日々是劇評

関東圏内で観劇した舞台について率直に感想を書いています。
自分用の備忘録みたいなもんなんで遠慮なく辛口な批評もしています。

絞り込み 劇場=「上野ストアハウス」

セブンスキャッスル 「人狼 ザ・ライブプレイングシアター #08:MISSION The Castle Job」  @上野ストアハウス 2013/12/30
立体再生ロロネッツ 「間宮汽船」  @上野ストアハウス 2013/12/13
劇団東京晴々 「帝国のクッキング」  @上野ストアハウス 2013/11/29
ソラリネ。#10 「止むに止まれず!」  @上野ストアハウス 2013/11/01
企画ユニットあいてむぼっくす 「踊れ☆酪農家族」  @上野ストアハウス 2013/10/27
KanikusoPRESENTSオムニバス公演#2 「秋のき、冬のゆ。」  @上野ストアハウス 2013/03/05

※本文中に激しくネタバレ含みます!
 上演中の公演についてこれから観劇予定の方は閲覧ご遠慮ください。


セブンスキャッスル
「人狼 ザ・ライブプレイングシアター #08:MISSION The Castle Job」

2013/12/30更新  ≪上野ストアハウス≫ ≪セブンスキャッスル≫ ≪2013/12

セブンスキャッスル 「人狼 ザ・ライブプレイングシアター #08:MISSION The Castle Job」

セブンスキャッスル 「人狼 ザ・ライブプレイングシアター #08:MISSION The Castle Job」

【脚本】
上城友幸

【構成】
セブンスキャッスル

【演出】
林修司

【監修】
吉谷光太郎

【キャスト】
松崎史也、ウチクリ内倉、大里雅史、加藤光大、永石匠、高木俊、康喜弼、阿部直生、
橋本顕、浅倉祐太、橋本祐樹、佐藤優次、石井由多加

【日程】
2013年12月25日(水)〜12月31日(水)

【会場】
上野ストアハウス

【チケット料金】
前売
 SS席 4,600円
 S席 4,200円
 A席 3,800円

当日
 SS席 5,000円
 S席 4,600円
 A席 4,200円

【公式ブログ】
http://7th-castle.com/jinrou/perform.php?008

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時に21世紀初頭。
政府の手により極秘に産み出された超感覚強化系ドラッグ“C7(シーセブン)”を強奪するべく、
選りすぐられた15人のプロフェッショナル達が集められた。
ターゲットの売却価格は――50億ドル。
それぞれのプロフェッショナルがそれぞれの仕事をこなし“作戦”は無事に成功を収めた。

だが、ここで問題が発生した。
ドラッグの隠し場所を知っている仲間が2人、何者かに立て続けに殺されたのだ。
犠牲者は死ぬ前にメッセージを残した
――『獣人化ドラッグ“人狼”をキメたヤツがこの中に3人いる』、と。

残されたのは13人の悪党たち。
人狼と悪党――50億ドルを賭けた戦いが、今始まる……!



最近流行ってきた人狼ゲームのステージもの。
それぞれの設定と最初のあらすじは決まっているが、
そこからは人狼ゲームの展開次第でどうなるかは誰も知らない。


こういった人狼ゲームを扱った舞台では、いかにお客を引き込むかが重要になる。
なんせ通常の演劇でいう脚本は用意されていないのだ。
ただ舞台上で知らない人が人狼ゲームをやっているだけでは見世物として成立しない。
お客からお金をとるにはそれ相応のパフォーマンスが必要だ。

チケット料金が高めに設定されていること、
イケメン系のジャニタレ的雰囲気のキャストが多いこと、
そのため正直言って、観劇前は本当に面白いのかなと不安に思う部分があった。


しかしそういった不安はすぐに杞憂であることがわかった。


まず演出がキッチリしている。
オープニングのダンスパフォーマンスから、
ゲーム開始までの盛り上げ方、
毎晩挟まれるお客とのトークコーナー、
どれもしっかりと考えて作られていて非常に楽しめた。


そしてキャストのスキルがしっかりしていること。
さすがに全員とは言えないが、キャストの大半は人狼の駆け引きのノウハウを熟知しており、
さらにトーク力、ギャグセンスも申し分ない人間が揃っていた。
彼らが序盤からお客に好かれる立ち方ができているので、
お客としては舞台上のゲームが他人事にならず、最後まで興味深く観続けることができた。


