日々是劇評

関東圏内で観劇した舞台について率直に感想を書いています。
自分用の備忘録みたいなもんなんで遠慮なく辛口な批評もしています。

絞り込み 劇場=「ラゾーナ川崎プラザソル」

第5回川崎インキュベーター合同公演 「ブルーシートチルドレン」  @ラゾーナ川崎プラザソル 2013/03/11
いと、まほろば 「もうひとつのOVER THE MONOCHROME RAINBOW」  @ラゾーナ川崎プラザソル 2013/02/21
劇団お座敷コブラ 10畳目公演 「&1night」  @ラゾーナ川崎プラザソル 2012/12/04
川崎インキュベーター主催公演 「光る時間(ひかるとき)」  @ラゾーナ川崎プラザソル 2012/08/17
CP Project vol.4 「桜の園 チェーホフが描きたかったもう一つの桜の園」  @ラゾーナ川崎プラザソル 2012/06/11
人衣企画プロデュース公演 「やっぱりカフェが好き」  @ラゾーナ川崎プラザソル 2012/05/27
相模舞台同盟 春興行2012 「SILVER」  @ラゾーナ川崎プラザソル 2012/03/18
第4回川崎インキュベーター合同公演 「ハイパーアトラス」  @ラゾーナ川崎プラザソル 2012/03/02

※本文中に激しくネタバレ含みます!
 上演中の公演についてこれから観劇予定の方は閲覧ご遠慮ください。


第5回川崎インキュベーター合同公演
「ブルーシートチルドレン」

2013/03/11更新  ≪ラゾーナ川崎プラザソル≫ ≪川崎インキュベーター≫ ≪2013/03

第5回川崎インキュベーター合同公演 「ブルーシートチルドレン」 第5回川崎インキュベーター合同公演 「ブルーシートチルドレン」

第5回川崎インキュベーター合同公演 「ブルーシートチルドレン」

【脚本】
河田唱子

【構成・演出】
笹浦暢大

【キャスト】
安藤友美、石井隆平、伊藤綾佳、伊藤優希(活人無双流 阿部道場 清龍館)、
梅岡寛正(劇団カンタービレ)、小山内詩音、小野諒人、鹿島夕雨生(劇団夢幻)、
木ノ下郁子、蔵重智(ライト・トラップ)、小林恵悟、佐藤みつよ(劇団夢幻)、
下宮悠(社団法人日本喜劇人協会)、田原慎太郎、天藤旭(メインキャスト)、
永塚拓馬、ナラハナミ(劇団夢幻)、成川友里子(チームトリプルY)、
林充晃(流星揚羽)、原尚治、比嘉哲也、ひとみまさこ、布施晃、
古川結衣(うっちゃり公演ほかす)、松崎夢乃、三木美毅(ミキミキ・コネクション)、
三森伸子、峯野友莉子(ワタナベエンターテイメントカレッジ)、
森田竜介(LINKentertainment)、柳田清孝、吉永麻美(19'プロデュース)、
和世レオ

【日替わりゲスト】
山崎涼子(Aling)、齋藤花恵
乾直樹、白髭真二、
福士綾弓、鈴木絢香(Dance Company MKMDC)

【日程】
2013年3月8日(木)〜3月10日(日)

【会場】
ラゾーナ川崎プラザソル

【チケット料金】
前売・当日 3,000円
高校生以下及び65歳以上 2,000円
川崎市民割 2,500円
川崎インキュベーター会員割  2,500円

【公式ブログ】
http://blogs.yahoo.co.jp/siminngeki

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架空の川崎市を舞台にしたSFモノ。

「全ての市民は演劇の義務を負う」
「市の指定台本以外は上演不可」
「市民の演劇指導には特別高等警察が指導に当たる」
という条例を10年前に課せられた川崎市民。

条例制定時から活動を続けていた劇団ワタリダロケットだが、
オリジナルの台本でやりたいことを主張した看板女優が警察に捕まり、
劇団はボロボロになってしまう。
しかしなんとか公演をやり遂げるために劇団の脚本家と演出家は、
市民登録されていない難民、通称「ブルーシートチルドレン」を劇団に引き入れ、
公演に向けて稽古に励むことになる。

そして公演本番。
捕らわれ洗脳されてしまった看板女優を助けるべく
劇団ワタリダロケットは本来の脚本を書き換えて公演に臨む。
そのとき洗脳失敗により怒りの感情が増幅してしまった演劇指導官が暴走、
看板女優を連れて逃走する。
しかしその指導官の上官がそれを阻止し、劇団も市を出て活動していくことになり、
その後看板女優も洗脳から回復してハッピーエンド。


超ざっくり過ぎて怒られそうだが、だいたいこんな感じのあらすじだ。


去年もこの企画の公演を観ているが、
相変わらず照明の充実っぷりは素晴らしい。
使用されている灯体の数はハンパないし、
どうでもいいような小ネタなんかにもムービングを使用するという贅沢さ。
派手だし、その使い方のセンスも良いと思う。

音響は選曲センスは良いが、
殴り音などのSEがちょっとこもっている聞こえ方をしていて、コントっぽいかな。
いかにも「殴っているのでお決まりの効果音出してます」って感じに
なってしまっていたのが残念。

