日々是劇評

関東圏内で観劇した舞台について率直に感想を書いています。
自分用の備忘録みたいなもんなんで遠慮なく辛口な批評もしています。

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劇団宇宙キャンパス 「メランコリーにさよならを」  @新宿シアターサンモール 2013/11/15
劇団宇宙キャンパス19th act 「つきあたりを見上げれば…」  @吉祥寺シアター 2013/04/10
劇団宇宙キャンパス 17th act 「さんせっとぶる〜っす!」  @Art Theater かもめ座 2012/04/01

※本文中に激しくネタバレ含みます!
 上演中の公演についてこれから観劇予定の方は閲覧ご遠慮ください。


劇団宇宙キャンパス
「メランコリーにさよならを」

2013/11/15更新  ≪新宿シアターサンモール≫ ≪劇団宇宙キャンパス≫ ≪2013/11

劇団宇宙キャンパス 「メランコリーにさよならを」

劇団宇宙キャンパス 「メランコリーにさよならを」

【作・演出】
小林ともゆき

【キャスト】
菊田健吾、キムラシゲオ、小林真弥、芳賀信吉、柳瀬翼、上岡一路、佐藤祐治、
弦巻秀人、平沢彩乃、石戸サダヨシ、田口暁子、平本佳奈、弥浦ちえ、小林ともゆき
安達あいら、一石よしふみ(Jackpot)、大田原りな、大多和愛子(FEVER DORAGON NEO/Media Factory)、
えんどうたいと、岡本弘実、梶慧(コントユニットT@kuma)、かわもとゆうき
かわらじゅん(オフィスジョイ)、岸本尚子(Eja9)、小林勝弥(薫風武隊)、
小春千乃、品川知美、鈴木俊哉、鈴木美穂(Eja9)、たかくえみ、田辺聖尚(ネオ企画)、
谷口洋行、玉渕正紀、チョンごうき(芝居集団Team-Jishin)、仲澤剛志、
二階堂南、原田絵理(劇団DarkMoon)、hirona.、美濃宏之(劇団東京ルネッサンス)、
みむらえいこ、宮崎優美、吉田弥生、渡辺早智子(企画ユニット・WIZ)

【スタッフ】
舞台監督: 丸山賢一
照明: 林一美(潟宴Cディング・タッチ)
音響: 石井宏幸
舞台美術: 鎌田朋子
振付: 矢野あずさ
演舞: CGO
チア指導: 弥浦ちえ
映像: 曾根久光(co:jin)
アクションコーディネート: 谷口洋行
ヘアメイク: 清水亜耶子
演出助手: 弦巻秀人、柾木元一郎(Teamトライデント)
制作: 平沢彩乃、島崎翼、山田杏子(鼬屋)

【日程】
2013年11月14日(木)〜11月17日(日)

【会場】
シアターサンモール

【チケット料金】
早割  4,000円
前売  4,500円
当日  4,800円
学生  2,000円

【公式HP】
http://uchucan.web.fc2.com/

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一世を風靡した3人組アイドルグループの元メンバーだったサエ。
グループ解散から20年後、彼女は定時制の高校に通っていた。

一方全日制では、1年生の良彦がちょうど応援団に入部をするところ。
部活としてはさびれてしまっていた応援団だったが、
良彦は溢れる熱意で他の団員を引っ張っていく。

そんなときに良彦は千華という女の子に出会う。
千華は全日制で同級生からの陰湿ないじめに遭い、
それを理由に内側に引き篭もってしまい、定時制に移動していた。
実直な性格の良彦の応援に、千華も少しずつ心を開き始める。

廃部を免れるためにチア部との共存を試みる応援団。
「あの人はいま」的なテレビ番組の企画を持ちかけてくる、
他の元メンバー2人とマネージャー。
それに悩むサエ。
定時制の学生たちが抱えるいろんな悩みとコンプレックス。
全日制、定時制それぞれ、彼らの日常が進んでいく。

しかしそんなとき過去に千華をいじめた主犯グループが、
再び千華に暴行を働いてくる。
応援団や定時制の仲間に助けられた千華は
塞ぎこんでいた自分とは決別し、前を向いて歩くことを宣言する。

そしてサエも前に進むことを決意。
番組の企画を受け入れ、ラストは応援団の一員としてみんなにエールを送る。
大団円。

幕。



まぁ、だいたいこんな感じのお話。
細かいエピソードはほかにもたくさんあったが、さすがに羅列するとキリがないので(汗)