また、お客には命を落としたキャストの正体を毎回明かしていたことは良いと思う。
本来はゲーム終了まで誰がどの役職なのかを完全に断定できない人狼ゲーム。
(襲撃で死んだ人が人間だって断定できるぐらい?)
お客に「命を落としたキャストの正体」という情報を小出しにしていくことで、
真実が少しずつ明るみになっていく楽しさが与えているため、
敷居を下げる意味でもお客にとっては良いシステムになっていたのではないだろうか。


総合的に非常に楽しい舞台であったと思う。
シリーズ化して続けていくようだが、是非これからも質の高いパフォーマンスを提供していってほしい。

また次に期待。


 


立体再生ロロネッツ
「間宮汽船」

2013/12/13更新  ≪上野ストアハウス≫ ≪立体再生ロロネッツ≫ ≪2013/12

立体再生ロロネッツ 「間宮汽船」 立体再生ロロネッツ 「間宮汽船」

立体再生ロロネッツ 「間宮汽船」

【脚本・演出】
牧島敦

【キャスト】
宇佐見未奈(立体再生ロロネッツ)、ジェット朗(立体再生ロロネッツ)、おくだりえ(立体再生ロロネッツ)、
池田俊介(立体再生ロロネッツ)、田口和(立体再生ロロネッツ)、池澤夏之介、市川彩、
大久保悠依(ナイスコンプレックス)、こいけ、佐藤麻里子、中村大悟、中村充宏(東京ドラマハウス)、
馬場あずき((馬)真肋製菓)、藤本ひでたか、渡辺優美

【スタッフ】
演出助手: 宇佐見未奈(立体再生ロロネッツ)
舞台監督: 伊藤清一(a58b)
舞台美術: 石倉研史郎(a58b)
音響: 水野裕・なかいももこ
照明: 若原靖(LICKT-ER)
衣裳: さりー(a58b)
メ イ ク: 我那覇多笑美
音楽: カトヒロ
振付: 吉野友香乃
映像撮影: 佐藤宏之
写真: 佐藤静香
宣伝美術: 瀧山真太郎
広報: わたなべみな・大槻桂子(立体再生ロロネッツ)
企画制作: 立体再生ロロネッツ

【日程】
2013年12月12日(木)〜12月15日(日)

【会場】
上野ストアハウス

【チケット料金】
前売  3,000円
当日  3,500円
ペア割  5,800円(2名分)
花の金曜日割引  2,800円
松(小学5・6年生):  1,500円
竹(中学生):  2,000円
梅(高校生):  2,500円
とことこ:  2,500円 ※大人1名と小学校4年生までのお子様2名まで
マミヤさん:  1,000円

【公式HP】
http://www.steroro.com/

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お金持ちの会長さんが船上で自分の生前葬をしたいということで、
その家政婦が間宮汽船に依頼しにきている。

そして生前葬当日。
70名ほどを招待していたが、残念ながら集まったのは10名程度。
しかも彼らはここが生前葬の場であることを知らされていない。

突然海賊に扮してシージャックを仕掛ける間宮汽船の社員達。
状況が理解できずにとまどい、苦情を訴える乗客たち。
そこでいきなり社員の一人に会長の魂が乗り移る。
会長の魂は若き日の戦時中のもので、何故か船をとりまく状況も戦時中に。
船は戦闘機や潜水艦に襲われてしまう。

とっさの機転で戦闘機や潜水艦の難を逃れた間宮汽船。
そこで正気に目覚めた乗客たちは状況を推察する。
すでに会長は亡くなっていたため生前葬ではなくなってしまったが、
擬似的な海への散骨ということで、マジック用の紙吹雪を海に撒く。

幕。



だいたいこんな感じのお話。
上演時間は1時間50分。


いやー、ひどい。


劇団員による前説がグダグダだった時点でかなり嫌な予感はしていたのだが、
その想定のななめ上をいかれてしまった。


とにかく終始ギャーギャー騒いでる印象だった。

サプライズの生前葬を強引に仕掛ける社員達、
それに反抗して怒号を飛ばす乗客たち、
さらにそれを上から押さえ込む社員達。
もうずっとギャーギャー騒ぎ。

その応酬がひたすら続いてウンザリしていたところで会長の魂が社員に乗り移って、
命令する会長に対してまたギャーギャー騒ぎ。
もう、ただただうるさいだけの時間だった。

