日々是劇評

関東圏内で観劇した舞台について率直に感想を書いています。
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劇団扉座第54回公演 ミュージカル 「バイトショウ」  @座・高円寺1 2013/10/25

※本文中に激しくネタバレ含みます!
 上演中の公演についてこれから観劇予定の方は閲覧ご遠慮ください。


劇団扉座第54回公演 ミュージカル
「バイトショウ」

2013/10/25更新  ≪座・高円寺1≫ ≪劇団扉座≫ ≪2013/10

劇団扉座第54回公演 ミュージカル 「バイトショウ」 劇団扉座第54回公演 ミュージカル 「バイトショウ」

劇団扉座第54回公演 ミュージカル「バイトショウ」

【作・演出】
横内謙介

【キャスト】
柳瀬大輔、五十嵐可絵、中原三千代、有馬自由、犬飼淳治、高橋麻理、鈴木利典、
岩本達郎、鈴木里沙、上原健太、川西佑佳、新原武、江原由夏、鈴木崇乃、
松本亮、松原海児、比嘉奈津子、早川佳祐、塩屋愛実、瀧川駿

【日程】
2013年10月16日(水)〜27日(日)

【会場】
座・高円寺1

【チケット料金】
一般  4,500円
学割  3,000円

【公式HP】
http://www.tobiraza.co.jp/kouen/kouen2013/beitshow_201310.html

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中学時代にたまたま叔父さんに連れられていった
ミュージカル「美女とケダモノ」を観て
舞台女優に憧れるようになった久保園チエの半生記。

チエは、高校では演劇部に入るが役者をやりたいと言い出せずに
ずっと3年間裏方に徹したままで活動を終える。

その後、東京の声優の養成所に入るが、
そこに講師としてやってきた劇団「唯我独尊」の天下一業平の指導に惚れ込み、
養成所をやめて「唯我独尊」に所属することになる。
そして天下一と同棲をしながら公演活動を続けていく。

しかし女と金に汚い天下一。
自堕落な生活を繰り返して、ついには劇団の金を持ってバックレてしまい、
そのせいで劇団は解散、チエは孤独に追い込まれる。

お金に困ったチエは、ダンサーとして成功を収めた友人カナを頼る。
チエは同郷出身で、なおかつ自分の生き方を誉めてくれるカナに惹かれていく。
しかし母親がストリッパーであることにコンプレックスを持つカナの生活は
次第に乱れていき、男や薬に手を出してどんどん堕落していく。
金を借りている立場のチエはそんなカナを引き留めることができず、
彼女から距離をおくようになる。

とにかく前を向いて進むことを決めたチエは売り込み営業の際に、
ライブハウスDOORSとその常連客達と出会うことになる。
売れない女優としての自分を温かく迎えてくれる常連客たち。

そこに居場所を見つけたチエは、いろんなオーディションを受けながら励み、
最後には、大物歌手のバックコーラス・バックダンサーに合格。
ライブハウスDOORSでの生活を卒業して、自分の道を歩いてく。


以上、だいたいこんな感じのストーリー。
約2時間の歌ありダンスありのミュージカル。


脚本の構成は、五十嵐可絵が演じる大人の久保園チエが
主にストーリーテラーとなっ過去を語っていき、
その回想シーンを順に描いていくスタイル。
若かりし頃のチエは、五十嵐可絵ではなく高橋麻理が演じていた。


その濃密なストーリーの中には
舞台俳優を目指す人にとっての「あるある」が盛りだくさん。

声優の養成所から講師に引っ張られて劇団に入るところや、
劇団内での激しい恋愛の家系図、
商業の現場でぞんざいな扱いを受ける小劇場役者たち、
金を持ってバックれる主催。

若干コミカルにデフォルメされてはいるが、
こういう世界をちょっとでも知っている人間にとっては
面白いけども笑うに笑えない現実。
自分も思わず苦笑いしてしまった(笑)


特に印象に残ったのは商業演劇の演出家の言葉。
 『ゴミさらいのバイトで収入があって、舞台のギャラがゼロ。
  それならてめえらの職業はゴミさらいだ!』

世の舞台役者の99%が舞台だけで食えていない現実。
その中で生きる人間にとっては、急所に突き刺さるような強烈な一言である。
しかもセリフだけでも十分にインパクトがあるのにそれを歌にして、
「小劇場役者を蔑む演出家 VS それに抗う若者たちの叫び」のような構図で
激しく対峙しているシーンはおもしろかった。


またピアノ演奏者として舞台に立っていた深沢桂子の使い方も良かった。
彼女は本来役者ではないので、当然ながら役者としての技量はないのだが、
それをちゃんと成立させてお客を味方につけさせるような演出がされていた。
こういうあたりうまいと思う。


ただ、岡森諦、六角精児、伴美奈子といったお馴染みの主力メンバーが不在で
役者全体の濃度が物足りなく感じてしまった点、
ライブハウスDOORSのあたりからの盛り上がりがいまひとつで
ラストに向かって失速感があった点、
それらの点だけはちょっと残念に思った。


劇中の会話でもあったが、
日本のミュージカルが海外の既成台本ばかり上演していて、
手足が短く、目は真っ黒で鼻も低い、生粋の和顔くん達が
頑張ってトロイ・ボルトンやマーク・コーエンを演じている。
こういう状況は自分も正直好きではない。

今作のような出来の良い、和製のオリジナルミュージカルがもっともっと
日本で生産されていく風潮になっていったらいいなぁと思った。


 

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