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天才劇団バカバッカ vol.12 「ザ・ランド・オブ・レインボウズ」 @六行会ホール 2013/12/11
※本文中に激しくネタバレ含みます!
上演中の公演についてこれから観劇予定の方は閲覧ご遠慮ください。
天才劇団バカバッカ vol.12
「ザ・ランド・オブ・レインボウズ」
2013/12/11更新 ≪六行会ホール≫ ≪天才劇団バカバッカ≫ ≪2013/12≫
天才劇団バカバッカ vol.12 「ザ・ランド・オブ・レインボウズ」 【脚本】 ゆるボーイゆるガール 【演出】 桐野翼 【キャスト】 木村昴、野村龍一、原将明(トムハウス)、市川欣希、レノ聡、熊野直哉、篠原正明(ナカゴー)、 ZiNEZ、KAIRI(from FOLK:LORE)、雷斗(S'cLean)、田村将一、田部圭祐、東慶光、 岸本学、長谷川弘、加瀬太喜、前川昂哉、大泉一旗、津村録太郎、 まつながひろこ(スターダストプロモーション)、池田裕子(ヒラタオフィス)、 中村知世(アワーソングスクリエイティブ)、津賀保乃、京香(ホリプロ)、 金野美穂(ポニーキャニオンアーティスツ)、綱島恵里香(サンズエンタテインメント)、 宇野なおみ、佐藤シャミーナ、横内のぞみ、海口ゆみ、堤もえ、脇田美帆、 山藤桃子、安藤紫緒(スターダス・21)、紗弓、木村飛鳥、岩尾由美子、 木村萠子、中原紫帆 【スタッフ】 舞台監督: 井関景太、村上洋康 美術: 原田愛 照明: 山内祐太、江森由紀 音響: 高橋真衣 音楽: 小澤時史 振付: 下司尚実、近藤彩香 衣装: 田村五月桃、山下桃世 映像: 松澤延拓 撮影: 大竹正悟 デザイン: 柴山修平 特設サイト: ヒロセミサキ アクション指導: 白倉裕二 制作: 吉田千尋、ひかり 企画・製作: 天才劇団バカバッカ 【日程】 2013年12月11日(水)〜12月15日(日) 【会場】 六行会ホール 【チケット料金】 前売 3,500円 当日 3,800円 平日マチネ割 3,300円 学割 1,500円 【公式HP】 http://www.t-bakabakka.com/ ========================================== 小さな映画製作会社が社運を懸けて手がける大プロジェクト。 それは江崎幸男の作品「虹の国」を日米合同で映画製作するもの。 しかしのっけから主演を務めるはずのウイル・スミスが降板、 代役には何故か白人のバスケットボール選手がやってくる。 スポンサーはムチャクチャな要望を出してくるせいで脚本はむちゃくちゃになるし、 脚本担当者は私情で勝手にヒロインを増やしたりで、 映画は最初の原案はどこへいったのというぐらいにムチャクチャな方向へ。 しかしそうやってできた作品も、自分達の想いによってできたもの。 「虹の国」を撮るにはまだまだ自分達が未熟だったと悟る。 出来上がった「虹の国」はその年の最低映画賞を受賞してしまう。 しかに皮肉なことに映画製作過程を追ったドキュメンタリーは大ヒット。 映画製作会社はなんとか存続できることになる。 めでたしめでたし。 超々ざっくりすぎてアレだが、まぁだいたいこういう筋のお話。 上演時間は1時間45分ぐらいかな。 内容は、うーん。 緞帳が上がると、まず始まるのは自己紹介の歌。 ここでいきなりポカーンとしてしまった。 「自己紹介の役割を持った歌」ではない。 曲のワンフレーズを使って1人ずつ名前と役割を説明する、 本当にガチの「自己紹介の歌」なのだ。 劇中の表現にて、場の状況やそこにある人間関係を伝えていけばいいのに、 オープニングに箇条書きみたいな人物説明を歌でぶっこんでくる、 そのセンスに全く共感できない。 だったらパンフに人物説明でも人物相関図でも掲載しておいてくれたほうがまだいい。 しかもその後すぐ続くのは、プロデューサーのテンパりソング。 幕開けからおふざけ曲が2連発。 もう序盤から気持ちが切れてしまった。 それ以降、ちょくちょく歌が入ってくるのだが、 目を見張る歌唱力を持つ役者は1人だっていないし、 役者は口パクで事前録音した声に頼っている部分も多数。 