うーん、なんか話が全体的に薄っぺらかった。


応援団を立て直すべく奮闘する良彦、
元アイドル特有の悩みを抱えるサエ、
いじめられたことで心を閉ざす千華。

これだけでストーリーの軸が3本あるのに、
そこに40人以上いる登場人物の細かいエピソードが
これでもかというぐらいに入ってくる。
2時間10分という限られた上演時間の中ではこれらは
それぞれかなり薄っぺらくなるし、煩雑でごちゃごちゃにもなる。

良彦に関して言えば、もっともっと不器用で泥臭く、人間臭くあってほしかった。
『前向きなんだけど、なかなかうまくいかなくて、がんばるんだけど、
 やっぱりいまにも挫折しそうで、もうダメだ・・・でも、頑張る!!』
みたいな、彼自身の人間性を掘り下げるドラマ描写がないので、
ただひたすらポジティブなことを無責任に連呼するだけの
オートマティック・ポジティブシンキング・マシーンみたいな印象を受けてしまった。

サエに関して言えば、アイドルを辞めてから現在までの描写が少なく、
いまいち彼女の悩みそのものがこちらに伝わってこなかった。
元アイドルってことに強いコンプレックスがあるようにも見えなかったし、
マネージャーへの恋心のエピソードも「ん?」って感じだし。
番組の企画を拒むこともそれほど嫌そうじゃなかったし。
彼女の悩みそのものがよくわからないため、彼女自身にもあまり共感できなかった。

ほかの細かいエピソードをカットしてでも
このあたりの描写を徹底したほうが作品としては良かったのではないだろうか。
キャストが非常に多く、客演が多かったようだから、
それぞれに出番を与えなければっていう事情も理解できなくはないが。
お客にとってはそんな事情は全く関係ないわけで。


あと様々な問題をセリフだけで解決している感が強かった。
良い音楽、良い雰囲気、良い吐き方で、良い内容のセリフを吐けば、問題が解決する、
なんだかそんな展開が多かったように思う。

基本的に人間が心を打たれるのは、「言葉」ではなく「行動」だと思う。
まぁ「言葉」も行動のひとつと言えなくもないけど。
誰かのカッコイイ言葉に、感動して共感して盛り上がってる集団。
その光景はやっぱり見ていて違和感があるし、気持ち悪い。
そんな簡単な問題なのかなぁって思ってしまい、それらに素直に共感ができないのだ。

こりっちの感想欄に
「定時制組が簡単に踊らされているのを観て、かなりのご都合主義」
というのがあったが、たぶんそういうことだと思う。
登場人物たちは「言葉」だけでホイホイ心を動かされていたが、
現実、人間の心ってそう単純なものではないはずだ。


そしてこれは好みの問題になるかもしれないが、
いじめっこグループの扱い方について。

『無理やり押さえつけて服を脱がし、裸を撮影してネット上に流す。
 さらに本人を自ら卑猥な画像をアップした痴女扱いして、彼氏とも別れさせる』
いじめの内容はレイプにも等しく、かなり卑劣である。

劇中で、もちろんこのいじめっこグループは「悪」として扱われているわけだが、
最終的にこの「悪」は、何の制裁も受けず、何の反省も見せず、悪態をついて去っていく。
いじめを受けた側だけが前向きになっても、何も問題が解決していないのだ。
彼らは明日からも面白半分で他人の尊厳を踏みにじり続けるだろう。
千華にも何かしら嫌がらせを続けるかもしれない。

世の中にはいろんな作品があって、もちろんそれら全ての作品の中で
「悪」という存在が必ず報いとして制裁を受けているわけではない。
だから「悪」が勝ち逃げするパターンが必ずダメというわけではない。
「悪」が残るバッドエンドが人の胸を打つ作品だって沢山ある。

しかしこの作品では、登場人物の中に親もいたし、先生もいた。
この状況でこれだけ卑劣な「悪」がお咎めなしで悠々と去っていくのは、やはり納得しづらい。
現実、いじめた側が常に成敗されている世の中ではないってのは理解しているが、
これだけエンタメ寄りの作品なら、もうちょっと違った結末を用意してほしかった。
話自体は温かみのあるエンディングであるだけに、この点だけがモヤモヤとして残って邪魔をする。