ダンスの使いどころや挿入の仕方も上手くて、
演出的な部分では十分過ぎるクオリティの作品だったと思う。


しかし演出手法に「おおっ」と感心する部分はあっても、
作品が面白かったか、面白くなかったで聞かれると、
それは後者だと答えざるを得ない。


どうしても脚本が好きになれなかったのだ。


何が気に入らなかったかというと、
登場人物たちに全く共感できなかったこと、これに尽きる。


まず設定の「演劇を市民に強要する」という条例だが、
それによって市民がどう良くなってどう悪くなったのかが
イマイチこちらに伝わってこないのだ。

「それってどれぐらい辛いことなの?」
「その条例で彼らはどんな不幸をこうむったの?」

このへんがぼんやりし過ぎている。
その条例によって人々がどういう状況になったのかが見えないため、
条例に抗う人々の想いがわからず、
それに共感しづらくて感情移入ができない。

「指定台本しか上演できない」という条例も同じ。
劇中の会話からすると指定台本でもかなり脚色が認められているようだし、
この条例が自由を迫害しているという感がいま一歩少ないため、
これも抗う人々の想いに共感しづらい。


しかもこの条例、所詮は市が決めた条例なので、
さっさとほかの市に引っ越せば問題ないのでは?、と思ってしまった。
表現の自由を求めるなら、自由がない土地で10年もがんばらなくてもいいじゃん(汗)
実際ラストも劇団は他の土地でやっていこうってエンディングだし。
最初からそうすればいいのに・・・。


ほかにツッコミどころを挙げると、
橋の下で過ごすブルーシートチルドレン達が
街で噂になるようなすごい演じ手っていうのもよくわからない。
生きていくために窃盗や詐欺を繰り返す貧しい孤児がなんで演技を?
彼らは演劇条例とか関係ない生き方してるはずなのでは?

まわりくどい条例を押し付けてきた市長の目的・動機もうーん、って感じだし、
洗脳装置「ブレインシェイカー」の存在意義もいまいちピンとこない。

洗脳失敗で暴走した指導官の行動の意味もよくわからない。
怒りの歯止めが利かなくなって、それで何の意図で看板女優連れて逃走したの?
ラストシーンを緊迫させて盛り上げるためだけに暴走させて
ラスボス化させたのかなって印象。

ブルーシートチルドレンから上納金を巻き上げていた男も、
金ヅルを奪われたことで警官に刃まで向ける意図が理解できない。


とにかく登場人物各々の行動動機(それが善であれ悪であれ)が
理解できないために、彼らがどんなに良い台詞を感情込めて吐いたところで
まったくこちらの心が揺さぶられないのだ。
これは脚本としてかなり痛いポイントだと思う。
(行動動機が比較的シンプルでのびのびと生きているブルーシートチルドレン達や
 NPO、川辺の警官達には好感を持てたが)


あと暴力的な表現が多いのが気になった。
強者が弱者を一方的に殴ったり、罵声を浴びせたり、屈辱を味わわせたり。
この公演の趣旨をみる限りではお客は老若男女の幅広いライトな層が多いはずだ。
その層に観せる芝居としては、いささか乱暴な表現・演出が多過ぎたように思える。

特に気になったのが、看板女優役の女の子が顔を足で踏まれるシーン。
リアルに踏まれてたように見えたが・・・。
やるほうは「リアルを追求した役者根性の見せ所」と思うのかもしれないが、
お客に「あの人の役者根性すごいなぁ」と思わせた時点で、芝居は失敗だろう。
そのときお客はその人を「物語の登場人物」でなく、
「頑張ってる役者」としてしか見ていない。
あ、これは脚本じゃなく演出的な部分か。


うーん、

全体的にみると、物語の設定と展開だけに目がいってしまい、
「お客の心情をどうコントロールしていくか」という配慮に欠けた脚本だったように感じた。
ここでお客に状況を理解させ、しばらく緊張させて、一瞬だけ緩めて、
急に引っ張って、パターンを刷り込んだと思ったら裏切って・・・といった感じで、
お客の心を縦にも横にも揺さぶる仕掛けを計算高く入れてこそ、
初めて面白い脚本が完成すると自分は思っている。


いろいろ書いたが、良い部分もちゃんと持っている作品。
誰でも出演可能として演劇作品に参加する敷居を下げながらも、
ちゃんと質を追求する姿勢はみせている企画。
期待値が高いからこそ、こうしていろいろ書きたくなる。

次の作品に期待する。


 


いと、まほろば
「もうひとつのOVER THE MONOCHROME RAINBOW」

2013/02/21更新  ≪ラゾーナ川崎プラザソル≫ ≪いと、まほろば≫ ≪2013/02

いと、まほろば 「もうひとつのOVER THE MONOCHROME RAINBOW」

いと、まほろば 「もうひとつのOVER THE MONOCHROME RAINBOW」

【原作】
福田裕彦

【構成・演出】
高坂雄貴

【キャスト】
高坂雄貴、栗山良介、齋藤弘樹、大山武史、安見謙一郎(UDATSU)、平井永恵、
宮内結、本多薙尋、山梨谷梨(劇団ビタミン大使ABC)、高橋笑里(UDATSU)、
新川泉、藤崎奈央、白石トモコ、久世卓矢、鈴木アルマルベス僚、
菱沼優衣(演劇集団THE素倶楽夢)、森サチ子

【日程】
2013年2月15日(金)〜17日(日)

【会場】
川崎ラゾーナプラザソル

【チケット料金】
一般 3000円
川崎市民・川崎インキュベーター割引 2500円
高校生以下、65歳以上 2000円
(それぞれ当日500円増し)

【公式HP】
いと、まほろば本営

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浜田省吾のゲーム「OVER THE MONOCHROME RAINBOW」を舞台化。

