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ヴォードヴィルの会 「フィガロの結婚」 @APOCシアター 2013/12/01
aji 「“椿姫”」 @APOCシアター 2012/11/13
※本文中に激しくネタバレ含みます!
上演中の公演についてこれから観劇予定の方は閲覧ご遠慮ください。
ヴォードヴィルの会
「フィガロの結婚」
2013/12/01更新 ≪APOCシアター≫ ≪ヴォードヴィルの会≫ ≪2013/12≫
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ヴォードヴィルの会 「フィガロの結婚」 【原本】 ロレンツォ・ダ・ポンテ 【翻訳・演出】 中野浩靖 【キャスト】 梶原航(NIKITA)、宇夫形歩唯、鳥越さやか(パレナージュ)、清藤昌幸、菅原健人、麻由、 小山裕嗣(企てプロジェクト)、猪俣京子、渥美浩太朗、宇野仁美(明治座アートクリエイト)、柴田昌治 【スタッフ】 照明: 千葉慶一 音楽伴奏: 桐生三知代 舞台装置: 松川伸二(松川工房)、加島祥全 ロゴデザイン: 永松幹太 記録: 千葉宏樹 企画・製作: 中野浩靖 【日程】 2013年11月28日(木)〜12月1日(日) 【会場】 APOCシアター 【チケット料金】 一般 2,000円 【公式HP】 http://www.vaudevillenokai.com/ ========================================== 往年の名作「フィガロの結婚」の上演。 結婚を控えるフィガロとスザンナ。 それを阻止しようと悪巧みするマルチェッリーナとバルトロ。 権力者の立場を利用してスザンナを狙うアルマヴィーヴァ伯爵。 そんな浮気性の夫に悩む伯爵夫人。 伯爵夫人に強い片思いを抱くケルヴィーノ。 個性的な登場人物のドタバタを軽快に描いた作品。 「フィガロの結婚」というと、貴族批判を描いた社会的で重厚な作品、 しかもオペラとして上演されるイメージが近いが、 この団体は「ヴォードヴィル」という作風で作品を作り上げていた。 団体のHPによれば「ヴォードウィル」とは、オペレッタよりもやわらかい軽歌劇をいうらしい。 社会的なテーマ、哲学的なテーマを特別意識せずに、 その場で起こるストーリー展開を純粋に楽しむものとして作られるそうだ。 どの年齢層でも気楽にエンタメとして楽しめるような、そんな方向性ってことなのかな。 実際、通常3時間を越える膨大な脚本は1時間50分までそぎ落とされ、 どのシーンもかなりコミカルに表現されていたように思う。 オペラと違ってほぼ演技シーンが中心、歌は要所要所でそこそこって感じ。 バランスは一般的なミュージカルと、ストレートプレイの中間ぐらいってニュアンスだと わかりやすいだろうか。 モゴモゴとしゃべって子音が消えてしまう、 または破裂音の発声だけ大きすぎてセリフが聞き取りづらい役者が少数いたが、 役者全体の力量は平均的に高く、コメディとして十分に楽しめる出来になっていた。 個人的にいいなぁと思ったのは悪役を務める役者陣。 いやらしい性格の伯爵や、マルチェッリーナ、バルトロ、アントニオ。 こういったポジションを担当する役者が何も考えずに悪人を演じるとお客に嫌われてしまい、 笑い部分が成立しなくなってしまうケースが多いのだが、 悪人ではあるけども、コミカルで楽しいキャラクターとして描写ができているため、 お客には嫌われることなく物語を盛り上げることに貢献していた。 こういうの、簡単なようでけっこう難しい。 劇場は小さいし、セットも照明も最小限の中で上演された作品だったが、 値段以上に価値のある良い作品だったように思った。 「ヴォードヴィル」という路線で、観る側はもちろん、演る側の敷居を下げているのも良いと思う。 大量のアンサンブルが出てきて豪華なセットの上で歌って踊って大盛り上がり、 それがフィガロの結婚だ、なんて先入観を抱いてる人にとってはどうか知らないが(笑) また次に期待。
aji
「“椿姫”」
2012/11/13更新 ≪APOCシアター≫ ≪aji≫ ≪2012/11≫
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aji 「“椿姫”」 【演出・構成】 島貴之 【脚本】 金本久美 【キャスト】 島玲、金子久美、石田佳名子、菊原真結(第七劇場)、米谷よう子(第七劇場)、 瀬尾卓也(富良野GROUP)、高橋智哉、深川奈緒美、藤本強、三本美里 【日程】 2012年11月8日(木)〜11月13日(火) 【会場】 APOCシアター 【チケット】 前売 2,800円 当日 3,000円 平日割 2,500円 プレビュー割 2,500円 【公式HP】 aji 公式HP ============================ 古典「椿姫」の登場人物であるマルグリット・ゴーティエ。 小説に登場する彼女、戯曲に登場する彼女、オペラの中に登場する彼女。 彼女はどれも時代とお国柄に合わせて違った姿で描かれている。 彼女の生活を辿りながら彼女の本当の姿を探していく。 うーん、あらすじを書きようがない。 かなり前衛的でアングラチックなお芝居だった。 早い台詞の掛け合いを繰り広げたと思えば 次の瞬間にはその人々はコロスに変化し、いきなり舞踊を踊り出したりする。 怒鳴りあったと思えば急に沈黙が訪れ、無感情な群唱が始まったり、 急に元気なストーリーテラーの女の子が現れたり。 突発的かつ抽象的で、さらに展開スピードが半端ない。 最近こういったお芝居は少なくなっている。 こういう演出に初めて出会った人も多かったであろう。 他のお客さんからきょとんとしている雰囲気が伝わってきた(笑) 確かにストーリー自体は椿姫を追いかけているものの、 わかりづらくて、自分も疑問符をたくさん浮かべながらの観劇になった。 どういった意図で演出をつけたんだろう? 抽象的というよりは、ただ妙な動きをやっているだけ?っていう印象を受ける部分も多くて、 常に疑問符が頭の中で踊って芝居に集中する邪魔をしていた。 ただしそれを補っていたのは役者陣の巧さだと思う。 感情のオンオフの使い分け、無表情の中での目線だけの演技など、 目を見張る役者がたくさんいてお客をちゃんと引き込んでいってくれている。 特に男性陣はなんとも表現し難い不思議な魅力を常に醸していた。 オーディションで集めたらしいが、良い素材を起用しているなと思った。 まぁ、そんな感じの感想かな。 こういった演出の芝居だと、感想を文章にするのって本当に難しいね。 考えるより感じろ的な部分が多いのでどうしても論理立てて文章を書きづらい。 このajiという団体、他の作品もなんだか気になるなぁ。 今回の「椿姫」を手放しに絶賛面白いと思ったわけではないのだが、 何かが尾を引く、不思議な作品をやる団体だなと思った。 これは演出の術中にハマッちゃってるってことなのかな?(笑)