ラストのサエの応援コールや、母親のドアの前での応援、
カーテンコールで客席まで役者が入り込んでの応援は非常に良かったと思う。
「終わり良ければ全て良し」というのはあまりいい言葉ではないが、
このラスト部分の良さで作品全体が救われてる感じがする。



うーん、なんだかなぁ。

脚本、キャスト、舞台セット、照明規模、
どの点を見ても当日4,800円をとっていい作品ではない。
ここしばらく、作品の右下がり感がいなめない。

そもそもどうして今回サンモールでやったのだろうか?
今回の客席の埋めれてなさをみると、普段から客席数不足で悩んでいることはないだろうし、
舞台の間尺的にも、舞台セットの高さをもっと抑えて、
不要な端役を無くしてキャスト数を少なくすればどんな小劇場でだってできるだろうし。

詳しい事情はもちろん知るところではないが、
もし「劇団的に大きなホールでやってみたい!」程度の考えでサンモールを使い、
無駄にお客が負担するチケット代を跳ね上げているなら、
そんな考えはあらためてほしいものだ。


あと、当日パンフの中に劇団員募集の文言があったが、
その中にあった記述。

『今から始めたい方も大歓迎!宇宙キャンパスで一緒にお芝居を創りませんか?
 経験は問いません。必要なのは、やりたい!!という強い意志!!』

ママさんバレーサークルの募集要項じゃないんだから。
チケット料金4,800円とる集団が口にしていい文言ではないだろう(苦笑)
自分は、未経験のやる気にだけ溢れた素人の芝居を4,800円出して観る気はない。
だったらもう1,400円出してディズニーランド行って1日楽しんでくる。


まぁ、それなりに辛辣なことを書いてしまったが。

作品の当たり外れは、たとえ有名劇団であろうとよくある。
しかし、ここしばらくの長いハズレ続き、チケット代の鮮やかな右肩上がり、
パンフのアマチュア感丸出しの劇団員募集文言。
これらのことが気になって、ちょっとキツイことを書かせてもらった。

個人的には20回も公演打ってきたような中堅劇団には
いつまでも元気であってほしいと思っている。
団体としての右肩上がりを常に目指し続け、そして結果を出してほしい。

次に期待。


 


劇団宇宙キャンパス19th act
「つきあたりを見上げれば…」

2013/04/10更新  ≪吉祥寺シアター≫ ≪劇団宇宙キャンパス≫ ≪2013/04

劇団宇宙キャンパス19th act 「つきあたりを見上げれば…」 劇団宇宙キャンパス19th act 「つきあたりを見上げれば…」

劇団宇宙キャンパス19th act 「つきあたりを見上げれば…」

【作・演出】
小林ともゆき

【キャスト】
A日程
佐藤祐治、小林真弥、柳瀬翼、芳賀信吉、 石戸サダヨシ、脇本昌彦、キムラシゲオ、
平元佳奈、塩崎こうせい(X‐QUEST)、大多和愛子(FEVER DRAGON NEO / MediaFactory)、
玉渕正紀、かわもとゆうき、立石亮、かわらじゅん(オフィスジョイ)、宮崎優美、
吉田弥生、SUMIO(Re:Play)、品川知美、神越夢美子(ベストポジション)、
えんどうたいと、谷口洋行、鎌田英幸

B日程
菊田健吾、キムラシゲオ、上岡一路、弦巻秀人、田口暁子、平元佳奈、
大田原りな、柳橋龍、岡本弘実、一石よしふみ(JACKPOT)、
美濃宏之(劇団東京ルネッサンス)、安見謙一郎(UDATSU)、矢野和明、
弥浦ちえ(BuddySystem)、田代ナオ(帝京大学ヴィクセンズシアター)、
吉村和紘(潟}ック・ミック)、尾鷲知恵(マグネシウムリボン)、
仲澤剛志、渡辺ルナ、小林勝弥(薫風武隊)、鈴木俊哉、
山本ともだち(バッカマンズ)

【日程】
2013年4月4日(木)〜10日(水)
全10回公演

【会場】
吉祥寺シアター

【チケット料金】
前売り券 3,000円
当日精算券 3,300円
当日券 3,500円
学割 2,000円(高校生以下・要学生証提示)
リピーター割引 2,000円(半券持参)

【公式HP】
http://uchucan.web.fc2.com/

==========================

とある繁華街の隅にたたずむ寂れた喫茶店でのお話。
そこはグータラな従業員たちが働いていて、
訪れるお客もゲイバー務め、売れない芸人、ギャル、キャバ嬢、ヤクザなど
一風変わった人種ばっかり。

