日々是劇評

関東圏内で観劇した舞台について率直に感想を書いています。
自分用の備忘録みたいなもんなんで遠慮なく辛口な批評もしています。

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平熱43度 番外公演微熱43度 「アシュラ」  @八幡山ワーサルシアター 2013/12/16

※本文中に激しくネタバレ含みます!
 上演中の公演についてこれから観劇予定の方は閲覧ご遠慮ください。


平熱43度 番外公演微熱43度
「アシュラ」

2013/12/16更新  ≪八幡山ワーサルシアター≫ ≪平熱43度≫ ≪2013/12

平熱43度 番外公演微熱43度 「アシュラ」

平熱43度 番外公演微熱43度 「アシュラ」

【作】
小池利明

【脚色・演出】
桃原秀寿

【キャスト】
〈阿形〉
宝栄恵美(平熱43度)、内山正則(時空動画)、片山耀将(シアターキューブリック)、
クシダ杏沙(ASSH)、四宮勘一(candid)、高橋優都子、塚本健一(マグネシウムリボン)、
柳瀬翼(劇団宇宙キャンパス)

〈吽形〉
籠谷和樹(平熱43度)、松本祐一(平熱43度)、秋山慎治(うぃなぁエンタテイメント)、
石川毅、原田明希子(スーパーグラップラー/銀色金魚)、松山由紀子(ELEGYKING STORE)、
宮内利士郎(原色mixer)、吉留明日香

【スタッフ】
舞台監督: 丸山賢一
照明: 朝日一真
音響: 土屋由紀
スチール: 鏡田伸幸
宣伝美術: ツチヤコウヘイ(Notes)
ダンス振付: ME☆GU
制作協力: 石井恵利華(エムキチビート)
企画・製作: 平熱43度

【日程】
2013年12月11日(水)〜12月15日(日)

【会場】
八幡山ワーサルシアター

【チケット料金】
前売  3,000円
当日  3,500円
高校生以下  1,500円
通し券  5,000円

【公式ブログ】
http://43deg.com/

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軍事開発として極秘裏に研究されていたウイルス。
これが事故により漏れてしまった。

このウイルスは、人間に感染すると風邪にも似た初期症状を発症するが、
後にその体に変異を起こし、人によってはエスパーのような特殊な力を持つようになる。
人々は感染者を忌み嫌い、迫害・隔離の対象にしていた。

そんなとき、感染者によるアシュラと呼ばれる反政府組織が発足。
防衛長官をもその特殊な力で暗殺するその行動に、
政府は本腰を入れて彼らの完全抹殺に乗り出してくる。

主人公・秋生は政府の特殊部隊に所属していた。
ウイルスの感染者はほとんどが子供。
彼らを抹殺する任務に自問自答する彼だが、
なんとそのとき恋人の紗来も感染者だったことを知る。

秋生は紗来を逃がし、感染者抹殺の任務に向かう。
戦争を止めたい紗来は感染者達と自分達の人権を訴えるデモを起こそうと考えて、
感染者の子供たちの協力を得て施設に向かう。

対峙してしまう秋生の部隊と紗来たち。
彼らは殺し合い、その中で秋生も命を落としてしまう。
不幸な巡り合わせに泣き悲しむ紗来。
泣き止んで立ち上がったときの彼女の顔は、
すでに全面戦争に臨む反政府組織のリーダーとなる顔であった。

幕。


大体おおまかにはこんな感じのお話。
上演時間は1時間50分。


出演する役者は8人だけなのだが、彼らには全員役が2つ与えられており、
政府側と反政府側でそれぞれ1役ずつ。
「ゼロ転換」と呼ばれる一瞬でシーンを切り替える手法でめまぐるしくシーンを展開し、
政府サイドと反政府サイドのストーリーを同時進行で描いていた。

16役を8人でやるという発想がおもしろい。
一瞬で政府サイドと反政府サイドの場面が切り替わるため、
役者の物理的移動時間が排除され、お客がダレる瞬間が全くない。
観ていて脳みそが熱くなるぐらいに疲れるが、こういう種の観劇疲れは心地よいものだ。
(年配の方にとってはゆっくり観れなくてしんどいかもしれないが 笑)

特に子供たちが壁の隙間に追い込まれているシーンの展開は見事。
演劇であの臨場感はなかなか他で観ることはない。


全体の演出としては、ほぼ素舞台の中で役者が自分の体のみを駆使して表現する手法。
展開のスピード感などは、かつて惑星ピスタチオでやっていたそれに近いものがある。
「ゼロ転換」ってやり方もそうだし。

こういった演出法も最近は決して珍しいわけではないが、
この団体のそれはとにかくキレがものすごい。
役が入れ替わるその瞬間が、しっかりとその場の役者全員で共有されていて乱れがない。
それでいて一人一人の切り替えのメリハリも素晴らしい。
相当な量の稽古があったのではないか。


脚本に若干ムチャがあった感はある。
テレポーテーション能力がある時点で暗殺は簡単なわけだし、
ほかの能力も「もっとこう使ったらうまくいくじゃん」みたいなものがあったので、
そのあたりは若干ご都合主義部分があったかなと。

しかし、ラストの殺し合い→ヒロインの号泣→立ち上がって歩き出す、の流れは
本当にセンスの良い演出がされている。
鮮やかで、切なくて、悲しくて、そして力強い。
観ているこちらの心をガンガンに揺さぶってきていた。


ちょっと声量のバランスの悪さが気になったが、
(ワーサルでそんなに大声でがならなくても、って部分が序盤から非常に多い)
全体的に観て本当に練って作られた作品だと思う。

拍手。


 

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