カラオケで浜田省吾を歌っていたら何故か異世界に召還されてしまう。
異世界では勇者ハマダショウゴを呼び寄せたつもりだったが、
実際呼び寄せられたのはただの浜田省吾ファン。

いろんなアニメやマンガのネタが散りばめられた世界をファンが冒険して
巨大な魔物を歌で退治して、めでたしめでたしって感じのお話。


あらすじとしては超ざっくりだが、まぁ大体こんな感じである。


うーん、かなり型破りのコント芝居。
ストーリー的には前述したとおり、異世界に呼び出された1人の男がその世界を歌で救うってだけで、
それ以外はコント詰め合わせみたいな内容の90分だった。

コントとしてのクオリティはちょっと微妙かな。
笑えるところと笑えないところが半々の、それぐらいのクオリティ。
ローラの物真似とラーメン次郎ネタはなかなか面白かったが。


しかしさすがにアニメネタが多過ぎた。
幽遊白書ネタが非常に多く、あとは機動戦士ガンダム、ドラゴンボール、名探偵コナンなどなど。
ナウシカのクシャナらしきものもいたかな?
あとゲームのストリートファイターとか。

自分はそこそこアニメやゲームもついていけるほうだと思うが、
それでもきょとんとしてしまうネタはたくさんあった。
普通の観劇客は果たしてどこまでついていけていたのであろうか?

そういったアニメネタに加えて内輪ネタも多数。
一部のお客だけがそれに爆笑して、その周りは引いてしまっているような状況になっていた。

お客にとって自分がわからないネタを放り込まれるってのは、非常に嫌なものだと思う。
だってそれって「わからない人は知らん!わかる人だけわかればいい!」ってことだもの。
お金払って観に来てるのに、自分が客として無視されてるみたいで嫌悪感を抱いてしまう。

もちろん100%のお客が理解できるネタなんてのは理想論でしかないが、
せめて「だいたいの人が分かるレベル」のものをやってほしい。
観に来ているお客は「アニメオタ向け」とは全く聞かされていないのだから。


もしマニアックなネタで勝負していきたいなら、
公演タイトルもチラシの宣伝文句もそういうことがわかるものにするべきではないだろうか。
マニアックな客層のみを集めて、そのお客が楽しめるのであれば、
それはちゃんとイベント事業として成立するわけだし。
「OVER THE MONOCHROME RAINBOW」を期待して観に来たら
内容はアニメネタ満載の幽遊白書だった、ってのはやっぱり頂けない(苦笑)


ウケる客層が極端に狭いが、面白いことをやっているとは思う。
しかしそれだけに宣伝方法を間違えるとお客を大きく裏切りかねないジャンル。
そのへんをどううまくやっていくかが問題かなと感じた。


 


劇団お座敷コブラ 10畳目公演
「&1night」

2012/12/04更新  ≪ラゾーナ川崎プラザソル≫ ≪劇団お座敷コブラ≫ ≪2012/12

劇団お座敷コブラ 10畳目公演 「&1night」

劇団お座敷コブラ 10畳目公演 「&1night」

【作・演出】
伊藤裕一

【キャスト】
古林一誠、佐藤李発、伊藤裕一、海野亮平、梅澤裕介、岡崎涼子(HIME企画)、
金崎匠(演劇ユニットパラレロニズム)、小林千紘(劇団アニマル王子)、
佐藤みつよ(劇団夢幻)、残間統、四條友起子、関口空子、早乙女敬良
土許麻衣(ワタナベエンターテイメントカレッジ)、中井剛志、中田豪一、
橋本我矛威(子供脳みそ)、林充晃(流星揚羽)、藤宮潤(B-Box)、
MORIZOU、山田せいら(優企画)

【日替わりゲスト】
佐藤朱(青ニプロダクション)、芝井美香(スターダス21)、堀達治

【日程】
2012年11月28日(水)〜12月2日(日)

【場所】
ラゾーナ川崎プラザソル

【チケット】
前売 3,000円
当日 3,500円
全席自由席

【公式HP】
お座敷コブラ公式HP

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過去に幼馴染を失ってしまった悲しみで眠れない体になってしまったアラジン。
悪行にも心が痛まないぐらいにその性格はひねくれてしまっていた。

陰謀で心身を狂わされてしまった王、
その陰謀を持って国家の転覆を狙う側近と科学者、
元盗賊の親衛隊とそのかつての仲間だった盗賊たち、
遠方から帰国してきた王の弟で世界を股に掛けるシンドバット、
偶然にもランプの中から呼び出されたランプの魔人、
様々なキャラクターが織り成すファンタジー活劇。

王の側近の魔の手から姫を守るために
アラジン、ランプの魔人、親衛隊、盗賊、シンドバッドが結託して戦っていく。

いつも以上にざっくりとしたあらすじ紹介でなんだかアレだが、
非常に人間関係が複雑に組み立てられていたお話だったもので。
具体的なあらすじは書いていたらキリがない(笑)

まぁ、いつものお座敷コブラといった感じで、
ファンタジー色満載の冒険活劇って雰囲気のお芝居だった。
笑いあり涙ありダンスありアクションありのテンションの高いお芝居。

冒頭のオープニングシーンの作りなどは流石の一言で、
センスのいいハイテンポの曲の中で大人数がめまぐるしく入り乱れるシーンは
観ていると否が応でもテンションが高まる。
このあたりの構成の仕方はこの劇団は本当にうまい。

