日々是劇評

関東圏内で観劇した舞台について率直に感想を書いています。
自分用の備忘録みたいなもんなんで遠慮なく辛口な批評もしています。

絞り込み 劇場=「相鉄本多劇場」

相模舞台同盟 「エン殺陣☆ファンタジー!」  @相鉄本多劇場 2013/07/22
風雲かぼちゃの馬車特別公演 光風組 「青春スープレックス!?」  @相鉄本多劇場 2013/06/30
虹の素 #02 「つきのいし」  @相鉄本多劇場 2012/09/03
相模舞台同盟 エン殺陣 「戦国夢絵巻・裏」  @相鉄本多劇場 2012/07/22

※本文中に激しくネタバレ含みます!
 上演中の公演についてこれから観劇予定の方は閲覧ご遠慮ください。


相模舞台同盟
「エン殺陣☆ファンタジー!」

2013/07/22更新  ≪相鉄本多劇場≫ ≪相模舞台同盟≫ ≪2013/07

相模舞台同盟 「エン殺陣☆ファンタジー!」

【作・演出】
實方誠一郎

【キャスト】
遠藤正志、柳沼慶樹、関根圭太、藤本ゆき乃、谷生優子、
成瀬優子、宮下真弥、大畑美恩、柴田尚輝、稲垣知美、
南雲桃、佐久間綾、佐藤麻実、雨宮ゆりの、茂原純子

【日程】
2013年7月20日(土)〜21日(日)

【会場】
相鉄本多劇場

【チケット料金】
前売  2,000円
当日  2,500円

【公式HP】
http://www.sagabu.com/

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剣や魔法で戦ってミッションをこなすタイプのオンラインゲーム。
マサシはそのゲームを剣士としてプレイして楽しんでいた。

マサシはこのゲームの前バージョン7.0の世界で
名の知れたプレイヤーだった。
しばらくゲームを離れていたが、新バージョン8.0がリリースされたために、
久しぶりにゲームにログインすることに。

そこで現れる謎のプレイヤーたち。
それに対抗するために主人公は7.0時代の自分の仲間を集める。

いろんなミッションをこなしながら、
最終的には謎のプレイヤーたちとの決戦に挑み、
マサシは多くの仲間を失いながらもこれに勝利する。

しかし実は今回のシナリオは8.0のオープニング部分で、
すべてかつてのプレイ仲間・シキが仕組んだものだった。
彼はこのゲーム会社に就職していて、
ドッキリでこのシナリオをマサシに仕掛けていたのだった。

「マサシ、楽しんでもらえたかい?」
大団円。


あらすじ的には大体こんな感じ。


とにかく戦って戦って戦いまくる100分。
ゲームの世界ということもあって武器の種類も、
剣、槍、拳、銃、鈍器、扇子、魔法と非常に多種多彩。

魔法は後に映像投射用白布を垂らして、
それにプロジェクター映像を映すことで表現していた。


上演時間の半分以上は戦ってるんじゃないかってぐらいに
長いアクションシーンの連続。
手数が多くて役者もよく覚えられるものだなと感心するが、
そのせいなのか、ちょっとクオリティが欠けていた部分もあったのが残念。

ここの殺陣師の特色なのだろうか?
殺陣が全体的に「舞」っぽい。

人間の動きが「舞」っぽいことは全然いいのだが、剣の振りまで「舞」っぽいのだ。
役者の意識の問題になるのかなぁ。
剣の振りに相手を倒す意志が感じられず、どうしてもダンスの振りっぽく見える。
「斬る気がないのに段取りだからそこに剣を出してる」って雰囲気が、
こちらに場の迫力を伝えるための邪魔をしていた感があった。


あと芝居部分の演技力は・・・もうちょっと頑張って。
特に若いメンバーの芝居は。。。(汗)


そして気になったのはラストのオマケの存在。
扇子を使ったダンスや、ダンス要素の多いアクションをやっていたのだが、
クオリティは正直言って本編中のものより高かった。
これってオマケにせずに、本編に組み込めばよかったのでは?