ピンマイクは一切使用せずに、全部ハンドマイクでやるもんだからマイクの手渡しが見苦しい。 「あんなどうでもいいところは歌うのに、 なんでここは歌わずに台詞の独白?こここそ歌じゃない?」 みたいに感じるところも多くあった。 特に後半は、もう歌挿入するのめんどくさくなったのかな、ってぐらいに歌がない。 この団体は「劇中で歌う」ってことについて、いったいどういう意識でいるのだろうか? 盛り上がるから?楽しいから? きちんとしたミュージカルを観ればわかるように、歌に入るためには必ずそこに動機がある。 その動機が作れてないから、どうしても「とりあえずここ歌ってみました」程度に見えてしまうのだ。 これではただの舞台を使ったカラオケ大会になってしまう。 あとストーリーが・・・なんか納得いかない。 映画を作っていく上でトラブルが頻発、 しかもそれは役者・スタッフそれぞれの身勝手さが主な原因。 結局ダメな作品が出来上がっちゃった! ・・・そこまでは別にいいのだが、 それをプロデューサーが「これはこれでみんなの想いが詰まった作品だ」って言って、 なんだか良い感じの雰囲気にまとまってチャンチャンってのが、ちょっと(汗) スポンサーが横暴な注文つけてきて、それに製作側はハイハイ従って、 脚本家は自分の狙っている子のためにヒロイン追加して話壊して、 顔怪我するのがNGだから足しか狙わないというおかしなアクションシーンをやって、 禁じている社内恋愛を破ったカップルは作品の中でイチャイチャして、 これのどこが「みんなの想いが詰まった作品」なのか。 「作品のことなんか微塵も考えずにそれぞれが好き勝手やった結果」でしかないはずだ。 正直この展開には違和感以外に何も感じることができない。 あと細かいけど、さっきまで「監督史上最高のカットが撮れた!」って喜んでた監督が、 5分後には「ふざけた脚本にしやがって!」みたいに脚本家に怒ってるのはナンなの(苦笑) 満足してたんちゃうんかい(笑) 演出面もなんだか。 舞台上に人が残っていることが多く、照明で切ってシーンを展開しているのだが、 ピックアップが当たっていないモブと化してる人の動きが非常に目立つ。 あの人数が舞台上に同時に存在していて、 ピックアップでない人も常に何かしら動いてるってのは、お客にとって結構うっとおしいのだ。 あきらかにフォーカスを奪うような共演者殺しの動きをしている役者もいたし。 あと客席後方から報道陣がインタビューするって手法、ビミョーかと。 だって実生活でそんな視点に立つことないでしょ、インタビュアーとその対象に挟まれるって。 客席後方からインタビューの声を飛ばすことで何を表現したかったのか、さっぱりわからない。 ウィル・スミスオーディションのときもそう。 特に客いじりするわけでもないのに客電をつけるってどういう演出意図なのか。 客席が明るくなったのに、特に客席では何も起きずにまた照明が落ちる。 こちらとしては、なんだか客席にいてスベらされたみたいで気持ちが悪い(苦笑) 役者は全体的に演技がくどいかも。 句読点で息継ぎが多いし、動きもオーバーアクションが多いので、 かなり会話テンポが悪くてシーンがもっさりする。 カーテンコールで木村昴が見せてくれた速度の1歩手前ぐらいの塩梅でダァーッと演じて、 全体として10分ぐらいタイムを縮めてくれたほうが作品にハリが出ると思う。 ボイパやブレイクなどのパフォーマンスは素晴らしかったと思う。 ああいう常人には出来ない事をビシッっと見せてくれると、こちらはテンションが上がっていく。 逆に言うとそこが一番劇中で心が動いた部分だっていうのは、作品としては悲しいことだが。 本編からちょっと外れたオマケ部分のパフォーマンスだしね。 これぐらいのクオリティのものを本編でも見せてくれていたらなぁ。 うーん、パンフに「こんな劇場で公演できるなんて」という主宰の言葉があったが、 正直言って六行会ホールはまだ身の丈及ばずだと思う。 実力不足で大きな劇場押さえて、かかる費用はチケット代にてお客負担、なんてスタンスでは、 いずれお客に見放されてしまうだろう。 まだまだ若い劇団。 せっかくジャイアン声優という花形がいるのだから、 飛び級なんかしようとせずに、一歩一歩地力を高めながら前に進んでほしい。 次に期待。