ただその後しばらくはあまり魅力的な役者が出てこないため
正直言って失速感はいなめなかった。
ランプの魔人やシンドバッドが出てくるまではちょっとタルかったなぁ。
彼らが出てきてからは一気にシーンの密度が上がって面白くなっていったけども。


ストーリー的には側近の陰謀とか、
袂を分けて敵同士になってしまったかつての仲間とか、
とにかく終始ベタで王道な展開。
それが別に悪いわけではないが、オリジナリティーのあるドキッとさせる要素が
もうちょっとあると良かったかなとは思う。

死なせるなって願い事で本当に死ねなくなって現代まで生きちゃうとか、
「ダブリンの鐘つきカビ人間」そのまんまだしね。
全体的にどこかで観たことあるお話の詰め合わせ感が強かったなぁ。


あと個人的に日替わりゲストの使い方がビミョーかなと。
どういう意図でラストの編集者ポジションに配置したのかがわからなかった。
ゲストを期待してきたお客にとってはボリュームの面で期待ハズレだろうし。
ストーリーテラー的なことをさせたいなら序盤でも出番を与えてもよかったのでは?


全体的にちゃんとまとまっているし、地力も高い劇団。
ただしここ最近の作品は大体観ている自分としては、
ちょっと去年ぐらいから停滞気味な気がする。

爆発的な飛躍を期待したい。


 


川崎インキュベーター主催公演
「光る時間(ひかるとき)」

2012/08/17更新  ≪ラゾーナ川崎プラザソル≫ ≪川崎インキュベーター≫ ≪2012/08

川崎インキュベーター主催公演 「光る時間(ひかるとき)」 川崎インキュベーター主催公演 「光る時間(ひかるとき)」

川崎インキュベーター主催公演 「光る時間(ひかるとき)」

【脚本】
渡辺えり

【演出】
秋葉舞滝子(SPIRAL MOON)

【キャスト】
星達也、鈴木千賀子、延田知香、城戸啓佑、宇野仁美、西村めぐみ、滝沢信、後藤隆宣、
赤嶺鬼若、ひとみまさこ(A)、中野聡子(B)、為平康規(A)、五来英顕(B)

【日程】
2012年
8月10日(金)19:30(A)
8月11日(土)14:00(A)、18:00(B)
8月12日(日)14:00(B)

【会場】
ラゾーナ川崎プラザソル

【チケット】
前売・当日 3,000円
川崎市民・川崎インキュベーター会員・60歳以上 2,500円
全席自由席

【公式ブログ】
川崎インキュベーター「光る時間」 公式ブログ

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舞台はとある旅館の一室から。
姉とその弟夫婦が自分達の両親をねぎらうために家族旅行で訪れていた。
父が70歳の誕生日であるためその誕生祝いも兼ねていた。

しかしタイミングが悪く、旅館はいたるところで工事中、
部屋の中も騒音がひどくてとてもくつろげる状況ではない。
せっかくの家族旅行がうまくいかない弟はずっと機嫌が悪い。

そこに父の友人を名乗る老人たちが次々と現れて勝手に宴会を始めてしまう。
父が自分で呼び集めたらしいが、半分ボケているため本人はそれを思い出せない。
母はいつものことだからと納得し、姉弟は家族水いらずのはずなのにと困惑。

話が進むうちに、彼らは戦時中に生死を共にした友人達だとわかり、当時の回想シーンへ。
友人の戦死や兄の収監とその死、爆撃される工場への理不尽な待機命令。
工場で死の危機を乗り越えたときにされた約束が、
実はこの70歳の誕生日に果たされるものだということがわかる。

ざっくり言うとそんな感じのお話。


舞台は旅館の8畳間が中央奥に作られており、
上手や下手の脇のほうはただの暗い空間。
前半1時間の旅館シーンの間はこの状態が続くのだが、正直寂しい感じがした。
これだけ大きなハコでこういうセットを組むと視覚的に非常に遠く見えてしまうし、
脇の暗い空間に意味が全くないため、空間の無駄遣いにしか思えなくて残念。

戦時中の回想シーンに入ると奥の壁パネルが倒れて
屋根の上になるという仕掛けがされていた。
その仕掛けはダイナミックで転換も早くて 「おおっ」と思った。
ベタではあるが、しっかりと作られた良い装置だと思う。

脇の空間はここからはサスを入れて登場人物の独白などに使われているのだが、
これはイマイチ効果的には思えず。
もっと小さな劇場でやって脇の空間なんてなくしてしまったほうが良かったのではないだろうか。
もしプラザソルでやらなければいけないという制約があったのなら、
もうちょっと違う舞台装置の構成を考えるべきだと思う。


話的には序盤でお客を掴めなかったのが痛手だったように感じた。

70歳の老人を演じる役者が軒並み20代か30代にしか見えなかったという
見た目の問題もあったたが、どちらかというと会話が回っていなかったのが大きな問題。

振り回す立場、振り回される立場が明確になっていて
そのやりとりの妙で笑わせることができる部分がいっぱいあるのに
それを取りこぼしまくっているのだ。

台詞の投げ方が上手い役者が少なかったせいでもあるが、
なにより振り回される弟が「怒り」を前面に押し出し過ぎているのが大きな原因だと思う。
漫才でツッコミがブチ切れていたら笑えないのと一緒。
振り回される側は「怒り」以外で「振り回されている」を表現しなければ見ている側は笑えない。

