日々是劇評

関東圏内で観劇した舞台について率直に感想を書いています。
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劇団ニコルソンズ 第3回公演 「グッバイ・エイリアン」  @大和田伝承ホール 2012/08/10

※本文中に激しくネタバレ含みます!
 上演中の公演についてこれから観劇予定の方は閲覧ご遠慮ください。


劇団ニコルソンズ 第3回公演
「グッバイ・エイリアン」

2012/08/10更新  ≪大和田伝承ホール≫ ≪劇団ニコルソンズ≫ ≪2012/08

劇団ニコルソンズ 第3回公演 「グッバイ・エイリアン」

劇団ニコルソンズ 第3回公演 「グッバイ・エイリアン」

【脚本・演出】
木下半太

【キャスト】
片桐仁(ラーメンズ)、火野蜂三、赤星まき、堀ノ内晴子、望月優、玉上鈴子、
立山誉、愛下哲久、田尾寅吉、古城青大、西郷豊(The Dusty Walls)、
山本真由美、安田ユーシ、山田能龍(山田ジャパン)、鬼塚俊秀、
土佐和成(ヨーロッパ企画)、原敏一(劇団赤鬼)、下村和寿(劇団赤鬼)

【日程・会場】
○東京公演
 2012年8月8日(水)〜12日(日)
 渋谷区文化総合センター大和田 伝承ホール

○大阪公演
 2012年8月24日(金)〜26日(日)
 ABCホール

【チケット】
前売 4,500円
当日 4,800円
全席指定席

【公式HP】
劇団ニコルソンズ 公式HP

============================

1974年8月、大阪の千里ニュータウンの団地で、UFOの目撃談が集まる。
しかし、その目撃談は、天才だがむっつりスケベの物理学者・星野(片桐仁)と
天才だが陽気なスケベの詐欺師・岡安(火野蜂三)の“犬猿の仲コンビ”による仕業だった。
共通点はスケベだけ。
ある家族を救う為、喧嘩を繰り返しながらも嘘を作りあげていく。
浪速の女刑事・鳳(赤星まき)の捜査が迫る中、嘘は収拾がつかないほどに大きくなり、
とうとう日本政府やNASAまで巻き込む大事件に発展する・・・。
この夏、話題沸騰の劇団ニコルソンズが贈る、昭和人情エイリアン喜劇。
座長は悪夢シリーズ(幻冬舎文庫)などで活躍するベストセラー作家・木下半太。
本人は「映画化を狙ってます。あとモテたい」とスケベ心丸出しで息巻いている。

以上公式HPから抜粋したあらすじ。


ラーメンズの片桐仁、火野蜂三をはじめ、非常に個性的な役者が多かった。
しかも一人一人が実力を持っているのでどのシーンも見所が多く、
終始ダレることなく面白かった。

話の展開も楽しいし、次々におかしな人達が登場して
主人公の片桐仁をとことん振り回していく。
振り回しているほうも面白いし、振り回される片桐仁のリアクションも本当に秀逸。
笑わせ方がとにかく上手い集団だった。

火野蜂三のスローなしゃべりだけちょっとテンポ的に気になったが。
でもそれが理由で面白い箇所も多いのでこのへんは好みなのかな。


気になってしまったのはストーリーの主軸のほう。
なんだかなぁと思う点がけっこう多かった。

あらすじでは、天才物理学者と天才詐欺師のタッグが
ものすごい騒動を巻き起こすみたいに書かれていて、
当然それがこの公演の一番のメインの盛り上がり部分だと思ってしまうのだが、
実際にはそれほどでもなかったのが残念。

天才物理学者と天才詐欺師が結託して世間に対してUFO騒動を仕掛けにいくのだが、
仕掛けていく内容がギャグに走って陳腐すぎて、見所には全然なっていなかった。
せっかく天才同士のコンビなんだから、天才的な発想の仕掛けを見せて驚かせてほしかった。
これだったら天才設定いらないじゃん。

UFO騒動自体もラーメン屋の中で仲間内で騒いでいる描写しかないため、
視覚的には狭いコミュニティでの内輪話にしか見えないし、
セリフだけで「日本政府やNASAが動いてる」って言われてもインパクトがない。

そしてUFOキチガイのお父さんの屋根の上での会見。
会見の内容・演技ともに非常に熱くて素晴らしかったのだが、
それまでの段階でお客に与えているお父さんの印象が
「UFOキチガイの狂った自己中のおっさん」でしかないのがよろしくない。
お客に「このお父さん救われてほしい!」と思わせる作業がされていないため
どうしても感情移入がし辛く、盛り上がりがもう一歩だった。


あとお父さん関連の話が終わった後の悪徳刑事の話が非常に蛇足に感じた。
メインのお話が終わってそろそろ終演かなと思ったあとに
別の話が20分も続けばお客は気持ち的に萎えてくる。

このへんの話自体も不自然過ぎてよくわかんないし。
市民に手をあげているところを同僚刑事に見られてる時点でチェックメイトなのに、
その後に「弟がどうなってもいいのか!」って脅す意味がわかんない。
それ人質として成立しないでしょ。

なので、その弟は実はニセモノで詐欺師が仕組んだ別人でしたって言われても
その発想の凄さがイマイチ伝わってこない。

しかもニセモノって判明して
「・・・じゃあ、お前、いったい誰なんだ!?ゴクリッ・・・」
ってときにかかるものすごい重々しいBGM。
恥ずかしながら自分は「ここで宇宙人出してくるか!意表突かれた!」って思って
鳥肌が立って、しかもただの詐欺師の友達って知ってガックリきた人である(笑)
これ自分だけじゃないと思うのだが。


個人的には悪徳刑事の話を省いて、UFO騒動関連部分をもっと練ってほしかったと思う。
タイトルも「グッバイ・エイリアン」なわけだし。
キャスト面やストーリー面で何か大人の事情があったのだろうか?
ちょっと話を横に拡げ過ぎてまとまらなかった感が残ってしまった。

全体的に面白かっただけにそのへんだけが残念。


 

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