もしかしてこんなものをドタバタコメディだと思っているのだろうか?
何をお客に見せたいのか、伝えたいのか、全く理解できなかった。


そして騒ぎが収まって、いまさらになっての乗客同士の自己紹介。
メインであろう大騒動を散々やった後に、そんなまったりした時間見せられても、
観てるこっちは「早く終わってくんないかな」としか思わない。

しかもその自己紹介を済ませても謎は全く解決しないときたもんだ。
乗客同士に全く共通項はないし、生前の会長とも比較的疎遠な人間が大多数。
よくわかんないけど必然的に集まったんだよきっと、みたいな
腑に落ちない説明でみんな納得して紙吹雪を撒く。
あんだけ不条理にギャーギャー暴れておいて、最後に納得いく説明も提示してくれないのか。
あの苦痛な時間を耐えたことさえ報われない(怒)


小ネタもクオリティ低いし、
テンポ崩して間延びするようなしつこいネタが多い。
このへんは役者の技量の問題か。


あと暗転が多過ぎ。
ここの演出部は、よその劇団の公演って観に行ったことないのだろうか?
いまどき場転全てを暗転で行う芝居なんて、逆にレア過ぎて貴重に思えるぐらいだ。
演出的に意味のある暗転、それ以外の暗転は客の集中を切るだけの無価値の時間である。


ほか、銃がどうとか、敬礼がどうとか言いたいことは沢山あるが、
気になるところを全部羅列してもキリがないし、意味もない。
それぐらいにあらゆる面が粗かった。

うーん、いつもなら「次に期待」で文を〆るところなのだが・・・
現状ではブラックリスト入りしてしまうなこれは。


 


劇団東京晴々
「帝国のクッキング」

2013/11/29更新  ≪上野ストアハウス≫ ≪劇団東京晴々≫ ≪2013/11

劇団東京晴々 「帝国のクッキング」

劇団東京晴々 「帝国のクッキング」

【作・演出】
矢野未知生

【キャスト】
塩原啓太、村田広美、森木麻衣、さいとうあき(バカバッドギター)、三枝万里子、
山崎侑佳子、加藤朝飛、荻山規恭(劇団神馬)、若月渉、後藤啓太、鮎沢由祐

【スタッフ】
舞台監督: 酒井健太(Route∞)
演出助手: 後藤啓太
舞台美術: 矢野未知生
照明: 松本永、白井里奈
音響: 和嶋幸子、としくに(渋家)
衣装: 黛由美子、森木麻衣、鮎沢由祐
チラシデザイン: 井上梓
制作: 井上梓

【日程】
2013年11月29日(金)〜12月1日(日)

【会場】
上野ストアハウス

【チケット料金】
前売・当日  2,800円
平日マチネ割 2,500円

【公式HP】
http://www.tokyo-harebare.com/

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1939年の東京が舞台。

食糧事情の悪化により、国は食材の節約術を国民に広めようとしていた。
上野下アパートメントでも節約料理の教室が開かれ、
そこではドイツ帰りの講師・佐山や、アメリカ人とのハーフである助手の一之瀬が、
アパートの住人である女性達に料理を教えていた。

一週間後に迫る節約料理の講評会。
そこで結果を出せなければアパート住人への食料配給がなくなってしまう。
その事情を厚生省の役人・木村から知った佐山は焦りながらも料理を教えていくが、
考え方の違いもあって、教え子達との心の距離は離れていく。
ついには料理教室はまともに機能しなくなってしまい、講評会さえも中止になってしまう。

事情を知った一之瀬は木村に再検討を頼み込み、
教え子達の料理を直接食べてもらって、料理教室の成果を確かめてもらうことに。
いろんなアイデアを出し合って団結する教え子達。

当日、料理としては素晴らしいものを作り上げたが、
難癖をつけてそれを認めない木村。
しかし元ヤクザ(勘違い)の香川の活躍により木村は逃げ帰っていく。
アパートの住人達は食糧配給の危機を免れる。

アパートの住人達にこれまでの非礼を詫びた木村は
料理教室の今後を一之瀬に託す。
誰もいなくなってしまった部屋の中、泣きながら静かに一礼する木村。

幕。


だいたいこんな流れのお話。
上演時間は1時間30分ぐらい。


キャラクターも立っているし、
ヤクザの経歴の勘違いや、名前の勘違いからくるドタバタはおもしろかった。

個人的には作家志望の山之内くんの挙動不審なキャラクターがお気に入り。
振り回されるキャラとしては、非常に良いトーンでしゃべるなぁと思った。
彼が「ええーっ!!」ってなってるだけで見てるこちらは笑えてくる。
あとは天然なのかそうなのかよくわかんない、教師の岩見さんもいいね。


