日々是劇評

関東圏内で観劇した舞台について率直に感想を書いています。
自分用の備忘録みたいなもんなんで遠慮なく辛口な批評もしています。

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Oi-SCALE本公演 「武器と羽」  @下北沢駅前劇場 2013/10/28

※本文中に激しくネタバレ含みます!
 上演中の公演についてこれから観劇予定の方は閲覧ご遠慮ください。


Oi-SCALE本公演
「武器と羽」

2013/10/28更新  ≪下北沢駅前劇場≫ ≪Oi-SCALE≫ ≪2013/10

Oi-SCALE本公演 「武器と羽」

Oi-SCALE本公演 「武器と羽」

【作・演出】
林灰二

【キャスト】
山下純、政井卓実、中尾至雄、油井原成美、肥後あかね、都築衣織、大林小夏、
浅賀誠大、澤井裕太、片倉裕介、横尾宏美、大谷由梨佳、近松くるみ、中村太陽、
川元文太(ダブルブッキング)、池上幸平、林灰二

【日程】
2013年10月23日(水)〜28日(月)

【会場】
下北沢駅前劇場

【チケット料金】
前売  3,500円
当日  3,800円
平日マチネ割 3,200円

【公式HP】
http://www.oi-scale.com/

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どこにでもある普通の公園。
その公園の茂みの中で腐乱死体が見つかったところから話が始まる。

ただの腐乱死体であれば事件性も低いのだが、
不可解なことに、その死体のすぐ側には掘りかけの穴があった。
首をかしげる警官達。

それから程なくして2件の通り魔事件がおきる。
被害にあったサラリーマンと人妻の証言に出てくる犯人像は一致しており、
すぐに近くのコンビニに勤務していた男・多摩山が捕まる。
しかし多摩山は罪を認めているのに肝心の物証が出てこない。
それどころか物証は多摩山が犯人でないことを如実に示していた。

実は2件の通り魔事件は被害者たちの狂言だった。

時は遡り数日前、1人のホームレスの男・利根矢がいた。
彼は11年前に亡くした姪を宝物と称し、それをいまでも探し続けていた。
もちろん見つからないことはわかっていながら。

そんな利根矢を多摩山は神と崇め、
「自分を殺してくれ」と言う利根矢の言葉に従い、彼を殺害する。
彼はその死体を茂みに運び、高尚な存在として見守り続ける。
つまり序盤に出てきた腐乱死体は利根矢。

多摩山は公園の中で絶望していたサラリーマンと人妻を誘い、
死体を見守るという救いの場を与える。
そしてその死体がいよいよ警察に見つかりそうになったとき、
多摩山はカッターナイフを2人に渡して、
「これで悪を退治しなければいけない」と告げてその場を去る。

そして2人は自分の中にある悪を目がけて
自らの体を傷付けた。
これが通り魔事件の真相であった。

事件性を面倒に思った警官たちが
腐乱死体を自らの手で埋めて隠蔽してしまうところで幕。


あらすじ的にはだいたいこんな感じ。
ずらずらと書いたが、話の密度が濃厚すぎて全然書き切れてないぐらいだ。


舞台は駅前劇場の入り口から真っ直ぐ下手斜め奥に通路を引いた、
一風変わった配置で構成されていた。
客入れの時間帯から異様なまでに暗い劇場内、
そしてその中でぼんやりと光るカラーコーンが印象的。
こういうセンスの良い仕掛けをみると、
芝居が始まる前から期待が高まってきて良いなぁ。


開演は主催の林灰二のゆるい前説から始まる。
最初はどうでもいい内容の雑談話なのだが、
輪廻転生の話題に入ってから、ぬるりとミステリアスな空気を醸し、
そのまま滑り込むように本編に突入する。


そこからの2時間10分は濃密で、
長かったようで短かったような、
本当に見ているほうに集中を強いる芝居であった。
もちろん良い意味で。

様々な人間の心の奥にある感情が絡み合い、
通り魔事件というひとつの共通項に対して
複雑に伏線が張られていく。
とてつもなく計算高く作られた脚本だ。


「この物語の登場人物は全員嘘をついている」
という前置きのメッセージのとおり、
登場人物は全員何かしら嘘をついている。

痴漢の冤罪を主張していたサラリーマンの男は
実はしっかりと女性のカラダを触っていたし、
人妻は旦那に内緒で娼婦じみたことを行っているし。
公園の猫を世話しているという女性は実は猫を毒餌で殺しており、
警察官達は面倒な事件を隠蔽しようとする。
その程度に違いこそあるが、本当に嘘だらけの世界。

しかし恥ずかしながら、自分は全ての登場人物の嘘が何なのかが
把握できないままに終演時間を迎えてしまった。
ちょっと悔しいね、こういうの。

岩木が刺される妄想のシーンと、
なぜ3件目の通り魔事件が起きたのかという部分、
(カッターナイフを渡されていたのでこれも自傷事件だとは思うが)
そのあたりも自分の中で理解しきれないままだった。
むむむ。


見終わってからすぐに
もう一度観てみたいという気持ちになった作品は久しぶり。
残念ながら、自分のスケジュールの都合上それはかなわなかったのだが。

もっともっと深く理解しようとしてみたい、
素直にそう思える作品はやはり名作なのだと思う。

拍手。


 

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