、わき腹を打ち抜かれてもギャグで済ませてしまうし、 屋外に向けて発砲してるんだからすでに誤解ではなく立派な重罪だし。 警官が一人で勝手に突入なんて意図的にやったってできないし。 そもそも他の従業員はいったいどこに? 彼らが騒いでいるこの場所はいったい銀行のどこなの? このように状況設定もムチャクチャなのだが、そこに生きる人間もムチャクチャ。 上司2人と王に関しては許せなくもないが、加藤の立ち位置はいったい何? シーンごとに感情がブツ切りで、状況の中での立ち位置がブレ過ぎ。 常識人でつっこみポジションであるはずなのに、話す言葉がウソの塊にしかみえない。 そもそもつっこみは、きちんとお客の気持ちを代弁しなければいけない。 銀行というお堅い職場、大手合併先の大事な客人、発砲事件、警察に包囲されている状況、 これらをおざなりにしたままになっているから、つっこみゼリフと客の気持ちが毎回一致しない。 「そこつっこむ前にあれおかしいでしょ」みたいな瞬間の連続なのだ。 だから客席から笑いが起きない。 まぁ、これは脚本だけでなく役者の技量の問題でもあるけども。 あと動物園の飼育員のシーン一連はなんだったのだろうか。 数々のどうぶつ豆知識の披露、 思いやりと気遣いの違いについての考えや、 人間も何かに飼育されている存在ではないかという発想の提示。 どう見ても脚本家の自慰シーンにしか見えなかった。 これらって、この作品の中に本当に必要? ラストシーンへの伏線だって、本当にとってつけたようなレベルのもんだし。 役者も全体的にレベルが低い。 全然お互いで会話できていないので、まるでセリフの発表会みたいになっていた。 「自分、このセリフこう読んでみました!」みたいな。 だったら戯曲読ませてもらったほうがよっぽど楽しめる。 ほか、いくつか前述したとおりムチャクチャな部分が多数。 車のドアのマイムおかしい、マイムに効果音あったりなかったり、 銀行強盗事件が起きてるのになかなか車発進させずに悠長にダベってる、 何故か携帯電話が実物ではなくマイム、 ホイホイ気軽に開け閉めできる銀行金庫、 もう本当にキリがない。 真剣に数えれば100は越えそうだ。 そんな空気の中で時折「人生は選択肢の連続である」ってシリアスにやられても、 観ているこっち側の心には何も響いてこないよ。 そんなの当たり前だ。 だってウソっぱちの世界から発信されている言葉なんだもの。 ぶっとんだコントテイストの作品がやりたいならそれに徹すればいいのにと思う。 下手にシリアス混ぜて要素を詰め込むから、このようにおかしなことになる。 毎日のように下北沢で上演されてる多数の演劇作品。 もちろんそのクオリティはピンからキリまであるが、 少なくとも他の地域よりはその平均レベルは高いと思ってる。 正直言って、この程度のものしか作れないなら考えたほうがいいと思うが。 しかも10年やって18回目の公演がコレっていうならなおさらだ。 次は…うん、ないな。