ただ、全体的にテイストが軽すぎるなぁと思った。

開戦直前の日本にしては登場人物の日常がほのぼのとし過ぎていて、
もう漂っている空気が2013年現代そのものなのだ。
戦争への緊張感、食糧難への不安、そういうものを抱えて生きている雰囲気が
微塵も登場人物から感じられないため、違和感がたまらなく大きかった。

男尊女卑の程度だって、今とは比べ物にならないような状態だった。
劇中で女性が男性に対して非常に強い物言いをしているシーンが数多くあったが、
当時の日本の文化ではそれはあり得ないであろう。
そういった非現実的な事象が積み重なると、やはり物語が崩壊してしまう。


こういったライトな空気の作品を作りたかったのなら、
全く別の設定で現代劇としてやってもよかったのではないだろうか。
「料理」、「女性の強さ」、どれにテーマとして一番重きをおいていたのかわからないが、
あの時代を舞台にすると、どうしてもほかのテーマは「戦争」の圧倒的な重さに食われてしまう。
設定として、もうちょっと違う選択肢があったのではないかなぁと思う。

逆に重いディープな作品を作りたかったのであれば、
ちょっとそれは…もっとがんばろう。(汗)


戦時中の脚本って、ホント難しいね。
あらためて思った。

次に期待。


 


ソラリネ。#10
「止むに止まれず!」

2013/11/01更新  ≪上野ストアハウス≫ ≪ソラリネ。≫ ≪2013/11

ソラリネ。#10 「止むに止まれず!」

ソラリネ。#10 「止むに止まれず!」

【作・演出】
佐藤秀一(3LDK)

【キャスト】
剛たつひと(ケイ☆サイド)、大坂のどか、木村慎一(弾丸MAMAER)、
藤島琴弥、服部あつえ、山口真理映、馬庭良介、天野哲也、辻創太郎、
庭山美保、永作あいり、田口治、山田真由子、永井友加里、kino、
肥田強志、重見将臣、齋藤伸明、篠田恵理

【スタッフ】
舞台監督: 吉川尚志
照明: 吉田雅史、谷地あゆみ(アイコニクス)
音響: 滝口美幸
舞台美術: 門馬雄太郎
ヘアメイク: 結城小百合、田中幸実
スチール: 原圭吾
衣装: 森千晶
方言指導: 松島圭二郎
宣伝美術: 平井辰夫
制作: 坂上裕美(AsPLUS)
制作協力: 安由利子
プロデューサー: 森友ひかり
企画・製作: ソラリネ。

【日程】
2013年10月30日(水)〜11月4日(月)

【会場】
上野ストアハウス

【チケット料金】
前売  4,200円
当日  4,500円
最前列かぶりつき席 5,000円

【公式HP】
http://sorarine.com/

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舞台は広島県、とあるお好み焼き屋さんの居間。

そこでは頑固で昔気質な父・正隆、
のんびりとした天然お姉さん系の長女・はるか、
男勝りの性格でざっくばらんな性格の末妹・ひとみ、
住み込みの従業員の青年・中田が住んでいた。
母はすでに他界していて、長男・あきらは東京に出て行ったきり。

ある日突然、音信不通だったあきらから連絡が入る。
婚約者を連れて一緒に帰省するとのことだった。

しかし戻ってきた「あきら」は性転換して、
完全に女性となっていたのだった。
しかも男性の婚約者・真一を連れてきた上に、
あきらは真一に過去の自分をカミングアウトしていない。
その事実を真っ先に知ったひとみと中田は大慌て。

なかなか秘密を言い出せないあきらを尻目に、
誤解が誤解を生んで状況はどんどん悪化していく。

父やはるかは、女性の姿のあきらをあきらの婚約者と勘違いして、
さらに真一の事をひとみの婚約者だと勘違いしてしまうし、
たまたまやってきたひとみの彼氏・藤田は、
ひとみと真一が結婚すると誤解して怒り狂ってしまうし、
あきらにまだ未練がある元カノ・ゆきは、
あきら本人をあきらの婚約者と勘違いして敵意を剥き出しにするし。