お世辞にも喫茶店として立派とは言い難いお店だったが、
みなそれなりに楽しくドタバタの毎日を送っていた。

そこにタチの悪いホストとそれに騙されているキャバ嬢がやってくる。
そのキャバ嬢の友人が彼女をなんとか助けてほしいと訴え、
店員とお客みんなで協力、うまく解決する。

また平穏な日常が流れるかと思いきや、
そこにお店をカジノにするために別の大物ヤクザが乗り込んでくる。
すでにオーナーとは話がついていて、喫茶店の閉店を強要されてしまう。
店を愛している店員と客はなんとか店を守ろうと画策するが、
結局はうまくいかず、店のケツもちヤクザが大物ヤクザを殺害(?)してしまう。
店は結局閉店へ。

しかしそれから幾らかの時が過ぎ、また新しくお店を開くことに。
懐かしのメンバーが集まっていい感じで大団円。


まぁ、流れとしてはだいたいこんな感じのストーリー。


いくらなんでも脚本が陳腐すぎると思った。
プロット書いてんのかなコレ。
いきなり頭からノープランで書き出したような陳腐さ。

20人以上も登場人物がいるのに人間関係の描写は浅く、
おもしろおかしい人達とりあえず並べてみましたって印象を受けた。
放り込んでくるネタも、ややウケかスベッてるものが多くてイマイチ。

前半のキャバ嬢を救う話と後半の乗っ取り騒動が完全に独立してるのも違和感があった。
2つのエピソードが全く連携していなくて、2本立てオムニバス公演見せられた感じ。
こんなだったら、どっちかに絞って膨らませたほうが良かったのではないだろうか。
要素を詰め込みすぎてグダグダになってる失敗はいっぱい観てきたが、
エピソードの連携が全くなってなくてグダグダになってるパターンは珍しい。

あと主人公のマサキに全く共感できなかったのが痛い。
「頭が良くなくてむこう見ずで自分の信じたことに真っ直ぐ突き進む」ってだけならいのだが、
そこに「身勝手さ」と「都合の良さ」と「思いやりのなさ」が入っているため、
どこからどうみても完全にゆとり全開の「ヤな奴」でしかないのだ。
状況を読まずにあれは嫌だ、これは嫌だ、って反抗ばかりしていて、
でも行動は人頼みで自分自身の力ではなにもしない。
そんな人間ががラストシーンでどんな素晴らしい独白をしたところで
お客はシラけるばかりだ。


そしてラストシーン。
なんであっさりお店復活・・・?

あれだけ悲壮感たっぷりに解散していったのに。
何か大事なセリフ聞き漏らしたのかなと思ってこりっちの感想を眺めてみたが、
やはり皆同じような印象を受けていた。

2時間超えで、正直削れるシーンも多かったのに、なんで結末がこんな描写不足なんだろうか。
この理不尽なハッピーエンド、登場人物がテンション高く喜べば喜ぶほど
こちらにはキツネにつままれたような後味の悪さが・・・。

しかも後から知ったのだが、この作品は再演らしい。
もし初演でもラストシーンが同じ展開だったのであれば、
アンケート等で同じような否定的な意見がいっぱい寄せられていただろうし、
脚本家以外の劇団メンバーもこの部分に疑問を持たないわけはないと思うのだが。
再演なのに何も練らずにこれを提出してきたのであれば、劇団としての在り方に失望する。

さらに厳しい言い方になるが、そもそもこの脚本、全体的なクオリティが低過ぎる。
はっきり言ってこの本は「再演するに値する本」でないと思う。
なぜ再演しようってことになったのだろうか。


店長役や、ヤクザの兄貴分のほう(ケツ持ち側と広域側の両方とも)あたりは
個人的にその演技に好感を持てたし、
セットは豪華で、オープニングの映像と役者のコラボも良質。

良いところもあっただけに余計に残念に思う作品だった。


 


劇団宇宙キャンパス 17th act
「さんせっとぶる〜っす!」

2012/04/01更新  ≪Art Theater かもめ座≫ ≪劇団宇宙キャンパス≫ ≪2012/04

劇団宇宙キャンパス 17th act 「さんせっとぶる〜っす!」

劇団宇宙キャンパス 17th act 「さんせっとぶる〜っす!」

【作・演出】
小林ともゆき

【キャスト】
◆AB共通
小林勝弥(薫風武隊)、石戸サダヨシ

◆A
小林真弥、柳瀬翼、菊田健吾、弦巻秀人、脇本昌彦、佐藤祐治、原田絵理(劇団DarkMoon)、
山本ともだち(D→Style)、高橋千夏、弥浦ちえ(Buddy System)

