日々是劇評

関東圏内で観劇した舞台について率直に感想を書いています。
自分用の備忘録みたいなもんなんで遠慮なく辛口な批評もしています。

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OUT of WIT 「神殺しと銀色のクジラ」  @参宮橋トランスミッション 2013/11/02
(企)劇団思い出づくり 「青春オブラート/背徳の恋は散りゆく薔薇の如く」  @参宮橋トランスミッション 2012/12/25

※本文中に激しくネタバレ含みます!
 上演中の公演についてこれから観劇予定の方は閲覧ご遠慮ください。


OUT of WIT
「神殺しと銀色のクジラ」

2013/11/02更新  ≪参宮橋トランスミッション≫ ≪OUT of WIT≫ ≪2013/11

OUT of WIT 「神殺しと銀色のクジラ」 OUT of WIT 「神殺しと銀色のクジラ」

OUT of WIT 「神殺しと銀色のクジラ」

【作・演出】
為平康規

【キャスト】
生方真友、岡野大生(イマジネイション)、後藤幸子(東京ドラマハウス)、
佐藤麻実(相模舞台同盟)、高橋朋子、為平康規(OUTofWIT)、成瀬清春(劇団ぱんぷるぴぃ)、
和田彰(10/31〜11/2昼のみ)、佐藤ホームラン(バカバッドギター)(11/2夜〜11/3)

【スタッフ】
照明: 黒木健史(TKB)
音響: 相川麻衣
映像: 桜庭銀次郎(相模舞台同盟)
舞台装置: OUTofWIT
衣装: Candydrug
宣伝美術: 柴崎愛美
楽曲提供: TIDELAND
制作: OUTofWIT、薄田菜々子

【日程】
2013年10月31日(木)〜11月3日(日)

【会場】
参宮橋トランスミッション

【チケット料金】
一般  3,000円
平日マチネ割  2,500円
(それぞれ1ドリンク付き)

【公式HP】
http://out-of-wit.bitter.jp/

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目的地へと向かう列車の車窓。
少しずつ思い出されていく、僕と、君と、神様と、
そして、あの月と、本当の音を奏でる銀色のクジラのこと。

出会い、思い出される人々の物語と、姿を消した神様の行方、
そんな、僕と君との目的地を巡るピクニック。


以上、公式HPにあったあらすじから引用。

有明という青年と、不思議な雰囲気をまとった少女・小夜が、
列車に乗ってどこかへ向かっている。
そこに過去の出来事を回想シーンとして挟んでいく展開だ。

直感的なイメージでは「銀河鉄道の夜」っぽい感じ。
もちろん話の筋はそれと全然違うが、
展開の手法や作品全体の雰囲気がなんとなくね。
あくまで個人的にそう感じたってだけども。

序盤は一切の説明がないまま抽象的なワード満載の会話が続くので
正直ちょっととっつきにくかった。
ひたすら疑問符を植えつけられ続ける展開。

中盤以降はようやく話の世界観やいろんなワードの意味がわかってくるので
そのあたりから楽しく見れるようになるのだが、
序盤の時点で話を理解する作業をあきらめてしまったお客もいたであろう。

お客を序盤から集中させて前のめりにするような「何か」があったらいいなと思った。
盛り上がりのある終盤を見せる前にお客を思考停止させてしまうのはもったいない。


世界観や設定は非常に面白いと思う。
軍事目的で作られた第二の月の存在。
そこで人体手術を受けて、神と崇められるような力を得た男。
自分の人生の責任を他人に迫るフジミ。

ただ、個人的には有明の力(呪い)がどうしても気に入らなかった。
この力は物語のラストで判明するのだが、
そこまでいろんな人間の苦悩をずっと物語の中で描いていたはずだ。
夢を追いかけ、自分探しをし、大事な人間の死を悲しみ、
登場人物各人がいろんな苦悩を抱えている。

そこに「自分の言葉を現実にする力」という、何でもアリな無敵能力を出すことは
全てを台無しにし、作品を一気に安っぽくする。
その力使って、ああすりゃいいじゃん、こうすりゃいいじゃん、ってことになってしまうもの。
だって劇中の全ての問題はその力で解決できてしまうのだから。

せめて力を使うにはとてつもない代償が必要だとか、
非情なぐらいに厳しい条件があるとか、
何かしら制限を設けるべきだったと思う。
神の側にいた男がより神にふさわしい力を持つという皮肉。
それは面白いと思うだけに、もったいない。


全体を通して、悪くないんだけど何か惜しいなって印象。
次に期待。


 