そのため老人の横暴に弟がただキレまくっているという、
見ていてただ居心地の悪いシーンになっていた。
コメディとまでは言わないが、お客が楽しくドタバタを見れるように仕上げられれば良かったのに。
これでは弟はもちろん、振り回している側の老人達も悪に見えてしまい、
お客は彼らに嫌悪感しか感じなくなってしまう。

そして老人達に悪い印象を持たれたまま回想シーンに入ってしまっては、
そこで生きる彼らの若い姿に共感なんて得ようもない。
後半の回想シーンが大事なはずなのに、
この時点で作品として全体的に破綻してしまうのだ。

実際どうしても自分は登場人物達に感情移入ができず、
どんなに良い台詞を聞いてもイマイチ心に響いてくることはなかった。
伝えたいメッセージがあるからこそ、この時期にこの作品を演ったのだと思うのだが・・・。
なんだか残念な仕上がりの作品になっていたように感じた。


あと父役と、若い頃の父役を別の役者が演じていたのはどういった事情だったのだろうか。
趣味の問題、演出の都合、政治的な事情、いろいろあるだろうが、
この点についてだけは、100%同じ役者が演じるべきであったと断言したい。
別人で演じ分けることで作品が持つ意味はゼロであろう。


見ていていろいろ疑問符が出てしまった作品だった。
個人的な要望として、あまり戦争物の作品でコケてほしくない気持ちがある。
忘れてはいけないものだから、それの伝え方ももう少し丁寧にしっかりやってほしいと思った。


 


CP Project vol.4
「桜の園 チェーホフが描きたかったもう一つの桜の園」

2012/06/11更新  ≪ラゾーナ川崎プラザソル≫ ≪CP Project≫ ≪2012/06

CP Project vol.4 「桜の園 チェーホフが描きたかったもう一つの桜の園」

CP Project vol.4 「桜の園 チェーホフが描きたかったもう一つの桜の園」

【脚本】
アントン・チェーホフ

【演出】
小山裕嗣

【キャスト】
別府寛隆(企てプロジェクト)、永野知里、延田知香(企てプロジェクト)、高部恵子(劇団蒼い群) 、
村田次郎(劇団蒼い群)、佐藤まもる(紙芝居屋・まもる事務所)、ふくもとゆきを(劇団蒼い群)、
小川美紀子(劇団蒼い群)、三木美毅(47ENGINE)、梶原 航、鈴木克昌、
北本あや(アミュレート)、あゆむ(桃)、ひとみまさこ、大澤久美子

【日程】
2012年6月
8日(金) 19:00
9日(土) 14:00/18:30
10日(日) 14:00

【場所】
ラゾーナ川崎プラザソル

【チケット】
前売・当日 3,000円

【公式ブログ】
http://cpproject.seesaa.net/

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言わずと知れたチェーホフの四大戯曲のひとつ「桜の園」。
散財癖の治らない女当主が久しぶりに田舎に戻ってくるが、
その桜の園と呼ばれる場所は借金返済のために売りに出さなければいけない状況。
そんな状況の中で女主人の兄、娘、幼女、召使、商人などが繰り広げる
感情にまみれた会話シーンがメインのお話である。


役者陣は比較的年齢が高めで、
戯曲内の登場人物の年齢に近いキャスティングだったので
違和感もほとんどなく自然に観る事ができた。
若い劇団がチェーホフを演ると大体この年齢の部分で無理が出てしまうことが多い。

演技も落ち着いた芯のあるセリフの吐き方をできる人間が多く、好感を持てる。
実年齢を積まないと出せないような、ナチュラルかつ個性的なトーンのセリフ回しは
聞いていて心地が良い。

舞台中央に吊られた桜の木は美しく、
音響・照明なども十分に評価できるレベルの作品だった。


・・・ただ、率直に思ってしまった感想は「退屈だなぁ」だった。

囲み舞台でほかのお客の顔が鮮明にわかる状況だったのだが、
集中力がなくなってしまっているお客はかなり多く目に入った。
寝てしまっている人もチラホラいたし。

なんていうんだろう、
上手いんだけど、あんまり面白くないって感じ?

普通にこの桜の園の戯曲を読むと、
借金に追われる危機的状況、実らないたくさんの愛情など
悲惨だったり、いたたまれなかったりといった不幸なシーンが多く、
一見「悲劇」の印象を強く受ける。

それゆえにこの作品を上演する団体は
人物描写をどれだけリアルに作れるか、
用意された沢山の長ゼリをいかに感情を込めて上手く読むか、
そういった部分に重きを置いて上演しがちである。
今回のこの公演もそういった部分を強く感じた。

しかし、この戯曲はチェーホフ本人いわく「喜劇」なのである。

登場人物は全員人として何かしら大事なネジが足りていない。
劇中で描かれるたくさんの恋はどれも歪んでいて波乱に満ちている。
この戯曲、喜劇として成立させる面白い要素はちゃんと用意されているのだ。

「喜劇として成立させること」を意識するかしないかで
会話シーンは全く別の弾み方をみせる。
そうなって初めて観客は「退屈」を感じることなく見ることができるのだ。
チェーホフをやる上で一番大事な部分は私はそこだと思っている。


あと囲み舞台の意識が低い人が多かったのが残念だったかな。

客席と舞台が一方向で向かい合ったオーソドックスな舞台では、
セリフを前に飛ばす、無駄に背中を向けない、奥足奥手など
基本的な約束事がある。
いわゆる「ちゃんと前を意識して芝居する」ってヤツだ。

