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COTA-rs Presents 「飛龍伝」 @新宿シアターサンモール 2013/08/04
※本文中に激しくネタバレ含みます!
上演中の公演についてこれから観劇予定の方は閲覧ご遠慮ください。
COTA-rs Presents
「飛龍伝」
2013/08/04更新 ≪新宿シアターサンモール≫ ≪COTA-rs≫ ≪2013/08≫
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COTA-rs Presents 「飛龍伝」 【作】 つかこうへい 【脚本】 滝井サトル 【キャスト】 足立百合子、雷時雨、池田洋介、太田祐二、小越那津実、久世卓矢、斎藤真寛、 しゃなちひろ、鈴木アルマルベス僚、関森絵美、西山舞、野村有希、藤崎奈央、 宮内結、宮本卓幸、撫養佑樹、森英彰、山本裕貴、蜂須賀智隆、宮内利士郎、 久津かな、SSHIZUKA、小林夢奈、岡田宏輝、AIKA、韋駄天十八番、 蘇芳さくら、津田勇輝、川崎光治 【日程】 2013年8月1日(木)〜4日(日) 【会場】 シアターサンモール 【チケット料金】 前売 4,000円 当日 4,500円 【公式HP】 http://cota-rs.jimdo.com/ ========================================== 故・つかこうへい氏の飛龍伝。 台本は、黒木メイサが主演だったときのバージョン。 つか氏が亡くなる少し前に書き上げられた最後の「飛龍伝」である。 安保闘争の中で生きる3人の生き様を中心に描いている。 学生運動の指導者である桂木、 それを抑える機動隊を指揮する一平、 そして知性と美貌を兼ね備えた美智子。 愛した桂木とともに学生運動を指揮する立場にいた美智子だが、 桂木は機動隊へのスパイとして、美智子を一平の元に送り込む。 しかし真っ直ぐな愛情を向けてくる一平に触れて美智子も彼を愛するようになり、 彼の子を孕むことに。 しかし美智子の自分への接近が桂木の策略だと知った一平は、 やり場のない怒りを美智子に向ける。 自分の愛が本物であることを訴える美智子だが、 想いはすれ違い、一平は決戦の日に美智子を殺すことを宣言する。 そして決戦の11月26日。 誤って自分の警棒で美智子を殺してしまう一平。 そして時は過ぎ、歴史博物館で約束どおり再会する桂木と一平。 現れた美智子の幻影に2人は涙する。 ざっくりと書くとこういった感じの物語。 途中で福島原発の事故を題材にしたシーンも含まれていた。 上演時間は約120分。 つかこうへいの脚本というと、 役者の実力がモロに出るタイプのもの。 20人の演者、9人のダンス・アクション的なアンサンブルが出演していて、 正直言って役者間それぞれの実力差は感じたが、 美智子、桂木、一平にはレベルの高い人間が配置されていたので、 そこまで役者のアラは目立たなかった。 特に山崎一平を演じた森英彰の演技は素晴らしいと思った。 臭いセリフが多いにも関わらず、不器用ながらに真っ直ぐな一平を素直に演じていて、 一挙一動がこちらの心を揺さぶる良い演技をしていたと思う。 美智子を愛し、美智子を憎しみ、それでも美智子を愛し・・・。 彼の愚直とも言えるようなストレートな感情は観客の心を鷲掴みにしていた。 中盤、特に尾崎豊の「シェリー」がかかるあたりから加速的に話が盛り上がるのだが、 それを迎えるまでの序盤がちょっと退屈だったかな。 脚本の構成によるところもあるかと思うが、 序盤でお客をグッと引き込む仕掛けがなかったのがもったいない。 お笑いで「掴みはオッケー」なんてネタがあるが、 演劇においても掴みの重要性は変わらない。 序盤でお客に「おおっ!この芝居は!」と思わせて前のめりにさせられるかどうか、 それによってお客の中盤、終盤の食いつき方も全然違うものになるはずだ。 その点では今回はちょっと惜しかったなと思った。 あとちょっと舞台が広すぎ? シアターサンモールの奥行きをフルで使っていたのだが、 どのシーンも全体的にスカスカ感があって寂しく思ってしまった。 個人的にはもっともっと狭い作りにして、 そこで大人数がギュウギュウになりながらも激しく動いているほうが好きかな。 自分はつか作品にはそういうむさ苦しさがあってほしいと思う派。 しかし全体的に丁寧に作られていて好感の持てる作品だった。 つかこうへい氏が亡くなってから、安易なつか作品の上演が乱発し、 その程度の低いものの多さにウンザリしていたところだ。 そんなときにこういうものが観れたのは嬉しい。 このCOTA-rsという団体はまだ発足して間もないようだが、 こういったレベルのものをずっと提供していけるのであれば 興味を持って応援していきたいと思う。 また次に期待。