(企)劇団思い出づくり
「青春オブラート/背徳の恋は散りゆく薔薇の如く」

2012/12/25更新  ≪参宮橋トランスミッション≫ ≪(企)劇団思い出づくり≫ ≪2012/12

(企)劇団思い出づくり 「青春オブラート/背徳の恋は散りゆく薔薇の如く」

(企)劇団思い出づくり 「青春オブラート/背徳の恋は散りゆく薔薇の如く」

【作・演出】
クリスチーネ香田

【キャスト】
井上恵亮(劇団夢神楽)、榎本早、大庭光皓、如月せいいちろー(ウラダイコク)
木曽川大地、久保木優穂、小原へい太(劇団ORIGINAL COLOR)、
坂井春翔、佐藤大地、しろ(YOROZU屋(本店))、関口義人(譚倶楽部)
空瀬彩佳、武田明子、谷山千晴、堤 喬嗣、寺島八雲
真崎優介(YA-Link9)、碧愛樹、遊紀、夕、若林辰也(優演隊)、他

【日程】
2012年12月19(水)〜23(日)

【会場】
参宮橋TRANCE MISSION

【チケット】
前売 2,500円
当日 3,000円
全席自由席・1ドリンク付

【公式ブログ】
(企)劇団思い出づくり

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「背徳の恋は散りゆく薔薇の如く」、「青春オブラート」という作品の2本立て。

「背徳の恋は散りゆく薔薇の如く」はRPGの世界観をそのまんま持ち込んだSFで、
剣と魔法を駆使して勇者達パーティーが魔王討伐のため城に乗り込んだところからのお話。
魔王と魔法を使えるがために人からも嫌われてしまった少女の愛情劇。

「青春オブラート」はタイムマシンや地獄から生き返る装置を巡って繰り広げられる
ドタバタナンセンスコメディって感じの作品。


・・・・(-。- ) フゥー。

団体名が「思い出づくり」って段階である程度覚悟はしていたのだが、
正直言って劇評を書くに値しない作品クオリティだった。


1本目の「背徳…」は笑いなしの真面目なファンタジー愛情劇。

魔王と結ばれることなく死んでしまった少女が輪廻転生して勇者になり、
再び結ばれるために魔王討伐を名目に会いに来るって話の設定は悪くなかったのだが、
構成として見せ方がイマイチ。
設定の良さのわりには心を打つものが少なかった。

役者スキルの面でいうと、会話テンポが悪すぎるし、棒読みの役者が多過ぎ。
サスにはうまく入れなくてしょっちゅうズレてるし、前向き芝居の技術も低いし・・・。
役者というよりは素人を集めた企画公演なのか?

ゲーム的なHP・MPゲージをバックにスクリーン表示して
それに合わせて役者が動く演出は最初は「おっ」と思ったが、
そこから劇的な変化は見せてくれなかったし、何度も繰り返されて逆に萎えてしまった。
劇中で演出としては完全に浮いていたし。

あと歌。
やはり一定の歌唱レベルがある者だけに歌ってほしい。
素人に毛が生えた程度のソロ曲はお客の心を萎えさせるだけである。

SFの世界観のなかで突然取り出すハンドマイクもめちゃめちゃ違和感あるしね。
ムービングライト3台も出動させるほどお金があるなら
ピンマイクぐらい人数分用意しても良かったのでは?


次に「青春…」なのだが、こちらはシリアスだった1本目の雰囲気を完全に吹き飛ばす
セオリー破りのドタバタコメディ。

役者の出トチリをいじったり、照明が勝手に明かりを消したり、
舞台上に音響機材を持ってきて遊んだり、
カーテンコール後に出番を忘れ去られた役者が出てきて怒ったり。
いわゆる演劇のセオリーをあえて破ってボケとして提示してくるタイプのコメディ、
あ、コメディというよりはコントに近くなるのかな?

しかしこれもクオリティが低く、笑うに笑えないレベルのネタばかりだった。
こういうのはいかにハプニング・アドリブ的に見せれるかどうかに全てがかかっている。
しかしどのネタも台本にあることを段取りでやっているのが
ひしひしと伝わってきて面白くない。

そもそもセオリー破りが成立する役者が少なすぎるのも痛い。
前にどこかの公演の記事でも同様のことを書いたが、
セオリー破りは『セオリーを守れる者』が『巧妙に破る』から面白いのである。
『セオリー通りのことをする技量がない者』が『セオリーを守らない』のとはわけが違う。
最近これがわからない団体が増えてきたような気がする。
ああ、悲しや。


いちおう企画としては旗揚げ公演らしいが、
おそらくアンケートにはかなり手厳しい批評や、罵倒にも近い感想もあったはずだ。
「思い出づくり」で終わらずに、次はきっちり「作品づくり」に徹してもらいたい。


 

◎日々是劇評

劇場

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団体

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613
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9-States
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aji
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COTA-rs
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Oi-SCALE
OUT of WIT
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STUDIO HeadZ
The Dusty Walls
アトリエ・ダンカン
いと、まほろば
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オールアクトカンパニー
カプセル兵団
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シノハラステージング
セブンスキャッスル
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ネコ脱出
メガロザ
らちゃかん
リトルプラネット
開幕ペナントレース
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空想天象儀
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劇団SSP
劇団お座敷コブラ
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