わざわざゆるキャラみたいな映像(オグマ?)を間に挟んでいたのもちょっと。
自分はこういうタイプのお芝居では、
お客に呼吸させないぐらいの展開で最初から最後までグイグイ引っ張って、
終演後に「フーッ!」って初めて呼吸してなかったことを思い出させるような、
そういう構成にしたほうが効果的なのではないかと思っている。
テンションが加速したお客に無駄に息つく時間を与えないほうがいいんじゃないかと。
まぁ、それをやると演じる側はとてつもなく大変だけどもね(笑)


以前にも同じようなことを書いたが、
相変わらず集客力は高く、ファン層もしっかり獲得している団体。
芝居作り以上に顧客確保が劇団を悩ませることが多いわけだが、
もうここはそれをクリアしているようだ。

あとは作品の総合的なレベルアップに期待。


 


風雲かぼちゃの馬車特別公演 光風組
「青春スープレックス!?」

2013/06/30更新  ≪相鉄本多劇場≫ ≪風雲かぼちゃの馬車≫ ≪2013/06

風雲かぼちゃの馬車特別公演 光風組 「青春スープレックス!?」 風雲かぼちゃの馬車特別公演 光風組 「青春スープレックス!?」

風雲かぼちゃの馬車特別公演 光風組 「青春スープレックス!?」

【脚本】
重信臣聡

【演出】
土井宏晃

【キャスト】
シングルキャスト:
丸山夏輝(風雲かぼちゃの馬車)、秋山静、浅賀友希(劇団ピアチェーレ)、
佐藤ららる、村井彩子

Aチーム:
和田志朗(風雲かぼちゃの馬車)、飯塚美花(A-LIGHT、小林祐美、
渋谷由利香、萩原詩穂

Bチーム:
亜耶野(風雲かぼちゃの馬車)、宮内咲希子(風雲かぼちゃの馬車)、 
山内琴実(風雲かぼちゃの馬車)、西村隆主(風雲かぼちゃの馬車)、
早川蓉子(劇団はんなりふるぼっこ)

【日程】
2013年6月27日(木)〜30日(日)

【会場】
横浜相鉄本多劇場

【チケット料金】
一般  3,500円(当日 4,000円)
学生  2,000円(当日 2,500円)
プレビュー公演 一般 2,500円
プレビュー公演 学生 1,000円

【公式HP】
http://fuuunkabocha.yokochou.com/

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学生プロレスにいそしむ恐凶子(オソロシキョウコ)。
彼女は幼少の頃からプロレスを愛してやまない家庭で育った、
人生の全てをプロレスに捧げた女性であった。

日常的にやってくる道場破りをいつものように倒していると、
そこに幼馴染のライバル・ニシムラがやってくる。
彼もまたプロレスに全てを捧げた男で、
彼との対決に無残に敗れてしまった凶子は修行に出る。

修行中に襲ってくる黒帯との戦いの中で
凶子は背負っていた過去を振り切り、本当の力を手に入れる。

ニシムラとのリターンマッチで見事リベンジを果たした凶子は、
その後、彼と結婚し幸せを掴むことに。
ハッピーエンド。


まぁ、話の筋は大体こんな感じ。
上演時間は1時間40分。

舞台中央にプロレスリングを設置し、
いつもながらの「つかこうへい」チックなセリフ運びでシーンを展開していた。
チックというよりは、もうまんまと言ったほうがいいのかもしれない。
J-POPをガンガンかけながらマイクパフォーマンスとか、本当につかこうへいまんまだし。



しかし芝居の内容にはとにかくガッガリした。
ちょっと失望点が多すぎ。



プロレスの芝居で、プロレスアクションシーンがめちゃめちゃ多くあるのに、
とにかくその部分が見ていられないのだ。

まず実際のプロレスの大きな魅力のひとつに
リングロープの反動を使った躍動感あるアクションがあると思うのだが、
残念ながらこの芝居、ロープが水道ホースでできている。

しかもそれは寄りかかれるほどの強度もないらしく、
役者がロープをやさしくタッチしてその場で回れ右をすると、
どうやら芝居的にはロープの反動を使って飛んでいることになっているらしい。
な、なんだソレ・・・。

えーと、これは、
『ちゃんとしたロープを用意しなかったんで
 ロープアクションはお客さんの想像力で補完してくださいね!』
ってことなんだろうか?


そして格闘アクション全般もショボイ。
打撃はすべて実際に当てることはせずに、
寸止め、もしくは素振りにSEで打撃音を入れているのだが、
あまりに当てる気がなさ過ぎて萎える。
1メートル以上離れたところを殴って、踏んで、
相手はそれで吹っ飛ぶって、・・・ソレっていったい何の茶番なのか。

客席が一方向しかないんだから、多少なりとも攻撃を被せて見せるとかすればいいのに、
そういう配慮はほとんどなし。
ここまでいくと迫力があるとかないとかのレベルではない。

これもあれか、
『とりあえず遠いところで安全に素振りしてるんで、
 あとはお客さんの想像力で補完して迫力あるシーンを完成させてくださいね!』
って、そういうことなのだろうか?
もうそれは表現者の『表現の放棄』としか思えない。


そもそも何故プロレスを演劇でやろうと思ったのだろうか?

