日々是劇評

関東圏内で観劇した舞台について率直に感想を書いています。
自分用の備忘録みたいなもんなんで遠慮なく辛口な批評もしています。

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IQ5000 「Start Last 〜くすしきちきゅう〜」  @中野ウエストエンド 2013/11/30

※本文中に激しくネタバレ含みます!
 上演中の公演についてこれから観劇予定の方は閲覧ご遠慮ください。


IQ5000
「Start Last 〜くすしきちきゅう〜」

2013/11/30更新  ≪中野ウエストエンド≫ ≪IQ5000≫ ≪2013/11

IQ5000 「Start Last 〜くすしきちきゅう〜」 IQ5000 「Start Last 〜くすしきちきゅう〜」

IQ5000 「Start Last 〜くすしきちきゅう〜」

【作・演出】
腹筋善之介

【キャスト】
朝田博之、アフリカン寺越、五十嵐聡子、大友美香子、久保田寛子、佐治彩子、
ドン・タクヤ、巴里マリエ、べっち。、マット前転、渡部愛、石谷力(IQ2500)、
大西俊貴(IsLand☆12)、奥田美樹(IsLand☆12)、腹筋善之介

【スタッフ】
舞台監督: 土井歩
照明: 島田康和(S.P.C)
音響: 齋藤瑠美子
衣装: 井形紗代子
写真撮影: 石澤知絵子
宣伝美術: 神野晋一(analogengine.jp)
制作: オフィスIQ5000、井上信、Little giants
企画・製作: オフィスIQ5000

【日程】
2013年11月27日(水)〜12月1日(日)

【会場】
中野ウエストエンド

【チケット料金】
前売  3,000円
当日  3,200円
関東圏外割引 1,500円
学割  1,500円

【公式HP】
http://iq5000.com/

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舞台は2211年、地球に大きな彗星が接近していた。
人類は全ての宇宙船を集結させ、彗星の軌道を反らすように試みる。

地上のスタジオでは36時間テレビの生放送が始まろうとしていた。
過去の英雄であるホワイトバード号のクルーをトークゲストに呼んで、
彗星軌道変更作戦の様子を中継する企画だ。

ホワイトバード号の艦長であるサイモン・ゲイルたちの昔話が始まる。
1967年のジェミニ13号での事故、そこからの一か八かの冷凍睡眠。
2170年に無事回収されてからの、自分達のDNAを巡っての弾圧的な裁判。
火星反乱軍のチョウ・アベルの侵略とその阻止。

昔話が盛り上がりを見せたところで、彗星に向かった艦隊からの緊急通信が入る。
彗星のエネルギーは膨大で、なんと艦隊は全て彗星に飲み込まれて全滅してしまった。
その際、彗星の軌道は少しだけ動いたが、それは地球にとって危険な軌道。

生放送は中止になった。
地球に残された宇宙船はホワイトバード号のみ。
元ホワイトバード軍のクルー達は再度集結し彗星へ向かって宇宙へ飛び立つ。

しかし彗星の圧倒的なパワーの前に成す術のないクルー。
サイモンは神が創った「くすしき地球」の持つ運命を信じ、
彗星の軌道を元のとおりに戻す作戦を試みる。

作戦に成功し、彗星の軌道は元に戻り、信じたとおり地球は救われた。
しかし限界を超えたホワイトバード号も爆発寸前。
クルーはそれぞれ死を覚悟する。

しかしそこで過去に生き別れるていたアンドロイドたちの助けが入る。
地球に戻るエネルギーがなくなり再び宇宙の果てへ飛んでいく彼らの船で、
クルーはまた再び長い冷凍睡眠に入ることになる。
くすしき地球を眺めながら。

幕。


だいたいこんな感じのSF話。
上演時間は2時間10分ぐらいかな。


序盤は思い出話として、過去のエピソードをひたすら語るシーンが続いた。
説明ゼリフも多く、かなりしっかり話を聞いていかないと置いていかれてしまう。
しかし頑張って話についていったと思ったら、

「はい、この話おしまい、次のエピソード」

って感じで、また時系列が飛んだ別の話題になってしまうので、
正直序盤は見ていて疲れてしまった。
純粋にそこで起きていることを楽しむ余裕がないというかなんというか。

中盤、DNAのプールの演出あたりから「おおっ」というシーンが増えて
楽しみながら前のめりで見れるように。
周囲のお客さんの空気もだいたいそんな感じだったと思う。
こういう「掴める」シーンをもっと序盤から詰め込んできたらよかったかも。

この劇団の得意とする身ひとつで行う演出法、
(テレビ的にカメラアングル回したり、人がクロスすると場転するやつ)
それが今回はだいぶ封印されていた感じがあったが、なぜだろうか。
普段はあの見事な演出法に「おおっ」と思わされて、
次は何が起きるんだろうと、どんどん作品の次の瞬間に期待を寄せて話にのめりこんでいくのだが。


終盤は、映画「アルマゲドン」的な地球のために特攻ってスジの展開。
過去の思い出話部分で各クルーの人物像を相当掘り下げてきているので、
その彼らが命を投げ出して作戦に望む姿はやはり心を打つ。

白鳥副艦長を私情で拘束していたホリー・デンソンロー、
過去の反乱の重責者であるチョウ・アベルが船に乗り込んで作戦に同行するのは
ちょっとご都合主義かなと思ってしまったが。
出演する全キャストをあのシーンに出したいのはわかるが、
個人的には彼らは地球に残ってエールだけ送る立場でいてほしかった(笑)

ラストが再び冷凍睡眠で、友人や家族からの音声メッセージを聞きながら眠りにつくってのはニクイね。
冒頭で全く同じシーンをやっているのだが、
無感情なアンドロイドによるシンプルな音声メッセージの再生。
登場人物のバックボーンが完成しているため、これがガツガツ心を揺さぶってくる。
非常によくできたラストシーンだと思う。


役者的にはバーラウンジ担当のパープルが目を引いた。
彼女がしゃべると不思議と空気が引き締まる。
声優的な上手さになるのだろうが、舞台でもこういう存在は貴重。


全体として非常に洗練された良い作品だと思う。
ただ、ラストで感動できるか、それとも大感動できるかは人次第かも。
中盤までの早口のめまぐるしい展開と膨大な情報量に耐えられるかどうか。
それにより全体の評価に大きな差が出そうな気がする。

また次に期待。


 

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