◆B
キムラシゲオ、芳賀信吉、上岡一路、福澄亜紀子、小林ともゆき、児玉尚幸、
玉渕正紀、和田元気、田代ナオ(帝京大学演劇部ヴィクセンズシアター)、安達あいら

【日程】
2012年
3月28日(水)〜4月1日(日)

【場所】
Art Theater かもめ座 

【チケット】
前売2,800円、当日3,000円

【公式HP】
http://uchucan.web.fc2.com/

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場所はとある車メーカー工場の独身社員寮の売店スペース。
真面目で口うるさい寮長、腕っ節の強いベテラン、見栄っ張り、風俗好き、
ヤンキー新入社員(実はフリ)、努力しないミュージャン志望、
ノーテンキな中国人、などの個性的な社員たちと、
売店の姉ちゃん、本社社員、BL好き女子高生が繰り広げる日常の物語。
寮長が退職したり、ミュージシャン志望の社員が事故で指を失ってしまったり、
いろんな出来事を経て、それぞれが自分の人生を模索していく。
そんな感じのお話。

何かに対して夢を持って取り組んでいるか、
夢持たないまま楽しむのはダメなのか、
そんなテーマを登場人物たちの会話の中に盛り込んでいる。

だがそのテーマも押し付けがましい感じはなく、
ナチュラルにこそっとこちらに染み込むように伝わってきてくれて好感が持てた。
芝居のメッセージ性って、これぐらいのレベルにしてくれたほうが見てて気持ちいいね。

シチュエーションも話の展開も素直に作られていて
見終わった後はほっこりできる感覚があって楽しめた。
そのへんはさすが10年以上やってる劇団だなってところ。


ひとつ気になったのは騒がしさ。

小屋のサイズに対して役者の声量のレベルがとても大きかったので、
日常会話シーンがものすごく不自然に見えてしまっていた。
冒頭からずっとそんな調子で、話に入り込む上では大きな障害に感じた。

さらには大人数で騒ぐシーンになると自分の声をかき消されまいと力が入るのか、
その役者たちの声のボリュームはさらにUP。
セリフを被せまくっている構成になっていたのもあって、すごく見辛く聞き辛い。
大学生が居酒屋でギャーギャー騒いでいるような、見るに耐えない絵面になってしまっていた。
しかも劇中そんなシーンが非常に多いのだ。
うーん、もうちょっと整えて「魅せれる騒がしさ」にしてほしかった。


劇団の目指しているカラーとは違うかもしれないが、
個人的にはもうちょっと写実的に作ってみたら面白いかもと思った。
セリフをポンポン速いペースで投げ合っての1時間45分の芝居だったが、
もうちょっと間を大事にした2時間の芝居にしてもいいと思う。
実際、なんでその会話を早口でリズミカルに投げ合っちゃうの、みたいなシーンは多かった。

脚本的には会話劇だけで十分に見せれるようなお話だったし、
笑いもエンタメエンタメしているより、会話の妙で笑わせても良かったのでは、と。
そういう演出バージョンも見てみたい。


・・・あとこれまた個人的な意見なのだが、
もし「誰もが憧れるアイドル系美少女」の役を演じる女優がブサイクだったとき、
自分は光の速さで冷める人である。
(松尾スズキもそんなようなことをコラムで書いていた)

なんと今回は珍しく逆パターンで、
「女として頭数に入れようもない、口うるさい乱暴なババア呼ばわりされる女性」を
普通に綺麗な女性が演じていたのだ。
(自分はAキャスト版をみたが、Bキャスト版のほうをネットでチェックしてみるとこちらも綺麗な人)

まぁ、「美人役をブサイクな女優が演じる」に比べるとダメージははるかに少ないのだが、
登場人物たちにこれでもかというぐらい女扱いされないシーンがあったため、
やはり劇中での違和感はかなり大きかった。

個人的にはこのへんの違和感もなんとか排除してほしい派です。
このあたりのことツッコむといろんな物議を醸しそうでアレだけどもね(笑)
あ、ホントあくまで個人的意見なんで、失礼に感じた人いたらスイマセン。


 

◎日々是劇評

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