囲み舞台になれば全方向にお客がいるため、どちらが前という概念がなくなる。
しかしこの状況は「前を意識しなくていい」ではなく、
「全方向を意識しなければならない」が正しいのである。
勘違いして前者の意識になってしまっている役者がチラホラと。
こういうのは意識の持ち方次第ですぐに直るものなだけにちょっと残念。

いろいろ書いてしまったが、
集まっている人間の地力は高く、評価できる団体だと思う。
今回は3年ぶりの復活公演だったみたいだが、
是非とも定期的に公演を続けて、より上を目指してほしいなと思った。


P.S.
今回の芝居のタイトルに「チェーホフが描きたかったもう一つの桜の園」という
サブタイトルがついているのだが、
蓋を開けてみれば、ノーカットの初稿版を使用したってだけのことで
他でもよくみかけるオーソドックスなチェーホフの桜の園だった。

このサブタイトルを見た人は皆
「いままでどんな団体もやってこなかったようなアナザーな演出の桜の園」を期待してしまう気が。
コレ思うの私だけ?


 


人衣企画プロデュース公演
「やっぱりカフェが好き」

2012/05/27更新  ≪ラゾーナ川崎プラザソル≫ ≪人衣企画≫ ≪2012/05

人衣企画プロデュース公演 「やっぱりカフェが好き」

人衣企画プロデュース公演 「やっぱりカフェが好き」

【脚本】
江頭美智留(劇団クロックガールズ)

【演出】
高坂雄貴(いと、まほろば)

【キャスト】
青木 梨乃、安藤 友美、大嶋 伸治、大貫 真代、大山 武史、岡本 伊津美、小田 直輝、葛西 祥太、
斉藤 慎介、齋藤 弘樹、坂本 大河、佐々木 義紀、里見 駿、佐山 知範、銀 元太、高橋 良行、
殿 あまね、永田 瑛、長井 鈴菜、根本 玲那、馬場 日菜子、廣田 亜也加、藤原 理恵子、
美川 奈穂、宮内 結、守屋 惠美、山藤 桃子

【日程】
2012年5月
23日(水)19:00【\(^o^)/】
24日(木)19:00【/(^o^)\】
25日(金)14:00【\(^o^)/】19:00【/(^o^)\】
26日(土)13:00【/(^o^)\】18:00【\(^o^)/】
27日(日)13:00【\(^o^)/】18:00【/(^o^)\】

【場所】
ラゾーナ川崎プラザソル

【チケット】
前売 3,000円
当日 3,500円
両チーム通しチケット 5,000円

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川崎にありながらも見栄で「カフェ代官山」と名乗る喫茶店。
店内はいつもガラガラで閑古鳥状態。
そんな状況を打開すべくマスターとバイト君が斬新な喫茶店のアイデアを捻出する。
それらのアイデアひとつひとつをオムニバス形式で短編構成的に繰り広げていく。
韓流ドラマなりきり喫茶、お見合い喫茶、擬似家族喫茶などなど。
最終話ではカフェに関わった人々が全員集合して閉店パーティーを行うが、
劇団喫茶ならぬ、喫茶店劇団を立ち上げることになって、めでたしめでたし。


脚本はかの「ごくせん」や「1リットルの涙」を手がけた江頭美智留氏。
期待が持てるかと思っての観劇だったが見事にカウンターパンチを喰らってしまった。
いくらなんでもクオリティが低すぎる。


まずは脚本に関して。
短編構成にしたのは効果的でなかったのではないだろうか。

さびれた喫茶店を盛り上げるために試行錯誤していくメインテーマがあるにも関わらず、
それぞれの話は完全に独立していてほとんど結びつかず、
全話に通して登場する店長達も人間的成長もしなければ人間関係の発展も見受けられない。
そもそもお店のためのアイデアの試行錯誤も真剣にやっている感が薄く、
見ていてちっとも共感できないのだ。
最後に登場人物全員出して、「なんだかうまくまとまりました、チャンチャン♪」では
あまりにお粗末な展開だと思う。

唯一、話として比較的まとまっていた家族喫茶の話をもっと膨らませて、
1本の90分芝居を作ったほうが良かったのでは?


次に演出面。
演劇のセオリーを破ったかなり破天荒な演出だった。

現代劇にも関わらず、当たり前のようにイロモノが多数登場するのだ。
冒頭ではGガンダムの司会の人を模したキャラクターが語り、
ダンボール製の地獄大使、ダンボール製の巨神兵とクシャナなんかも出てくる。
小ネタでは聖闘士星矢ぶっとび、プリキュア、ライダーキック、ワンダースワンなど
アニメやゲーム寄りの嗜好が見えるものが非常に多かった。
とにかく小ネタ満載で、小ネタ見せるために脚本にストーリー足してると思われる部分も多数。

個人的にはセオリー破りの作品は見慣れているし、好きでもある。
しかしセオリーを破るなら、セオリーを破るだけの「何か」が必須である。
その「何か」というのは、例えば底抜けに面白いとか、度肝を抜かれるとか、何でも良いのだが、
この作品に関して言えば、そういった惹かれる要素は全くなし。
ただ「セオリーを破っただけ」で終わってしまっているのだ。
これではお客はただ引いてしまうだけである。


そして役者面。
オーディションで集めたらしいが、技術レベルが低い役者が多すぎる。
30人近くキャストがいて、見れる演技をする役者がたった数人というのは正直キツイ。

