日々是劇評

関東圏内で観劇した舞台について率直に感想を書いています。
自分用の備忘録みたいなもんなんで遠慮なく辛口な批評もしています。

絞り込み 団体=「劇団IQ5000」

劇団IQ5000 「Big Bell」  @中野ウエストエンド 2013/03/13
劇団IQ5000 「Mr.VeryGoodMan」  @中野ウエストエンド 2013/03/12

※本文中に激しくネタバレ含みます!
 上演中の公演についてこれから観劇予定の方は閲覧ご遠慮ください。


劇団IQ5000
「Big Bell」

2013/03/13更新  ≪中野ウエストエンド≫ ≪劇団IQ5000≫ ≪2013/03

劇団IQ5000 「Big Bell」

劇団IQ5000 「Big Bell」

【作・演出】
腹筋善之介

【キャスト】
腹筋善之介

【日程】
2013年3月8日(金)〜3月10日(日)

【会場】
中野ウエストエンド

【料金】
前売 3,500円
当日 3,700円

【公式HP】
http://www.iq5000.com

==========================


劇団IQ5000の劇団員全員が出演している「Mr.VeryGoodMan」とは別に
同じ週で上演される「Big Bell」は、腹筋善之介の1人芝居。
1人で200を越える登場人物を全て演じきる。

舞台は「Mr.VeryGoodMan」と同じクラウド・アイランドで、時は100年前。
まだこの島が無人島だった頃、1人の男が流れ着く。
彼の名前はビッグベル、海賊との争いの中で海に落とされてここに漂着したのだった。
記憶を失った彼は孤独に悩み、1人で空想のペットなどを作って時を過ごしていた。

その後次々に新しく人々が漂流し、それを保護していくうちにひとつの街が形成される。
それなりの暮らしができるまでに街が発展したとき、島は海賊の脅威にさらされる。
ビッグベルは仲間たちと策を練ってその海賊の撃退する。


あらすじ的には大体こんな感じ。

1時間40分の1人芝居で、パワフルかつスピーディーに話が展開していく。
その熱量は半端なく、お客をたった1人で引きこみ続けるその力は素晴らしい。
そのぶん消費カロリーも半端なく、開始10分で腹筋氏はすでに汗だくだく。
話によると1本やると体重が5kg落ちるらしい。
あながち冗談ではないなと思った(笑)


でも主軸の話は、全体の上演時間の中で約4割程度。
残り6割は、暖流と寒流の野球対決から分身魔球攻略回想シーン、女将さんと板前さんの絡み、
戦闘機1号、2号、3号、源氏ガニと平家ガニの戦いなど、
完全に本筋から脱線したネタオンパレードの時間だった。
まぁ、普通に考えたらふざけすぎと言われてもしかたがない。

しかしそのバカバカしさが突き抜け過ぎていて、とにかく圧巻なのだ。
型をしっかり持っている人間の「型破り」は観ていて本当に楽しい。
演出的スキル、役者的スキル、どちらも最上級のパフォーマンスであった。


惑星ピスタチオ出身でいまでも活躍している役者は非常に多い。
いつまでも彼らには現役で最上級のパフォーマンスを提示し続けてもらいたいものだ。


 


劇団IQ5000
「Mr.VeryGoodMan」

2013/03/12更新  ≪中野ウエストエンド≫ ≪劇団IQ5000≫ ≪2013/03

劇団IQ5000 「Mr.VeryGoodMan」

劇団IQ5000 「Mr.VeryGoodMan」

【作・演出】
 腹筋善之介

【キャスト】
朝田博之、アフリカン寺越、五十嵐聡子、大友美香子、久保田寛子、坂本泰久、佐治彩子、
ドン・タクヤ、巴里マリエ、べっち。、マット前転、渡部愛、大西俊貴(IsLand☆12)、
奥田美樹(IsLand☆12)、上高原佳子(IsLand☆12)、腹筋善之介 

【日程】
2013年3月6日(水)〜3月10日(日) 

【会場】
中野ウエストエンド

【料金】
前売 3,000円
当日 3,200円
学生 1,500円(前売・当日共)

【公式HP】 
http://www.iq5000.com

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クラウド・アイランドという世間から隔離された離島での物語。
海流で完全に外界から遮断されたその島では
心豊かな人々が、食や音楽を育みながら平和に暮らしていた。

ミスター・ベリー・グッドマンと呼ばれる男もその1人。
彼は誰よりも優しく、誰よりも島を愛しており、
島の人々もそんな彼を愛していた。

しかし1人の男が島に漂着してから状況が一変してしまう。
ドンという名のその男は実は海賊で、
島に石ころのように転がっているダイヤの原石を狙ってやってきたのだった。
ドンは邪魔な存在であるベリー・グッドマンを陥れ、孤立させる。
そして甘い言葉で島民をだまして島の外へ連れ出そうとする。

ドンの企みに気付いたベリー・グッドマンは街の人々を守るべくその体を張って・・・


といった感じのお話だった。


開演前には作・演出の腹筋善之介が島のDJとして舞台に立ち、
ラジオ放送のワンコーナーという設定でトークを繰り広げている。
そのトーク力はさすがで、開演前にキッチリと客席を温めてることに成功していた。
この空気からスタートできるのは演者にとってかなり嬉しいことだろう。


最初は島の人間の自己紹介も兼ねた、
ヘビメタバンドとベリー・グッドマンの対決シーン。

しかし叫び・がなり系の発声をする役者が多くてセリフがかなり聞き取りづらかった。
せっかく客席が温まった状況からスタートしてるのにこれはもったいない。
ストーリの導入部はもっと丁寧にやってほしいなと思った。


中盤にかかるとシーンが落ち着いてきたこともあって格段に見やすくなり、
物語に一気に引きこまれていった。

この団体は素舞台で小道具も使用せずに
全て役者の身体やそのフォーメーションで表現するのがウリなのだが、
いま思うと、序盤はその怒涛のように繰り広げられる表現に
自分の脳がついていけていなかったのかもしれない。
中盤ぐらいから見やすくなったのは、その表現を脳内変換することに馴れていったからなのかも。

わかりやすいけどそれでいて伏線たっぷりの脚本は非常に面白い。
登場人物も、とにかくみんなアホなのだが、みんなそれ以上に魅力的だった。
彼らが一生懸命になっている姿は観ているお客の心を揺り動かし、
自然と応援したくなる気持ちにさせてくれる。

あとは音楽の使い方も秀逸だったと思う。
無駄にたくさんの曲を用意せず、メインテーマ数曲を繰り返し使用することによって、
お客の脳に対して、そのシーンのテンションの在り方の刷り込みができているのだ。
後半はベリー・グッドマンのテーマがかかるたびに心が躍っていたのは自分だけではないと思う。


最後もほっこりとした気持ちで終われる温かい結末だった。
終演時にお客をこういう気持ちにさせるってのは大事なこと。

次回公演も楽しみにしたい。


P.S.
あ、ひとつ気になったのだが、劇中に捨てギャグが多かったこと。
つまらないとかスベッてるとかそういうのじゃなくて、
「最初から笑わせる気がなさそうなネタ」がちょこちょこ目についた。
これってどういう意図で入れてるんだろうか?


 

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