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STUDIO HeadZ 8月公演 「鴉命(ウンメイ) 言葉と景色と色の中に」 @高円寺明石スタジオ 2012/08/21
※本文中に激しくネタバレ含みます!
上演中の公演についてこれから観劇予定の方は閲覧ご遠慮ください。
STUDIO HeadZ 8月公演
「鴉命(ウンメイ) 言葉と景色と色の中に」
2012/08/21更新 ≪高円寺明石スタジオ≫ ≪STUDIO HeadZ≫ ≪2012/08≫
STUDIO HeadZ 8月公演 「鴉命(ウンメイ) 言葉と景色と色の中に」 【脚本・演出】 Yukey-A 【キャスト】 <Aキャスト> 堀米慎、大部恭平、佐藤文彦、松藤拓也、木村峻、山本恭平、丸尾将也、佐藤祥太、塩島弾、 浅野東(フレンズプロダクション)、早島敦也(劇団ORIGINAL COLOR)、 井上直輝(企画ユニット KAMAYAN)、加藤淳、下祐平、前田大志、前田裕己、 若林康路(劇団NoN-SpoiL)、須藤勇輝(アルファコア) <Bキャスト> 新井惟、三浦恵莉香、久田幸恵、川島唯、宇都恵利花、三輪紋子、ゆいともえ、赤月茜、 小澤知佳、小出美紀(EARLY WING)、小林美歌(アトム座)、理沙(STAR)、山田志保、眸、 岩崎奈菜(アルファコア)、加順遥、森下理沙(スピカエージェンシー/電脳シロアリ・プロジェクト) 【日程・会場・チケット】 <東京公演> 高円寺明石スタジオ 2012年 8月16日(木)18時半A 8月17日(金)18時半B 8月18日(土)12時A / 18時半B 8月19日(日)12時B / 17時A 前売 3,000円 当日 3,500円 <札幌公演> 札幌シアターZOO 9月1日(土)13時 / 17時 前売 2,000円 当日 2,500円 【公式HP】 STUDIO HeadZ 公式HP ============================ ひとつの公園内で起こる4つの話のオムニバスのような構成になっていて、 それぞれの運命をカラスなる異質な存在が傍観しているお話。 1.自分が目を離した隙に弟がさらわれて死んでしまったことを後悔し続ける少女と それが気になった少年、その友達、少女の父親の物語 2.二人の女性とそれを弄ぶ浮気男、そして女性を追いかけるストーカー男の ドロドロの愛憎劇 3.歌手の夢を追うあまり悪徳プロダクションに体を売ることになってしまう少女、 その友人、悪徳プロデューサーと仕事に疑問を抱く部下の話 4.水商売に染まり自分の笑い顔さえ忘れてしまった女性と その友人、田舎の幼馴染の話 2、3、4、は登場人物全員が死んでしまうという悲惨な結末に。 カラスはそのたびに悲しそうに歌う。 最後のまとめになる1では救いがあり、 過去を悔やんでも仕方ないという前向きな気持ちになって万事解決。 あまりにもざっくりだが、おおまかにはそんな感じのお話だった。 ・・・うーん、キツかった。 役者はかなり若い者ばかりで、みんな演技も歌もダンスも技量不足。 声量は小屋のサイズに見合っていない役者が多かったし、 台詞の表現ももう棒読み同然の者が半数を占めた。 歌は素人の自分でもわかるぐらい音程もリズムも外れているときが多くあったし、 ダンスはお世辞にも揃っているとは言い難い。 まぁ若い役者の集まりだし、芝居の熱量はあったのでそのあたりは大目に見ようと思うのだが、 いかんせん何とも許容しがたいのが脚本・演出である。 まずカラスの存在。 タイトルも「鴉命」、オープニングの群唱でもカラスについて仰々しく語っているのに 芝居中の役割がただの傍観者というのは一体何なのか。 登場人物のやりとりに対して極めて人間的な安いリアクションをしているため 特別な存在感も感じず、ただのデバガメの人にしか見えなかった。 最後までシーンの切れ目で同じ歌をひたすら歌うだけのヘンな人。 次に全員死亡する悲劇の3連発。 「悲劇を続けておいて、最後の1の話も悲劇になると思いきや・・・」 みたいなのが狙い? しかしひとつひとつの話のクオリティが低すぎて、コントにしか見えなかった。 話は何十年も前からよく見かけるよねってぐらいにベタなものばかりだし、 つっこみどころがあまりにも満載すぎる。 一目でおもちゃの引っ込むやつってわかる小道具のナイフ、 爆弾持ってるストーカーに「やめてー!」って言ってわざわざかぶさりに行く女性、 タレントが用済みになったらポンと拳銃取り出して始末しようとする悪徳プロダクションの人、 それを阻止するためにこれまたポンとバッグから拳銃出す部下の人。 友達が薬で自殺したら、その場でそれを追いかけて一緒に死ぬ友人と田舎の幼馴染。 刃物と爆弾と銃と毒薬が飛び交って、こぞってみんな死んでく、 なんてデンジャラスな公園。 いわくがつきすぎて閉鎖んなるわそんなとこ(笑) やってることが安っぽい上にムチャクチャ過ぎる。 あとどのシーンでもほぼ誰かが覗き見をしているってのがシュール過ぎ。 しかもどう見てもその位置は見つかるよねって場所に隠れてるし。 「そこは芝居の嘘」なんて言葉でごまかせるレベルをはるかに越えているよ(笑) そしてラストの全ての役者が登場してのダンスシーン。 最後、1の話でたしかにハッピーエンドにはなったが、 それ以外の悲劇で無残な死を遂げたメンバーが満面の笑みで踊っているのは かなり違和感があって気持ち悪かった。 オープニングダンス、芝居本編、エンディングを通したテーマがさっぱりわからない・・・。 全体を通してみたとき、とにかくマイナス方向に気になる部分が多すぎた公演だった。 前売3,000円、当日3,500円取っていいクオリティにはほど遠いと言わざるを得ない。 発表会の域を出ていない。 あと公演そのものの話とはズレるのだが、公式HPの公演特設ページもひどい。 まず黒背景に濃いグレーの文字色を選択する神経がわからない。 ダブルキャストのはずなのにその旨はどこにも書いていないし、 メンバーのチーム分けも、どの日程がどのチームの回かも記載がない。 土曜15時っていう存在しない日程も誤掲載されているし、 「※両方、地図入れてもらえる?」っていうメモ書きみたいなものまで残っている。 会社概要ページのテキトーさや、プライバシーポリシーの内容もひどい。 お客を見据えたモノ作りのプロとして、意識が欠如しているとしか思えない出来。 公演うんぬんの前に、こういうところから何かズレてしまっているのは正直悲しい。 ・・・いろいろ厳しいことを書いた。 おそらくこの記事は関係者の目にも止まり、ショックや憤りを与えてしまうであろう。 しかし一人の観客として見て、自分が正直に思ったことを書いている。 誹謗・中傷の意図は全くないことは信じてほしい。 こういう感想を持った人間がいたという事実だけはちゃんと受け止めてほしい。 それを踏まえた上で、次回、次々回と成長した姿を見せてほしいと願う。 表現者がそういう姿勢を失えば、業界は着実にお客を逃がし、 衰退していくだけでしかないのだから。