セリフは叫び声的な聞き取り辛いトーンを多用する人が多く、
単語の立て方、相手との距離の取り方など、見ていて気になる部分が盛り沢山。
あと、とにかく止まってしゃべれない役者の多さにびっくりした。
テンションと自分の感情に任せて気持ち良く演技していて、
それが他からどう見えているかを自覚できていないのがよくわかる演技。

役者として当たり前の技術があまりに備わっていなくて、
セオリー破るどころかセオリーさえできねぇんじゃねぇかテメェと言いたくなる。
(↑言い方汚いけど自分が感じた率直な感想です)


最後に制作面で1点。

この公演はダブルチームなのだが、そのチーム表記がコレ。
【\(^o^)/】【/(^o^)\】
読めないし間違えろと言わんばかりに似た表記になっている。
脚本、演出、企画、いったいどの部署が発案したの知らないが、
制作はこれGoサイン出しちゃダメじゃない?

しかも後になって初めてこの表記の読み方がわかったが、
【\(^o^)/】ナンテコッタバージョン
【/(^o^)\】オワタバージョン
というらしい。
これは劇場に設置されていた看板と、前説・後説でしか知らされない。
公式HPにもビラにも当パンにも記載されていないのだ。
いくらなんでもそれはお粗末だろう。


この人衣企画は今回が旗揚げだったらしいが、
いったい何を目指した企画だったのだろう?

正統派ドラマで名の通った脚本家を使い、
自分の嗜好ゴリ押しのコントを作る演出家を使い、
まだ実力の伴っていない若手役者を大勢使い、
誰に何を見せたかったのだろう。

失礼な言い方だが、企画として二回目があるとはとても思えない。
企画サイドがこの公演を本心でどう考えているのか。
機会があるなら聞いてみたいものだ。


 


相模舞台同盟 春興行2012
「SILVER」

2012/03/18更新  ≪ラゾーナ川崎プラザソル≫ ≪相模舞台同盟≫ ≪2012/03

相模舞台同盟 春興行2012 「SILVER」

相模舞台同盟 春興行2012 「SILVER」

作・演出:
實方誠一郎

キャスト:
谷生優子、柳沼慶樹、藤本ゆき乃、佐藤麻実、関根圭太、茂原純子、大畑美恩、
成瀬優子、片山賢人、田部裕士、渡邊真衣、遠藤正志、宮下真弥、小熊絢、鈴木勇太
長栄雄大、橋爪美智代、雨宮ゆりの

場所:
ラゾーナ川崎プラザソル

公演日時:
2012年
3月17日(土) 13:00 / 18:00
3月18日(日) 14:00

料金:
前売2500円 当日2800円

公式HP:
http://www.sagabu.com/

=========================================================


おおまかなストーリーは
女海賊シルヴァーがいつものように海賊ブロンズのお宝を横取りすると
その宝箱の中には一人の女の子が入っていた。
じつはその女の子は海賊クリスティーナに乗っ取られた国から逃げ出してきた王女。
クリスティーナが乗っ取った国は銀の砂時計の呪いによって封印されていたのだが、
その呪いが解けてしまい、クリスティーナたちはまた悪事を働き始める。
それに立ち向かうシルヴァーたちと海軍たち。
そんな感じのお話だった。

歌ありダンスありアクションありのエンタメ舞台。
上演時間は途中休憩挟んで2時間半ちょっと。
お客の客層は演劇としてはかなり若く、固定ファンが多そうな雰囲気だった。

舞台装置は奥に6尺高の高台を作ってあってけっこう気合の入ったものだった。
あと映像投射用の幕が設置されており、キャスト紹介や場転演出などに使われていた。
照明はムービングなんかも導入されており音響演出も派手派手。
演出全体の雰囲気としては、ちょっとした新感線テイストって感じかな。


しかし開演して、ものの10分足らずでガクーン。(;´Д`)


開始直後の群集シーンで全くセリフが聞き取れないのだ。
芯の人間がしゃべっていても群集のガヤゼリフは収まらないし、足音もひどい。
しばらくの間いまいったい何のシーンなのか全く理解できなかった。
開始早々いきなり突き放されてしまった印象。

群集シーンが終わった後もちょっと厳しい展開。
メインを張っている役者たちの声量は小屋のサイズに比べてかなり小さく、
大した声量でもないのに叫び声のようなノドにかかった発声をしているので
滑舌が極めて悪くて全然セリフが届いてこなかった。

しかもかなりたくさん小ネタが挟まっているのだが、
ボケゼリフもツッコミゼリフも聞き取れないという、面白い面白くない以前の問題。
演出は稽古の段階で何度も前から見てるだろうに、この状況を何故放置しているのか?

ツッコミセンスがあるジョニー役、
客席を意識したセリフの投げ方ができていた現役元帥役と元・元帥役、
この3人の出番が増えてくる中盤以降は格段に見易くなって
ストーリーにも素直に引き込まれることができた。
序盤から彼らが引っ張るようなキャスティングだったら良かったなというのが正直な感想。

あと役者への個人攻撃みたいになってしまうのでこういった事を書くのは抵抗があるが、
最強の実力を誇るはずであるシルヴァー役の女性のアクション技術の低さ、
これだけはなんとかならなかったのだろうか?
盛り上がるはずのラストシーンで、劇中で一番クオリティの低い殺陣を見せられるのはキツイ。
アクションをウリにしている劇団のように思ったので、
そこだけは何があってもこだわってほしかった。