実際、本物のプロレス自体が非常に演劇に近いものがある。
レスラー達は皆キャラクターが立っていてその世界の中で必死に人として生きているし、
そこには長い長い歴史、つまりストーリーまで用意されている。

そんな演劇的であり、そして壮大でもある世界の中で彼らは、
極限まで鍛え上げた肉体で、思いっきり殴って、ぶつかって、ぶん投げて、倒される。
汗を流す、血を流す、そして涙も流す。

その壮絶な世界観を、
演劇人が戦士として鍛錬されていない体で、
1メートル離れたところで殴り合うフリして、
水道ホースのロープでじゃれ合ったところで、
何も表現できるわけがない。
そんなもので見ている側の心を動かせるわけがないのだ。

プロレスを演劇の題材に取り入れたかったのならば、
全く違った形で提示するべきであったと思う。
今回のようなプロレスの真似事をした劣化物を提示することには意味がない。


脚本にもなんだかなぁって部分がたくさん。


まず主人公・凶子のキャラクター。
今回の芝居を観て、凶子を好きになったお客は何人いただろうか?

プロレス狂な故に、会話の節々でも手が出てしまう、
感謝の気持ちさえも拳で表す性格になってしまったという設定だが、
これがお客に嫌われる大きな理由になっている。

プロレスはスポーツだが、日常で人を殴るのはただの『暴力』である。
まだ誰かを守るための理由ある『暴力』ならわかるが、
理不尽に弱者にいきなりふるう『暴力』は、イコール『悪』でしかない。
新入生を無理やり引っ張ってきて出会い頭に殴り倒す主人公を、
どうやってもお客は好きになってくれないだろう。

多少ギャグチックになっているならば、どつき漫才の類に捉えられなくもないが、
残念ながらそういう風には見えなかった。

お客に嫌われたままでクライマックスシーンを迎え、
そこでどんなに良いセリフをどんなに良い表情でしゃべったところで
お客は何も心が動かない。
すでに目の前の存在に共感する気がなくなっているのだから。


次にゴッチの存在。

実は死んでいて幽霊だったっていう設定自体はいいのだが、
その伏線がなさ過ぎて、終盤でとってつけたような設定にしか見えない。
序盤からゴッチは普通に会話に参加してたし、プロレスにも参加してたし、
実況の人も「ゴッチの○○だーっ!」みたいに解説してたし・・・。
すでに死んでる存在なのに全員に見えているのは?
凶子の負い目がゴッチの存在を現実世界に妄想でねじ込んでるってこと?
いったいどういう体(てい)の存在だったんだろうか。

その死が判明した途端、急に完全にいなくなったのも気持ち悪い。
凶子が過去をふっ切ったから消えたってことなのかもしれないが、
その後ニシムラのセリフでチラッと触れられるだけって、
彼女はキーマンなはずなのに、なんか扱いが雑な気がする(苦笑)。


あとゴッチの死因になった、屋上に現れた謎の強い人。

ストーリー的には完全にその場限りの人なのだが、
ゴッチの死をずっと悔やんで背負うほどの想いがあったのならば、
凶子が戦う相手はニシムラではなく、その人なのでは?
重要なはずなのにその存在が放置されていることが非常に気持ちが悪い。


そしてこれはより個人的な意見だが、
ニシムラが男性であったことが引っかかった。

登場するレスラーが全て女性なのに、
(※筋太郎をどっちのつもりで見せているのか最後まで謎だったが)
ニシムラだけが男で、女レスラーの中に混じって戦っているという、
その違和感が最初から最後まで辛抱たまらなかった。

一般論として「腕力で女は男にかなわない」というのが普通だと思う。
当たり前のように女の輪にまじって偉そうに力を奮っている男の存在はかなり異質。
登場人物は誰もその部分に触れないし。

終盤で実はニシムラが凶子の初恋相手だということがわかるのだが、
それをやりたいがためだけの男設定なら、付随したマイナス面のほうが多かったと思う。
女の輪に1人だけ男っていう前述した違和感もそうだし、
男が女をボコボコにするシーンは観ていて嫌悪感を覚えてしまう。
これなら別にニシムラが女で、いっそレズビアン設定でも全然良かった。



