絞り込み 団体=「劇団東京晴々」
劇団東京晴々 「帝国のクッキング」 @上野ストアハウス 2013/11/29
※本文中に激しくネタバレ含みます!
上演中の公演についてこれから観劇予定の方は閲覧ご遠慮ください。
劇団東京晴々
「帝国のクッキング」
2013/11/29更新 ≪上野ストアハウス≫ ≪劇団東京晴々≫ ≪2013/11≫
劇団東京晴々 「帝国のクッキング」 【作・演出】 矢野未知生 【キャスト】 塩原啓太、村田広美、森木麻衣、さいとうあき(バカバッドギター)、三枝万里子、 山崎侑佳子、加藤朝飛、荻山規恭(劇団神馬)、若月渉、後藤啓太、鮎沢由祐 【スタッフ】 舞台監督: 酒井健太(Route∞) 演出助手: 後藤啓太 舞台美術: 矢野未知生 照明: 松本永、白井里奈 音響: 和嶋幸子、としくに(渋家) 衣装: 黛由美子、森木麻衣、鮎沢由祐 チラシデザイン: 井上梓 制作: 井上梓 【日程】 2013年11月29日(金)〜12月1日(日) 【会場】 上野ストアハウス 【チケット料金】 前売・当日 2,800円 平日マチネ割 2,500円 【公式HP】 http://www.tokyo-harebare.com/ ========================================== 1939年の東京が舞台。 食糧事情の悪化により、国は食材の節約術を国民に広めようとしていた。 上野下アパートメントでも節約料理の教室が開かれ、 そこではドイツ帰りの講師・佐山や、アメリカ人とのハーフである助手の一之瀬が、 アパートの住人である女性達に料理を教えていた。 一週間後に迫る節約料理の講評会。 そこで結果を出せなければアパート住人への食料配給がなくなってしまう。 その事情を厚生省の役人・木村から知った佐山は焦りながらも料理を教えていくが、 考え方の違いもあって、教え子達との心の距離は離れていく。 ついには料理教室はまともに機能しなくなってしまい、講評会さえも中止になってしまう。 事情を知った一之瀬は木村に再検討を頼み込み、 教え子達の料理を直接食べてもらって、料理教室の成果を確かめてもらうことに。 いろんなアイデアを出し合って団結する教え子達。 当日、料理としては素晴らしいものを作り上げたが、 難癖をつけてそれを認めない木村。 しかし元ヤクザ(勘違い)の香川の活躍により木村は逃げ帰っていく。 アパートの住人達は食糧配給の危機を免れる。 アパートの住人達にこれまでの非礼を詫びた木村は 料理教室の今後を一之瀬に託す。 誰もいなくなってしまった部屋の中、泣きながら静かに一礼する木村。 幕。 だいたいこんな流れのお話。 上演時間は1時間30分ぐらい。 キャラクターも立っているし、 ヤクザの経歴の勘違いや、名前の勘違いからくるドタバタはおもしろかった。 個人的には作家志望の山之内くんの挙動不審なキャラクターがお気に入り。 振り回されるキャラとしては、非常に良いトーンでしゃべるなぁと思った。 彼が「ええーっ!!」ってなってるだけで見てるこちらは笑えてくる。 あとは天然なのかそうなのかよくわかんない、教師の岩見さんもいいね。 ただ、全体的にテイストが軽すぎるなぁと思った。 開戦直前の日本にしては登場人物の日常がほのぼのとし過ぎていて、 もう漂っている空気が2013年現代そのものなのだ。 戦争への緊張感、食糧難への不安、そういうものを抱えて生きている雰囲気が 微塵も登場人物から感じられないため、違和感がたまらなく大きかった。 男尊女卑の程度だって、今とは比べ物にならないような状態だった。 劇中で女性が男性に対して非常に強い物言いをしているシーンが数多くあったが、 当時の日本の文化ではそれはあり得ないであろう。 そういった非現実的な事象が積み重なると、やはり物語が崩壊してしまう。 こういったライトな空気の作品を作りたかったのなら、 全く別の設定で現代劇としてやってもよかったのではないだろうか。 「料理」、「女性の強さ」、どれにテーマとして一番重きをおいていたのかわからないが、 あの時代を舞台にすると、どうしてもほかのテーマは「戦争」の圧倒的な重さに食われてしまう。 設定として、もうちょっと違う選択肢があったのではないかなぁと思う。 逆に重いディープな作品を作りたかったのであれば、 ちょっとそれは…もっとがんばろう。(汗) 戦時中の脚本って、ホント難しいね。 あらためて思った。 次に期待。