これ以上ないぐらいに家の中はドタバタしてしまう。
決意したあきらは全てを全員の前でカミングアウトする。

最初は父も真一もあきらに対して否定的な態度をとっていたが、
話をしていくうちにその理解を得る。
父親としての立派な姿を見せる父。

しかし、その父にも実は新しい恋愛相手がいて・・・
全員総ツッコミ。
幕。


ざっくりと書くとだいたいこんな感じのお話。
上演時間は約2時間。
ジャンル的には、ハートフル・ドタバタコメディといったところか。


誤解が誤解を生むドタバタコメディ作品はすでに世の中に無数にあるが、
その中でも群を抜いて素晴らしかったと思う。

とにかく誤解の量がハンパない(笑)

婚約者を連れて帰ってくる長男が実は性転換していて、
しかも婚約相手として男性を連れ帰ってくるという状況だけで
すでに家庭は大混乱確定のはずだ。

そこに二重、三重、四重、五重の誤解が重なって、
ドタバタが、もう本当に笑うしかない状況にまで発展していくその滑稽な様子は
観ていてメチャクチャおもしろかった。

たまたま全ての誤解の現場に立ち会っていて
全事実を把握している中田が右往左往している姿は、
見事にお客の気持ちを代弁していて素晴らしかったと思う。
「俺はこの家の全てを知っている!」ってセリフでは大爆笑してしまった。


あきらが真実をカミングアウトしたところからは
空気が一転してシリアスモードに。

その内容は良かったが、展開がなかなか前に進まなくてちょっとタルく感じてしまった。
前半の誤解によって作られた複雑な人間関係からくるドタバタ。
それを理解するために、お客の脳の回転速度はマックスまで引き上がっている。
その脳の回転速度に対して終盤のスローペース展開は
ちょっとそぐわないかなと思う。

まぁ、真面目なシーンをじっくりしっかりと演じたからからこそ、
ラストの軽快なオチが生きてくるって部分もあるのだが。
難しいね、演劇って。


あと個人的にはキャストの広島弁がちょっと気持ち悪く感じてしまった。
広島県の中でも地域差はあるのだろうが、
自分が知っている広島弁とは違いを感じた部分が多くて違和感があった。
まぁ、気にするには些細過ぎることなんだけど。


練りに練られた計算高い脚本、しっかりと作られたセット、
さらに役者の地力も高かったこともあって、非常に良い作品だったと思う。

次回公演を楽しみに待ちたい。


 


企画ユニットあいてむぼっくす
「踊れ☆酪農家族」

2013/10/27更新  ≪上野ストアハウス≫ ≪企画ユニットあいてむぼっくす≫ ≪2013/10

企画ユニットあいてむぼっくす 「踊れ☆酪農家族」

【作・演出】
進藤雄太

【キャスト】
筑田大介、森アサヒ、鳥羽優好、桜井真紀、村尾祥平、中城聖、日向彩乃、
稲垣圭子、飯田恭子、福岡幹之、柳原光貴、みっきぃ、東山優希、石川航、
kotoki、大谷結香理、望月信行、進藤雄太、伽月里衣、藤枝みのり

【日程】
2013年10月24日(木)〜27日(日)

【会場】
上野ストアハウス

【チケット料金】
前売  3,000円
当日  3,300円
平日マチネ割 2,800円

【公式HP】
http://itembox.aikotoba.jp/rakunou.html

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酪農場を経営する壇郷一家。
そこに新人女性ヘルパーがやってくるところから物語が始まる。

牛乳にこだわり続ける寡黙な性格のオヤジさん、
実地研修生から跡継ぎ婿を探すのに熱心なお母さん達、
みるくという名前をつけられて、牧場の仕事にも嫌気がさしている娘。

そんな頃、別の乳業会社で大きな契約の話が動いている。
しかしその契約の最終段階にきて、社長は行方をくらましてしまう。
それには契約相手もカンカン。

社長の行方を必死に追う社員たち、
実地研究生たちの恋の三角関係、
そんなドタバタを酪農農場を舞台にして描いた、
コメディタッチのお話。


ざっくり書くとだいたいこんな感じのお話。


うーん、若い。

脚本も演出も役者もダンスも若い。
それはもう、物販や当パンの挨拶文まで。
もう何から何まで若過ぎる。

全てが若い。
トゲのある言い方に変えると、全てが青いのだ。


それはもう、オープニングダンスから。

チープな振り付けで、誉められたレベルでもないダンスを
地明かりと大差ない地味な照明の中で踊っているのだ。
何をどう見てもお遊戯会的な空気。
もうこの時点で沸々とイヤーな予感が。。。