あと作品ではなく、団体としてのあり方に言いたいことが。

ここしばらく何本かこの団体の公演を観ているが、
団体としてなんだか『いやらしい守銭奴』になった印象がある。
あくまで個人的な印象ではあるが。

はっきりいってここ最近のチケット価格設定にドン引いている。
作品クオリティが著しく向上した、劇団員のタレント性が高まった、
ってことならチケットが高い価格設定でも全然構わないことなのだが、
残念ながら自分はそういった向上は感じてはいない。

前売で3,500円、当日なら4,000円。
この金額なら下北沢界隈でもかなり有名どころのクオリティの高い芝居が観れる。
テレビで見かけるようなタレントが混じってたりもする。
この価格帯はそういう価格帯である。
少なくともロープに水道ホースを使って許される価格帯ではない。


あと芝居始まる前の前説で高額なグッズ紹介をしてくるのは、
キャラメルボックス以外で初めて見た。
あそこぐらい固定ファン層を獲得している団体ならいいが、
そうでないなら、ただひたすらいやらしい印象を与えるだけだ。

また、何かの特典で劇団員の写真をつけたりしていたが、
そういうのは劇団員それぞれがアイドルやジャニタレ的な
タレント性を身につけてからやるものだろう。

なんだか色々と団体として好ましくない路線に入っているように思える。



んー、久々にいっぱい書いた。
いかん、また辛口過ぎる劇評サイトとして名を馳せてしまう(汗)
しかしまぁ、率直に思ったことを書き並べただけなわけで。

ここは横浜界隈では名が通ってきた団体だし、集客力もある。
これから神奈川を代表する団体になるかもしれない。
それだけに尚更、つまんなかった作品にはつまんなかったとハッキリ言いたい。
でないと、芝居を演る側・観る側含めた業界すべてが狂ってしまう。

たぶん今回の公演、アンケート、こりっち、他の個人ブログなどでも
辛辣な意見・批評が多数あると思う。
関係者はそれを見て凹むだろうし、発信者に対して怒りさえ覚えるかもしれない。
しかしそれらの辛い感情を経た上で、
次回こちらをガツンと見返してくれるものの提示をしてくれることを期待する。


 


虹の素 #02
「つきのいし」

2012/09/03更新  ≪相鉄本多劇場≫ ≪虹の素≫ ≪2012/09

虹の素 #02 「つきのいし」 虹の素 #02 「つきのいし」

虹の素 #02 「つきのいし」

【脚本・演出】
くまでたくま

【キャスト】
浅井大輔(文教大学 劇団NoN-Spoil)、植野祐美、太田歌穂、神島栞、熊手竜久馬、
佐藤和、里見駿、鈴木佑一郎、高島典子(立花演劇研究所)、中野燎(劇団ひまわり)
林正春(劇団ひまわり)、廣瀬優里、布施晃、松崎夢乃、宮内結、村上裕亮、山本詩穂

【日程】
2012年
8月31日 19:00
9月1日 14:00 / 19:00
9月2日 13:00 / 18:00

【会場】
相鉄本多劇場

【チケット】
前売・当日 2,000円
高校生以下 1,500円

【公式HP】
虹の素 公式HP

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宇宙開発事業を行っている施設がある街。
とある日に打ち上げられたロケットは発射直後に異常をきたして軌道を逸らし、
街に落下して多くの命を奪う大惨事を引き起こしてしまった。

この事故はいろんな人間の人生を狂わせた。
事故の責任を追及されて自殺してしまった父を持つ村山。
ロケットに乗って死亡したパイロットの弟、安藤。
宇宙事業縮小により奨学金を失い、宇宙開発学校を辞めざるを得なくなった本多。
ロケット落下事故で家族を失った市川。
同じく落下事故で恋人が植物人間状態になってしまった有原。

それから何年かした後ロケット事業は発展し、見事に月に上陸、月の石を持ち帰る。
月の石は展示されることとなり、街は賑わう。
そのとき一つの光が街に舞い降り、それに本多が遭遇する。
それは別の月の石(ルナ)で、月光を浴びると人の姿になるという精霊的存在だった。
人間が持ち帰った月の石(アテナ)を取り戻しに来たのだという。

本多達はアテナに協力してルナを奪還し、
なんとかロケットを奪って月に戻してやろうと計画する。
復讐鬼となってしまった有原が意図的に新たなロケット事故を
引き起こそうとしているのを防ぎつつ月に向かう。
しかし計画性なく行ったその行動は残念ながら苦渋を飲む結果に。

