日々是劇評

関東圏内で観劇した舞台について率直に感想を書いています。
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A・M・D企画第22回公演 「若狭姫物語 〜種子島から未来へ〜」  @池袋シアターグリーン BOX in BOX 2013/11/17

※本文中に激しくネタバレ含みます!
 上演中の公演についてこれから観劇予定の方は閲覧ご遠慮ください。


A・M・D企画第22回公演
「若狭姫物語 〜種子島から未来へ〜」

2013/11/17更新  ≪池袋シアターグリーン BOX in BOX≫ ≪A・M・D企画≫ ≪2013/11

A・M・D企画第22回公演 「若狭姫物語 〜種子島から未来へ〜」 A・M・D企画第22回公演 「若狭姫物語 〜種子島から未来へ〜」

A・M・D企画第22回公演 「若狭姫物語 〜種子島から未来へ〜」

【作・演出】
荒木太朗

【キャスト】
栞菜、大縄みなみ、友寄有司、大田レオン、赤沼正一、天野きょうじ、
井上貴博(TEAM the ROCKETS)、本田和大、渋木美沙、鶴見和也、鳥羽まなみ、
宮平もりひろ、チング・ポカ、平河富士雄、岡野佐多子、立花弘行、
宮城マリオ、長谷妙子

【スタッフ】
舞台監督: 高橋文章
照明: 佐瀬三恵子
音響: 菱田雅樹
楽曲: 美川奈穂
美術: 室康徳
特殊美術: 田染友秀
宣伝美術: 深田デザイン事務所
制作: 荒和彦
制作助手: 山田栄子・小野義昭
企画製作: A・M・D企画

【日程】
2013年11月13日(水)〜11月17日(日)

【会場】
池袋シアターグリーン BOX in BOX

【チケット料金】
前売  3,700円
当日  4,000円

【公式HP?】
http://www.the-rockets.jp/

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舞台は東京蒲田の日高ネジ工務店の事務室。

そこに勤務する日高社長の娘・和美は
過去アメリカ留学中に銃乱射事件で恋人を失っており、
そのトラウマで殻に閉じこもっていた。
銃の存在そのものを強く憎み、種子島の世間話にも嫌悪感を抱くほど。

そこにネジの神様が現れて、和美はタイムスリップして当時の種子島へ連れていく。
和美は、鉄砲製造技術のためにポルトガルに嫁いだ少女・若狭と出会う。
若狭の想いを聞き、若狭が持ち帰ったネジの技術の尊大さを知り、
そして彼らが自分の祖先であることを悟った和美。

前向きな気持ちになれた彼女は現代に帰り、
自ら銃規制に向けての活動を始める。

幕。


大体こんな感じのお話。
上演時間は1時間50分ぐらいだった。


話の筋は比較的ベタで王道、
笑えて泣けて、銃規制という社会性のあるテーマを盛り込んで、
そんなベクトルを狙ったような作品に感じた。


別に作品としての方向性はそれでいいのだが、
ちょっと要素盛り込みすぎて煩雑、なんだかごちゃごちゃしてる印象を受けた。
全体として一貫性がないというかなんというか。
役者個々の演じ方もバラつきがあったし。


和美を中心にしたメインテーマがしっかりと1本あるのだから、
もっとそこを重点的にしっかりと見せてほしかった。
現代のシーンで社員達がワーワー盛り上がっているシーンが妙に長かったが、
ほとんど主軸に絡んでこないならもっと削って良いのではないだろうか。

序盤、ネジ工務店の設定や人間関係を日常のシーンを通して説明しているわけだが、
浮気騒動とか、アニメ好きがどうとか、安納芋うまいとかで時間使って、
タイムスリップという物語の展開の開始が、やっと中盤過ぎるかという頃。
ちょっと時間配分に疑問符が浮かんでしまった。

そのため、後半のメインであるはずのシーンの尺がすごい短い。

タイムスリップしたことに対しての和美の順応が早すぎるし、
ほんの短かい時間だけ若狭の話を聞いただけで
あっさりと前向きになれる感情変化にも違和感が出る。
銃乱射事件のトラウマで執拗に手を拭ってしまうほどの女の子の精神が、
そんな短時間の小話で簡単に回復しないと思うのだ。
和美と若狭の間でもっともっとドラマを用意してほしかった。


あとタイムスリップする前に、過去のシーン(若狭が嫁にいく前)を挟んでいたが、
こちらは逆に時間をかけてしっかりやり過ぎだったと思う。

現代シーンで昔話を語るという行動を回想のように表現していたのだが、
タイムスリップ先の説明を主人公がそこに行く前に必要以上に済ませてしまうのは、
手法としてはよろしくないと思う。
特別な狙いがあっての「あえて」でないのであれば。

過去のいろんなSF作品を観れば大体そうなのだが、
主人公がタイムスリップしたり、異世界に紛れ込んだりする物語では、
「自分の知らない未知の空間」に入ってしまう主人公の気持ちと、
観ているお客の気持ちを、大きくリンクさせている。
「ここはどこ?」「この人達はいったい?」「なぜここに?」「もう戻れないの?」
こういった感情を主人公がお客の気持ちの代弁者として表現するから、
観ているほうはワクワクするし、次の展開に興味を持つのだ。

序盤でタイムスリップ先の説明をガッツリとやってしまうと、
お客のほうが主人公より状況を知っていて、お客の気持ちが主人公より先をいってしまう。
そのため、主人公の感情基準で話が進むとお客は展開をタルく感じてしまうし、
お客基準で話が進むと「主人公の順応速度早っ!違和感!」の板ばさみになってしまうのだ。

まぁ、いろんな構成のやり方があるとは思うが「主人公が未知の世界へ飛び込む」系の作品では、
未知の世界に対しての主人公とお客の気持ちの同期、
これはなるべく守ったほうがいいんじゃないかと思う。


あとネジの神様はやらないほうが。
完全に浮いてたし(汗)
ああいう型破りのものを出すなら、ものすごく腕のある役者が徹底的なものを見せないと
ただの悪ふざけに見えて客席の温度を下げるだけである。


歌も・・・いらないのでは?
突然役者が面切って歌い出して、「え!?あ、こういう芝居!?」と驚いてしまった。
完全にストレートプレイの空気の中で、いくらなんでもアレは唐突過ぎでしょ(苦笑)
メインを歌う役者の歌唱力も特に目を引くものではなかったし・・・。
どういう意図で「ここで歌おう!」になったのかが非常に疑問。


個人的には、ネジ工務店を中心にした話か、過去の種子島を中心にした話か、
どちらかに絞って作った作品を観てみたかった。

次に期待。


 

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