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47ENGINE 2013新春公演 「幕末純情伝」 @新宿タイニイアリス 2013/02/03
47ENGINE 2012冬公演 「Same Time Next Year」 @新宿タイニイアリス 2012/11/26
※本文中に激しくネタバレ含みます!
上演中の公演についてこれから観劇予定の方は閲覧ご遠慮ください。
47ENGINE 2013新春公演
「幕末純情伝」
2013/02/03更新 ≪新宿タイニイアリス≫ ≪47ENGINE≫ ≪2013/02≫
47 ENGINE 2013新春公演 「幕末純情伝」 【脚本】 つかこうへい 【演出】 村崎三雷 【キャスト】 三木美毅 村岡典文 宮川浩明 川瀬忠行 高山範彦 本多摂 伊藤佳範 楮山啓介 永里健太朗 中道宏幸 臼井章悟 吉田一寿 猿橋祐子 高野将吉 間根山雄太 貴田みどり 青木友成 布佐良幸 竜牙 塩田竜也 鈴木雄三 古畑恵介 田邊久乃 金野愛弓 金城ちえ 金城舞子 佐藤茉衣 小浦明日香 【日程】 2013年1月25日(金)〜2月3日(日) 【会場】 新宿タイニイアイス 【チケット料金】 前売3000円、当日3300円 ※平日昼の回は500円割引 【公式HP】 47ENGINE公式HP ================================== 言わずと知れたつかこうへいの名作。 幕末の時代、沖田総司が女であるという設定で描かれた 史実とは近いようで遠いパラレルストーリー。 死の病を背負いながらも新撰組隊士として働く沖田総司。 敵の立場である坂本龍馬は沖田にぞっこんで激しいアタックをかけ続ける。 沖田はすでに土方と恋仲であるが、土方の「国のためではなく自分達のため」という 賛同し難い考えに迷い、逆に龍馬の理想に揺れ動かされる沖田。 自らが成し遂げた大政奉還後に捨駒にされた龍馬は命を狙われることになる。 その暗殺指令を命じられるのはなんと沖田。 2人の恋の行方は・・・。 つかこうへいの幕末純情伝。 映画化もされている超有名戯曲だ。 一昨年につかこうへいが亡くなったこともあって この数年だけでもかなりの数の団体がこれを上演したのではないだろうか。 いろんな団体が「幕末純情伝」を上演すれば、もちろんピンからキリまで出てくる。 その中でこの47ENGINEがやった「幕末純情伝」は非常に良い部類ではなかろうか。 元々つか作品をやりなれている団体というのもあってか、 演出も役者も脚本の魅せ方をちゃんと知っているなという印象を受けた。 早い口調でテンポをあげてどんどんシーンを展開させ、 激しいテンションで喜怒哀楽をキレよく表現し、 舞台上をあっちへこっちへ走り回る。 下ネタを多数放り込みながらも、それが役としてリアルであるため不思議とやらしくない。 そして最後には圧倒的な感動を与える。 どれもこうやって文章にするのはたやすいが、 演出と役者にかなりの技量が必要な、難易度の高い作業だといえる。 それを見事にこなしていた彼らは素晴らしいと思った。 2時間40分、全く飽きる瞬間なく観れた作品だった。 これからもつかこうへい作品を愛し、上演し続けてほしい団体だと思った。
47ENGINE 2012冬公演
「Same Time Next Year」
2012/11/26更新 ≪新宿タイニイアリス≫ ≪47ENGINE≫ ≪2012/11≫
47ENGINE 2012冬公演 「Same Time Next Year〜セイムタイム・ネクストイヤー〜」 【作】 バーナード・スレイド 【訳】 青井 陽治 【演出】 笹浦 暢大(うなぎ計画) 【キャスト】 鈴木 利典(扉座)、三浦 麻理恵(47ENGINE) 【日程】 2012年11月21日(木) 〜 25日(日) 【場所】 新宿タイニイアリス 【チケット】 前売・当日 3,000円 全席自由席 ============================ バーナード・スレイドの名作。 1975年にニューヨークで上演され人気を博し、 日本でも加藤健一事務所などが何度か再演している2人芝居。 1951年、ひょんな偶然から出会ってしまったジョージとドリス。 舞台は2人とも家庭を持つ身でありながら初めての不倫をしてしまったその翌朝から。 最初は相手を探りながらのたどたどしい会話をしていた2人だが お互いの家庭のことを話していくうちに意気投合、 これから毎年同じ日に同じ場所で会おうという約束をする。 そしてその約束は守られ、25年間毎年同じホテルで密会を続けていくことに。 この作品ではシーンを6場に分けて、出会い、5年後、10年後、・・・25年後、と 5年ずつ時間の経過をさせている。 以上がざっくりとした概要。 途中に休憩を挟む2時間半の公演だったが、 率直に面白かったと思う。 ジョージはどこか頼りなくて、最初はドリスを警戒して嘘をいっぱいついていたり、 子供からの歯が抜けたという電話に罪悪感を覚えて焦ったりしている。 しかし性的不能者になってしまったり、最愛の息子が戦争で死んだり、 様々な問題に直面し向き合うことで最終的にはこれ以上ないぐらいに 立派な一人の男性として成長していく。 一方ドリスも最初はちゃらんぽらんな雰囲気を持っているが、 3人の子供を抱えながらも大学に進学し、会社を起業。 経済的にも精神的にも自立した立派な女性に成長していく。 やはり登場人物が成長していく脚本はおもしろい。 2人の25年間の姿を見せるという構成もあってか 特にこの脚本はその成長の様が顕著なために、 登場人物への感情移入が非常にしやすいのだ。 2人の25年間の姿を2時間半かけて見せられた後の プロポーズシーンは否が応でも応援したくなる。 プロポーズ自体は残念ながら失敗に終わるが、 結果的に2人にとって最良の結果でハッピーエンドになるラストには 誰もがほっこりと温かい気持ちになるであろう。 あ、残念な点が一箇所だけあった。 脚本的にはジョージとドリスが対等の2人芝居のハズなのだが、 終始ジョージがシーンを引っ張っていた感が強かったこと。 「ジョージとドリスの物語」ではなく、 「ジョージ物語」に近寄ってしまっていたのはもったいなかったかな。 惜しい。 「セイムタイム・ネクストイヤー」で検索をかけると やはり毎年毎年どこかでこの脚本の公演が行われている。 これからも色んなジョージとドリスを観てみたいものだ。