10年後、正式にパイロットになった彼らは月の石を連れて月に向かう。
ハッピーエンド。

もしかしたら細かな設定は違っていたかもしれないが、
おおまかにまとめると大体はこんな感じのお話。


ちょっとテーマが多過ぎてまとめきれていない印象が強かった。
なんだか色々と手を出し過ぎてる。

重た過ぎるぐらいの過去を抱えている人間同士の恋模様。
孤児院を立て直したい少年と、その挫折、失踪、再会。
人間の姿をしていて自らの意思を持っている月の石、ケガを治す不思議な力。
月の石を盗み出すハッカーの女の子。
テロを起こそうとしている復讐鬼の先生。
宇宙で行われるロケットのカーチェイス(?)。
ミュージカルの空気ゼロだったのにいきなり歌って踊り出すメインキャスト。
そして開演直前に行われる独立したおまけのような小芝居。

120分の芝居にとにかくいろんな要素が詰められていて、
なんだかどれも中途半端でしまりのないものになってしまっていた。
まとめる技術がないならば、要素は2、3つに絞るべきだ。



あと話全体にツッコミどころが多すぎるのも難。

死に至る高さのガケから落ちそうな女性を必死に支えている青年を
不良達がなんのためらいもなく叩き落とすし、

月の石ルナは月から自力でやってきたくせに自力で帰れないし、

月の石が人間の姿に変身する事への皆の驚きの少なさと、順応の速さはとてつもないし、

自分の正義を貫く刑事さんが盗聴器つけたり、妹を人質にしたりするし、

自爆プログラムをこっそりロケットに組み込むとかまず無理だし
(単体テスト・結合テスト・運用テストなどの多人数で幾重にも行われるテストで
 発見されないようなプログラムを個人の力で埋め込むのはまず不可能。
 宇宙事業ほどの厳重で慎重なものなら尚更)、

学生達がいとも簡単にロケットを強奪・発射・操縦できたりするし、

さらに先生達は別のロケットに乗って追いかけてきたりするし、

ロケット強奪、発射までした青年達は特に責任を問われた様子もなく
10年後には普通に宇宙飛行士になっているし
(ロケット開発から打ち上げまでの費用を考えると100億円前後の損害、
勝手に発射したことでの安全面の責任追及を考えると、
とてもシャバで真っ当な生活を送れるとは思えない)、

・・・うーん、ホントにツッコミどころ満載過ぎ(汗)


「芝居の嘘だから」とか、「SFだから」とかで誤魔化せる範囲はとうに超えている。
こういう部分で嘘が多くなると、お客にはその世界は嘘の世界でしかなくなってしまい、
そこでどんなに登場人物が生の感情をさらけ出しても
それは陳腐な「嘘の世界の中の嘘の感情」にしか見えなくなってしまう。
これは非常に残念な点である。

実際、技量的にはまだまだ未熟な感はありつつも、役者の熱量は十分にあった。
シーンによっては心を揺さぶられた瞬間もあった。
それだけにストーリー上の嘘はとにかく消す努力をしてほしい。
安易な嘘はせっかくの熱演を簡単にダメにしてしまう。


良い部分はちゃんと持っている。
いまどき珍しいピュアな脚本ジャンルも嫌いではない。

若い劇団のようなのでこれからに期待したい。


 


相模舞台同盟 エン殺陣
「戦国夢絵巻・裏」

2012/07/22更新  ≪相鉄本多劇場≫ ≪相模舞台同盟≫ ≪2012/07

相模舞台同盟 エン殺陣 「戦国夢絵巻・裏」

【脚本・演出】
實方誠一郎

【キャスト】
佐藤麻実、谷生優子、柳沼慶樹、関根圭太、大畑美恩、中川真穂、遠藤正志、渡邊真衣、
藤本ゆき乃、成瀬優子、田部裕士、宮下真弥、神部姫乃

【日程】
2012年7月
21日(土)14:30〜/19:30〜
22日(日)14:30〜

【場所】
相鉄本多劇場

【チケット】
前売 2,500円
当日 2,800円

【公式HP】
相模舞台同盟公式HP

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昨年大好評だった、殺陣を主体とした作品構成のエン殺陣!
早くもこの第二弾が登場!
今回のエン殺陣イメントは戦国時代編の裏版!裏とは!?
戦国時代を嵐のように駆け抜けた一人の武将、織田信長!!
向かうところ敵なしであった織田信長の生き様、その姿を追いつづけ憧れ、
そして嫉妬と恨みをもった一人の男がいた。
その男が思いの果てにとった行動は…。

戦国時代編裏版、乞うご期待!!
しかも、相模舞台同盟がただの戦国時代編で終わるわけない!
いろんな裏を見せちゃいますっ!
こんな話、あんな話!そしてあの人の!この人の!裏!裏!裏!裏!
そんな楽しいステージも盛り込んで!エン殺陣第2弾[戦国夢絵巻・裏]!!