なんだろうなぁ。


まず、テーマがよくわかんないことになってる。

「酪農」「家族」「命」「絆」をテーマにしていると当パンにあったが、
「酪農」については、劇中で説明台詞として語ってるだけだし、
「家族」については、ほとんどそれは展開されず完全におざなり。
「命」についても、贔屓の雌牛が処分されてしまったことを
後日談で触れてるだけでテーマとは言い難い。
テーマとして成り立っていると思えたのは「絆」ぐらいだった。

今回のストーリーの主軸は、
悪徳企業の契約から逃げる社長とそれを追う社員のドタバタ、
学生達の甘酸っぱい恋愛・友情のもつれ、
ほぼこの2つだけであったように思う。

この2つの事象が「たまたま酪農場で起きた」だけであって、
酪農そのものとほとんど絡んでいないのだ。
これでは酪農について語っている説明ゼリフさえ変更してしまえば、
設定は町工場だろうが、商店街だろうが成立してしまう。

これは酪農が「テーマ」ではなく、
「設定」でしかなかったことに他ならない。
タイトルに「酪農家族」とつけているのだから、
やはりきっちり「テーマ」として仕上げてほしかった。


役者陣は全体的に経験が浅そうな人が多く、
やはり演技力不足はいなめない。
まぁ、まだこれからという団体だと思うのでそこは厳しくは見ないが。
あ、でも副社長・秘書・部下2人のそれぞれのやりとりは
キャラがしっかり立っていて面白かった。


ダンスは・・・総合的にみて、いらなかったんじゃないだろうか。
まぁ、個人的な趣味の差もあるだろうが。
序盤の親父さんダンスのような、ネタとしての使い方は好きだけども(笑)


あと照明のメリハリがほとんどないなぁと感じた。
オープニングのようにもっと派手になればいいのにと思う部分もあれば、
心情的なシーンでもっと絞っていいんじゃないかと思う部分も多数。
灯体自体も少なく感じたがこのあたりは金銭的な問題?


最初に「若い」「青い」と書いたが、
あらゆるフェーズで未熟感を感じたというのが総評。

それも下手とか努力不足とかいうよりは、まだまだ世界観が狭いんだと思う。
一生懸命頑張ってはいるんだろうけど、
狭い枠の中で足掻いていて成果に結びついていない感じ。

今回の演出や役者陣には、
とにかく舞台でも映画でも、がむしゃらに作品を見漁ってみてほしい。
何が面白くて、何が人の心を動かすか、それを意識しながら。
いらない枠を取っ払うキッカケが必ず見つかるはずだ。


枠が外れて進化した姿を見れることを願って
次回に期待。


 


KanikusoPRESENTSオムニバス公演#2
「秋のき、冬のゆ。」

2013/03/05更新  ≪上野ストアハウス≫ ≪Kanikuso≫ ≪2013/03

KanikusoPRESENTSオムニバス公演#2 「秋のき、冬のゆ。」 KanikusoPRESENTSオムニバス公演#2 「秋のき、冬のゆ。」

kanikusoPRESENTSオムニバス公演#2 「秋のき、冬のゆ。」

【作・演出】
迫田元

【キャスト】
谷村好一(エムアール)、永野和宏(劇団新人会)、賢茂エイジ(さるしげろっく)、
今若孝浩、小島啓寿、串山麻衣、天晴一之丞(水色革命)、太田勝(猿芝居)、
藤井紅葉(映像。舞台企画集団ハルベリー)、里中あや(ナインズプロモーション)、
戸草内淳基(加速装置)、神崎ゆい、瑞樹カンナ、小林知未(多少婦人)、
渡辺祐未(立花演劇研究所)

【日程】
2013年2月27日(水)〜3月3日(日) 

【会場】
上野ストアハウス

【チケット料金】
前売 3,000円
当日 3,200円

【公式HP】
http://www.kanikuso.net/

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オムニバス2本立てで、
両方とも面白おかしく仕立てたドタバタコメディ。