・・・いろいろ厳しいことを書いてしまったが、
ここは悪い集団ではない、惜しい集団なのだ。
発声や見せ方の意識などをほんの少し変えるだけで化けてくれる集団だと思っている。
名前、実力ともに神奈川を代表するエンタメ集団になってくれることを切に願う。

P.S.
土下座から逆立ちするネタは今年一番のツボだった


 


第4回川崎インキュベーター合同公演
「ハイパーアトラス」

2012/03/02更新  ≪ラゾーナ川崎プラザソル≫ ≪川崎インキュベーター≫ ≪2012/03

第4回川崎インキュベーター合同公演 「ハイパーアトラス」 第4回川崎インキュベーター合同公演 「ハイパーアトラス」

第4回川崎インキュベーター合同公演「ハイパーアトラス」

<脚本>
河田唱子(へらへら眼鏡)

<構成・演出>
笹浦暢大(うなぎ計画)

<キャスト>
綾水月夜(Voice Dream)、安藤友美、石戸サダヨシ(劇団宇宙キャンパス/Re:Play)、
伊藤綾佳、伊藤優希(浅草たいこばん)、大山武史、岡朝子、蔵重智(ライト・トラップ)、
斉藤慎介、三枝ゆきの、佐藤みつよ(劇団夢幻)、里見駿、宍戸麻衣、
島貫晶江(猫と金魚)、清水智未(プロダクション・エース)、須藤旭、田辺敬太、
田原慎太郎、辻創太郎、ナラハナミ(劇団夢幻)、根生夏美(メインキャスト)、
ひとみまさこ、深尾尚男(企てプロジェクト)、藤井雅貴、布施晃、古川結衣、増渕清美、
三木美毅(47ENGINE)、三森伸子、南ちえみ、森田竜介、柳田清孝、
吉永麻美(19'プロデュース)、龍谷真紀子(U-studio ミュージック)、高島正典

ゲスト出演:
桑野東萌・・・・・1日、2日
井上麻里奈(シグマ・セブン)・・・3日
森澤碧音(ダンスカンパニーMKMDC)・・・4日

<日程>
2012年3月1日(木)〜3月4日(日)
1日(木)19:00
2日(金)14:00/19:00
3日(土)14:00/19:00
4日(日)14:00/18:30

<会場>
ラゾーナ川崎プラザソル

<チケット料金>
☆一般
前売 2,800円
当日 3,000円
☆中高生及び65歳以上(要証明書)
前売 1,500円
当日 1,800円
☆地域住民割引(要証明書)
川崎市民割 500円引き(割引併用不可)

==========================


川崎を舞台にしたSFファンタジー。
総勢35名の出演者が入り乱れる2時間15分のお芝居。

ストーリーはざっくり言うと、
人々はドームで隔離された世界で統治されていて、
ネガティブ感情を吸い出すディスポーザーという機械によって
治安を守っている警官隊的な存在(ハイパーアトラス隊)が活動中。
でもその部隊の隊長(主人公)は外の世界での自由を熱望している。
突如「感情が実体化した化け物」が現れだしたことをきっかけに、
隊員や研究者、統治者、外への希望を持つ人間達の思惑が入り乱れて、
大きな惨事へと発展していってしまう。
そんな感じのお話。


舞台装置は高低差があってハケ口も多彩でおもしろい作りをしている。
音響照明はこのハコは機材そのものが充実しているし、
その使い方も非常に巧くて見ていて気持ちがいい。

役者はいろんなところから集まっているようで、
かなり手馴れた役者から、あらら初舞台なのかなって人、
この人どーみても普通の主婦だろって人まで様々だった。
なので役者個人のレベル差はかなり大きかった。


うーん、なんて評価のしづらい舞台だ(汗)

制作側はこの公演について、いったいどれを目指しているんだろう?
地域密着市民参加演劇?
それともプロフェッショナルな芸術作品?

多人数でのめまぐるしいアクションシーンが非常に多い、
独自の専門用語や設定がたくさん飛び交うお話、
数多い登場人物の名前と関係性をしっかり拾っていかないと話が全然わからなくなる、
などの点で、お客の年齢層の間口が狭いように思う。
これは市民演劇として見たときに大きなマイナス要素。

出演者は来るもの拒まずだそうで、そのおかげでやはり演技力の低い役者が目立つ。
登場人物が35人と非常に多く、それぞれにそれなりのピックアップシーンが作られているので
ストーリー全体が広く浅くなってしまっている。
それ故重要人物の心情をしっかり描くシーンが少なくて、いまいちどのキャラにも共感しづらい。
その結果、感動できるはずのシーンでいまいちグッっとこない。
こういった点はプロフェッショナルな芸術作品としては大きなマイナス要素。

地域密着型市民演劇をやりながらもプロフェッショナルな作品を目指そうとしているのかな。
盛り込まれていたアクション、ダンスなんかも含めてそうなのだが、
やりたいこと全てを盛り込もうとして全体としてまとまりきらず、
「どういった人に対してどういった見せ方をしたいのか」のピントが定まってない印象を受けた。

隔離された世界、感情を吸い取る機械、感情が実体化した化け物(通称:感情ゴミ)など、
設定的には十分におもしろいものを感じるし、
実際に非常に魅力的に感じるシーンも多数あった。
個人的には登場人物をもっと絞った、心情の掘り下げの深い作品として見てみたかったな。

たぶん、いろんな大人の事情があったんだろうけどもね。
そういった大人の事情をできる限り排除した、まったく違う形での再演を希望したい。


 

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