以上公式HPより転載。
まぁ、早い話がアクション中心のエンターテイメントってことですな。

内容は基本的に織田信長の戦の歩みを追っていて、
斉藤道三に同盟を持ちかけるところから本能寺で没するところまでを
アクションシーンを中心に描いていた。

「エン殺陣イメイト」なんて名乗っているとおり、とにかくアクションシーンの連続。
しかも大人数での立ち回りが非常に多く、よくぞここまでの手数を覚えれるものだと
冷や汗混じりに感心した。(゚Д゚ υ) 

しかもそのアクションのクオリティは確実に以前より進歩。
動きのメリハリ、殺気の有無などの点でまだまだという役者もいるが、
メインどころを張っている者はみな良い動きをしていた。
テンポの速い曲を多用して、しかもその音にしっかり合わせた動きになっていて
見ていて気持ちがいい。
このようにちゃんと進歩が見える劇団って良いね。

途中やラストにおまけ的に盛り込まれたコントシーンもおもしろく、
飽きずに楽しめた1時間45分だった。


欲を言えば1点、
オープニングのインパクト不足が気になった。

役者が一人ずつ出てきてちょっとした立ち回りを見せて自己紹介って流れなのだが、
体が温まっていないのか、曲合わせのせいなのか、
「殺陣」というより「ゆっくりとした舞い」って感じになっていて残念な仕上がりだった。
このオープニングでお客に「わぁ!スゲェ!」っていうインパクトを与えるかどうかで
その先の引き込まれ方が全然変わってくるはずなので、この点は本当に惜しいと思った。


固定ファン層も多そうで、神奈川では先の期待の持てるエンタメ集団。
更なる進歩を期待したい。


 

◎日々是劇評

劇場

APOCシアター
Art Theater かもめ座
KAAT 神奈川芸術劇場 ホール
KAAT 神奈川芸術劇場 大スタジオ
pit北/区域
RAFT @東中野
アサヒ・アートスクエア
アトリエだるま座
ザムザ阿佐ヶ谷
シアターコクーン
シアター風姿花伝
シリウス・ビー
すみだパークスタジオ
ラゾーナ川崎プラザソル
王子小劇場
下北沢 「劇」小劇場
下北沢 OFF・OFFシアター
下北沢 シアター711
下北沢駅前劇場
絵空箱
吉祥寺シアター
高円寺明石スタジオ
座・高円寺1
笹塚ファクトリー
参宮橋トランスミッション
上野ストアハウス
上野小劇場
新宿 スペース雑遊
新宿 紀伊国屋ホール
新宿サンモールスタジオ
新宿シアターサンモール
新宿シアターブラッツ
新宿シアターモリエール
新宿タイニイアリス
神奈川県立青少年センター ホール
神奈川県立青少年センター 多目的プラザ
赤坂レッドシアター
川崎H&Bシアター
浅草橋アドリブ小劇場
相鉄本多劇場
大倉山記念館 第四集会室
大和田伝承ホール
池袋 シアターKASSAI
池袋シアターグリーン BASE THEATER
池袋シアターグリーン BOX in BOX
中野HOPE
中野MOMO
中野ウエストエンド
中野ザ・ポケット
中野テアトルBONBON
東京芸術劇場 池袋シアターウエスト
東松原ブローダーハウス
日暮里 d-倉庫
八幡山ワーサルシアター
文京シビック小ホール
北池袋 新生館シアター
本願寺ブディストホール
夢の島公園 テント劇場
六行会ホール
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団体

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47ENGINE
613
8割世界
9-States
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aji
Broadway musical
CAP企画
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HIME企画
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MS2
Office Months
Oi-SCALE
OUT of WIT
Platform
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SORAism company
Studio D2
STUDIO HeadZ
The Dusty Walls
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ナイロン100℃
ネコ脱出
メガロザ
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劇団SSP
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劇団マチダックス
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相模舞台同盟
張ち切れパンダ
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東京都カリスマイル
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風雲かぼちゃの馬車
平熱43度
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流星揚羽
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