日々是劇評

関東圏内で観劇した舞台について率直に感想を書いています。
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KanikusoPRESENTSオムニバス公演#2 「秋のき、冬のゆ。」  @上野ストアハウス 2013/03/05

※本文中に激しくネタバレ含みます!
 上演中の公演についてこれから観劇予定の方は閲覧ご遠慮ください。


KanikusoPRESENTSオムニバス公演#2
「秋のき、冬のゆ。」

2013/03/05更新  ≪上野ストアハウス≫ ≪Kanikuso≫ ≪2013/03

KanikusoPRESENTSオムニバス公演#2 「秋のき、冬のゆ。」 KanikusoPRESENTSオムニバス公演#2 「秋のき、冬のゆ。」

kanikusoPRESENTSオムニバス公演#2 「秋のき、冬のゆ。」

【作・演出】
迫田元

【キャスト】
谷村好一(エムアール)、永野和宏(劇団新人会)、賢茂エイジ(さるしげろっく)、
今若孝浩、小島啓寿、串山麻衣、天晴一之丞(水色革命)、太田勝(猿芝居)、
藤井紅葉(映像。舞台企画集団ハルベリー)、里中あや(ナインズプロモーション)、
戸草内淳基(加速装置)、神崎ゆい、瑞樹カンナ、小林知未(多少婦人)、
渡辺祐未(立花演劇研究所)

【日程】
2013年2月27日(水)〜3月3日(日) 

【会場】
上野ストアハウス

【チケット料金】
前売 3,000円
当日 3,200円

【公式HP】
http://www.kanikuso.net/

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オムニバス2本立てで、
両方とも面白おかしく仕立てたドタバタコメディ。

1本目はとある会社の面接会場。
極度の緊張症の男、銀座のママ、滑舌が悪い成金男、真面目な姉妹などが
面接官が投げかける素行調査のような質問に応えていき、
マイナス査定の人間は強制的に別室に連れて行かれる。
劇中でほとんどお客には設定の説明がないが、
ラストシーンで、実は事故に巻き込まれて生死の境を彷徨っている人の面接で、
合格であれば生の世界に帰れるというものだったことがわかる。

2本目は1本目の会社の別室のお話。
そこは会議室で、次の大きな案件のプランについての話し合いがされている。
レッドプランとブループラン、どっちにするか決断を迫られるが、
優柔不断の社長はまったく決められず、皆やきもきする。

途中で案件を引き受けること自体のリスクが判明し、
社員達は皆その案件を断る方向で進めるよう社長に勧めるが、
普段は優柔不断な社長がそれだけは頑なに拒否。
実はその案件のクライアントは社長の娘だった。
社長の想いを知った社員は一致団結してその案件に取り組む。


超ざっくりだが、だいたいあらすじはこんな感じ。


1本目は見ていてちょっと暑苦しかったかな。
全体的に役者が狙い過ぎている感が出ていて、逆に笑えなくなってしまっていた。
登場人物として真面目に面白いことをしないとコメディは成立しない。
バラエティ番組のひな壇芸人みたいな安いボケとツッコミは舞台ではやってほしくない。

あと最初に面接を受けていた3人、ちょっとバランスが悪過ぎると思う。
緊張でドモって上手くしゃべれないキャラと滑舌が悪くて聞き取れないキャラが同時に出てくるってのは、
ネタ的には殺し合ってるだけだし、シーンのテンポが極端に悪くなる。
銀座のママは何の色もついていなくて、正直この脚本上での存在意義がわからないし。
お客の心を掴む導入部分でこの組み合わせはなんだかなぁと思った。

さらに話の構成に起伏がない。
5人面接して、それぞれ個性的なキャラをみせて、実はこの面接の正体はこんなでした、って
ただそれだけの展開しかしないので、話の盛り上がりがほとんどないのだ。
淡々と順番に小ネタ混ぜながら面接シーンみせてもお客的には見ていて何もワクワクしない。
もうちょっと構成面、なんとかならなかったものか。


次に2本目。
逆にこの2本目はびっくりするぐらいに秀逸だった。

まず役者の力量が圧倒的にこちらのほうが上だし、
テキストそのものもかなり面白い。
どこまでが脚本で、どこまでが役者が提示したものなのかわからないが、
非常にテンポが良くて質の高いネタの応酬は見ていて気持ちがいいものだ。
お笑いをちゃんとわかってる人がしっかり作った芝居って感じ。

特に谷村好一演じる社長のおじいちゃん的なおもしろ可愛さは素晴らしい。
天晴一之丞の特異なルックスと濃いキャラクターには常に目を奪われるし、
太田勝のつっこみのトーンも非常に面白い(つっこみは声質が重要な要素だと思っているので)。

笑わせるだけ笑わせておいて、
最後にレッドとブルーが何を意味するかわかるところでお客をほっこりさせる。
とても素敵な家族愛溢れるお芝居だった。


この2本立てのオムニバス公演。
おそらくこの2本目がやりたくて、1本目を後から伏線として作り上げたのだと思われる。
そのせいで1本目は一貫したテーマが見えない、笑いに走っただけのコントになってしまったのではないだろうか。
要素の詰め込みはもちろんよくないが、1本目にも十分にお客の心を揺さぶるテーマを盛り込んでほしかった。

しかし2本目は本当に素晴らしい出来だったと思う。
人材を集める力もあるようだし、これからにも期待したい。


 

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