1本目はとある会社の面接会場。
極度の緊張症の男、銀座のママ、滑舌が悪い成金男、真面目な姉妹などが
面接官が投げかける素行調査のような質問に応えていき、
マイナス査定の人間は強制的に別室に連れて行かれる。
劇中でほとんどお客には設定の説明がないが、
ラストシーンで、実は事故に巻き込まれて生死の境を彷徨っている人の面接で、
合格であれば生の世界に帰れるというものだったことがわかる。

2本目は1本目の会社の別室のお話。
そこは会議室で、次の大きな案件のプランについての話し合いがされている。
レッドプランとブループラン、どっちにするか決断を迫られるが、
優柔不断の社長はまったく決められず、皆やきもきする。

途中で案件を引き受けること自体のリスクが判明し、
社員達は皆その案件を断る方向で進めるよう社長に勧めるが、
普段は優柔不断な社長がそれだけは頑なに拒否。
実はその案件のクライアントは社長の娘だった。
社長の想いを知った社員は一致団結してその案件に取り組む。


超ざっくりだが、だいたいあらすじはこんな感じ。


1本目は見ていてちょっと暑苦しかったかな。
全体的に役者が狙い過ぎている感が出ていて、逆に笑えなくなってしまっていた。
登場人物として真面目に面白いことをしないとコメディは成立しない。
バラエティ番組のひな壇芸人みたいな安いボケとツッコミは舞台ではやってほしくない。

あと最初に面接を受けていた3人、ちょっとバランスが悪過ぎると思う。
緊張でドモって上手くしゃべれないキャラと滑舌が悪くて聞き取れないキャラが同時に出てくるってのは、
ネタ的には殺し合ってるだけだし、シーンのテンポが極端に悪くなる。
銀座のママは何の色もついていなくて、正直この脚本上での存在意義がわからないし。
お客の心を掴む導入部分でこの組み合わせはなんだかなぁと思った。

さらに話の構成に起伏がない。
5人面接して、それぞれ個性的なキャラをみせて、実はこの面接の正体はこんなでした、って
ただそれだけの展開しかしないので、話の盛り上がりがほとんどないのだ。
淡々と順番に小ネタ混ぜながら面接シーンみせてもお客的には見ていて何もワクワクしない。
もうちょっと構成面、なんとかならなかったものか。


次に2本目。
逆にこの2本目はびっくりするぐらいに秀逸だった。

まず役者の力量が圧倒的にこちらのほうが上だし、
テキストそのものもかなり面白い。
どこまでが脚本で、どこまでが役者が提示したものなのかわからないが、
非常にテンポが良くて質の高いネタの応酬は見ていて気持ちがいいものだ。
お笑いをちゃんとわかってる人がしっかり作った芝居って感じ。

特に谷村好一演じる社長のおじいちゃん的なおもしろ可愛さは素晴らしい。
天晴一之丞の特異なルックスと濃いキャラクターには常に目を奪われるし、
太田勝のつっこみのトーンも非常に面白い(つっこみは声質が重要な要素だと思っているので)。

笑わせるだけ笑わせておいて、
最後にレッドとブルーが何を意味するかわかるところでお客をほっこりさせる。
とても素敵な家族愛溢れるお芝居だった。


この2本立てのオムニバス公演。
おそらくこの2本目がやりたくて、1本目を後から伏線として作り上げたのだと思われる。
そのせいで1本目は一貫したテーマが見えない、笑いに走っただけのコントになってしまったのではないだろうか。
要素の詰め込みはもちろんよくないが、1本目にも十分にお客の心を揺さぶるテーマを盛り込んでほしかった。

しかし2本目は本当に素晴らしい出来だったと思う。
人材を集める力もあるようだし、これからにも期待したい。


 

◎日々是劇評

劇場

APOCシアター
Art Theater かもめ座
KAAT 神奈川芸術劇場 ホール
KAAT 神奈川芸術劇場 大スタジオ
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下北沢 「劇」小劇場
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新宿 スペース雑遊
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新宿サンモールスタジオ
新宿シアターサンモール
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神奈川県立青少年センター 多目的プラザ
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相鉄本多劇場
大倉山記念館 第四集会室
大和田伝承ホール
池袋 シアターKASSAI
池袋シアターグリーン BASE THEATER
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東京芸術劇場 池袋シアターウエスト
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北池袋 新生館シアター
本願寺ブディストホール
夢の島公園 テント劇場
六行会ホール
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